謎の少年は、雨と共に……？｜リアクション

謎の少年は、雨と共に……？

間奏：雨だれに、交じる考察

　――旧市街商店街・茶屋『紗之香』

　雨足が僅かに強まった気がし、紗乃恭玲珂はふぅ、とため息を付いた。ふと、耳をすませば雨音に混じってラジオから気象情報が流れてくる。それによると、この雨はまだ続くらしい。
　来客の後、ちょっと軒先が汚れてしまった為掃除をしていた彼女は、もう一度小さくため息をつき、道具を片付ける。
（あすの明け方まで続くのですか……）
　軒先の掃除を済ませたばかりなのに、この雨ではまた汚れるだろう。そう思うと少し虚しさを覚える。しかし、お客様が気持ちよくなれるよう、綺麗にしておいて損はない。
（そういえば、『謎の少年』についてはどうなったのでしょう？）
　ふと、玲珂の脳裏に例の話が思い浮かぶ。今日は雨だ。恐らく、『謎の少年』に接触しようと話をしていた同級生以外にも探している人がいるかもしれない。
「このお店に来てくれたら、少し面白いかもしれませんね」
　小さくくすっ、と笑っていると、部屋から父親の声がした。何か探し物をしているらしい。玲珂は返事をすると、父親の元へと歩いて行った。

　――寝子高・校庭

「酷い雨だな、こりゃ……」
「旧市街商店街まで行くのはちょっと難しそうだな」
　強まった雨足に、奈良橋博美と三崎楚良は顔を見合わせてため息を付いた。その傍らでは綾辻綾花が考察にふけっていた。共に聞き込みをしていた楚良と綾花は途中で博美と出くわし、共に行動していた。
　学校内での聞き込みでは、あまり情報を得る事ができなかった。しかし、ねこったーでの情報を見ている限り、『謎の少年』は一人だけだな、と博美達は考える。さらなる情報を求めて旧市街商店街辺りまで聞き込みを……とも考えたが、この雨では通行人も少ないだろう。
　一方、その途中彼らは２年５組へ向かい、とある人物についての話を聞いていた。というのも、これは綾花の推測からなる行動で、それを聞いた２人は最初きょとん、となったものの……あおいやねこったーからの情報を元に考え、納得がいった。
「確証はありません。けれど、その可能性の否定もできません。もしかしたら、この雨がろっこん発動のトリガーで牛瀬先生は……」
「確かに、ありえるな。とりあえず、探してみるか」
「そうだな。謎解決ができれば、それがいいよな！」
　３人は頷きあうと、ボクシング部の部室へと向かう事にした。