謎の少年は、雨と共に……？｜リアクション

謎の少年は、雨と共に……？

　――校庭・？　？　？

（うーん、やっぱり３年生の教室の方がよかったかしら）
　傘を片手に、香坂結月は辺りを見渡していた。『謎の少年』について興味を持った彼女もまた単独で調査をしていたのだが、何をおもったのか拳児と喧嘩したという３人の３年生を探していた。そうしながらも、『謎の少年』に思いを馳せる。
（どうやったらそんなにうまく人助けできるんだろう？　私、いつもから回ってる気がするし……なんかコツでもあるのかな？）
　機会があればその少年と話してみたい、と彼女は聞き込みからよく屯していると言われる場所までやってきたものの、今日は生憎の雨である。いない可能性を覚えた結月は少しその先へと行くのを躊躇った。……が、鈍い音を立てて何かにぶつかる。
「きゃっ？！」
「なっ、馬鹿野郎、どこに目をつけてんだよ！」
　顔を上げると、結月より３０cm程背の高い、しかもガタイのいい男子生徒が声を荒上げた。欠けた校章を見ると緑色で、３年生という事が判った。これはチャンスだ、と思った結月は持ち前の明るさで立ち向かう。
「えっと、ごめんなさい！　私、ちょっと人探ししていたもので……」
「人探しぃ？」
　彼の声に反応したのか、後ろから３、４人の不良っぽい男子生徒が姿を現した。いきなりガンつけてくる者もいて緊張するも、結月は思い切って口を開く。
「雨の日に赤西先輩と喧嘩した人を探しています。ちょっと話が聞きたいと思いまして」
　その言葉に、最初にぶつかった男子生徒が……少しだけ顔色を変えた。そして周りにいた者たちが、静かに結月を取り囲み始める。
（……もしかして、ピンチ？）
　結月は胸に沸き起こる嫌な予感に、僅かに息を飲んだ。