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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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ラブ☆部活＆同好会 ～運動部の春～
【剣道部(3)―地稽古―】
練習は、滞りなく行われていった。
「よし、じゃあ地稽古で今日の練習の仕上げをしよう」
一通りの稽古を終えた刀が、部員達にそう呼びかける。
地稽古とは、お互いが対等な立場で試合形式で打ちこんでいく実践的な稽古のことである。
「みんな～頑張ってくださいね～」
と、顧問の島岡 雪乃も、ふんわりとした声音で生徒達に声援を送る。
「よし、じゃあ蒼留人君。私と地稽古やってみよっか！」
「はい！ よろしくお願いします、伊藤先輩！」
やる気満々の響 蒼留人に、そう声をかけてくれたのは伊藤 佳奈だった。
（いよいよ伊藤先輩の実力を肌で感じられるぞ……）
蒼留人は、期待に胸を高鳴らせつつ、佳奈と開始線に立つ。
稽古開始。
（……相手は上級者だ。胸を借りるつもりでドンドン打ちこんで行く！）
蒼留人は、細かいことは考えずに気を全開にして踏み込んでいく。
しかし、次の瞬間、道場にパァァンと鋭い打突音が響いている。
「……ッ！？」
刹那遅れ、頭から痺れるような打突の感触が頭から足裏へと抜けていく。
気がつけば、面を取られていた。
「おおっ！」
「今日の伊藤はキレキレっだな！」
「響ー、頑張れー」
「次、行ける、次ー！」
と、彼らに声援が届く。
（……凄い。やっぱり高校の剣道部凄い……！）
それからも、蒼留人は積極的に打ちこみを続けた。
面を狙いたかったが、ほとんど一本取ることさえ叶わなかった。
だが、蒼留人は隙という隙を打たれ続けたことで、自分の隙を肌で感じることができた。
その経験は、今後の彼の上達に大きく貢献することになるはずだ。
＊ ＊ ＊
その日の佳奈は、絶好調だった。
（いやー。今日の私、調子いいなー）
と、自分でも思ってしまうほどだ。
後輩である蒼留人にも、先輩としての面目を保つ指導ができたつもりだった。
（でも、蒼留人くんは素質あるねー。あれだけ打たれてもめげずに打ち込んでくる気迫は大したもんだよー）
未来ある後輩を指導することも、また部活動の醍醐味の一つである。
それともう一つ、この日の佳奈にはやりたいことがあるのだった。
「よーし、次は……刀君！ 私とやろう！」
それが、御剣 刀との地稽古だった。刀は寝子高の剣道部でも、屈指の実力者だ。
「伊藤か。わかった、やろう」
刀は、快くその申し出を受けてくれた。
二人で試合場に入り、竹刀を構える。
そして、稽古開始。
だが、二人はじりじりと間合いをはかり、互いになかなか踏み込まない。
（やっぱり隙がない。なら、こっちから揺さぶりをかけていくよー！）
先に動いたのは、佳奈だった。
足捌きで相手を惑わしつつ、わずかな隙があれば果敢に攻めていく。無論、反撃には注意して。
だが、決まらない。何度狙っても、すんでのところでかわされる。
（……くー……やっぱ強い……！ できれば、高校解禁の『突き』も狙っていきたいけど、刀君相手だと厳しいかなー）
それでも、佳奈はめげない。むしろ、そのボルテージは上がっていく――。
＊ ＊ ＊
「面ェェェンッ！」
佳奈の竹刀が弧を描いて、刀の面を狙ってくる。
「……！」
パァンと小気味の良い音を立てて、竹刀が面を叩く。
（……速い！ 今日の伊藤は、調子がいいな）
鋭い竹刀の一閃にヒヤリとしつつも、刀の口元にはいまだ笑みが浮かんでいる。
佳奈の面打ちは、有効部位をわずかに外していた。
もっとも、それはほんのわずかなズレで、一つ間違えれば確実に一本取られていたであろう鋭さだった。
（……伊藤の剣は正確だな。道場の跡取り娘らしい、正確で真っ直ぐな剣だ）
改めて、目の前の対戦相手の実力を実感しつつ、刀は距離を取って反撃の隙を探していく。
刀も、幼少の頃から剣の稽古を続けているが、それは剣術であって『剣道』とはまた少し違う。
剣道の試合という規則と制限の中で、己の追求してきた剣は十全には発揮できない。
だが、その制限の中でこそ得られるものもある。
それに何より――刀は根っからの負けず嫌いだ。
だから、
「小手ェ――」
「――面ェン！！」
「……ッ！？」
次の瞬間、刀は佳奈の小手打ちをしっかりと竹刀で受け、素早く面へと打ち返す。
「……っ、やっぱりやるね、刀君！」
「ああ、お前もな、伊藤」
二人は面越しに笑い合うと、再び激しい打ち合いを続ける。
そんな二人の立ち合いは、ぞっとするほど大変そうで、嫉妬するほどに楽しそうだった。
練習は、滞りなく行われていった。
「よし、じゃあ地稽古で今日の練習の仕上げをしよう」
一通りの稽古を終えた刀が、部員達にそう呼びかける。
地稽古とは、お互いが対等な立場で試合形式で打ちこんでいく実践的な稽古のことである。
「みんな～頑張ってくださいね～」
と、顧問の島岡 雪乃も、ふんわりとした声音で生徒達に声援を送る。
「よし、じゃあ蒼留人君。私と地稽古やってみよっか！」
「はい！ よろしくお願いします、伊藤先輩！」
やる気満々の響 蒼留人に、そう声をかけてくれたのは伊藤 佳奈だった。
（いよいよ伊藤先輩の実力を肌で感じられるぞ……）
蒼留人は、期待に胸を高鳴らせつつ、佳奈と開始線に立つ。
稽古開始。
（……相手は上級者だ。胸を借りるつもりでドンドン打ちこんで行く！）
蒼留人は、細かいことは考えずに気を全開にして踏み込んでいく。
しかし、次の瞬間、道場にパァァンと鋭い打突音が響いている。
「……ッ！？」
刹那遅れ、頭から痺れるような打突の感触が頭から足裏へと抜けていく。
気がつけば、面を取られていた。
「おおっ！」
「今日の伊藤はキレキレっだな！」
「響ー、頑張れー」
「次、行ける、次ー！」
と、彼らに声援が届く。
（……凄い。やっぱり高校の剣道部凄い……！）
それからも、蒼留人は積極的に打ちこみを続けた。
面を狙いたかったが、ほとんど一本取ることさえ叶わなかった。
だが、蒼留人は隙という隙を打たれ続けたことで、自分の隙を肌で感じることができた。
その経験は、今後の彼の上達に大きく貢献することになるはずだ。
＊ ＊ ＊
その日の佳奈は、絶好調だった。
（いやー。今日の私、調子いいなー）
と、自分でも思ってしまうほどだ。
後輩である蒼留人にも、先輩としての面目を保つ指導ができたつもりだった。
（でも、蒼留人くんは素質あるねー。あれだけ打たれてもめげずに打ち込んでくる気迫は大したもんだよー）
未来ある後輩を指導することも、また部活動の醍醐味の一つである。
それともう一つ、この日の佳奈にはやりたいことがあるのだった。
「よーし、次は……刀君！ 私とやろう！」
それが、御剣 刀との地稽古だった。刀は寝子高の剣道部でも、屈指の実力者だ。
「伊藤か。わかった、やろう」
刀は、快くその申し出を受けてくれた。
二人で試合場に入り、竹刀を構える。
そして、稽古開始。
だが、二人はじりじりと間合いをはかり、互いになかなか踏み込まない。
（やっぱり隙がない。なら、こっちから揺さぶりをかけていくよー！）
先に動いたのは、佳奈だった。
足捌きで相手を惑わしつつ、わずかな隙があれば果敢に攻めていく。無論、反撃には注意して。
だが、決まらない。何度狙っても、すんでのところでかわされる。
（……くー……やっぱ強い……！ できれば、高校解禁の『突き』も狙っていきたいけど、刀君相手だと厳しいかなー）
それでも、佳奈はめげない。むしろ、そのボルテージは上がっていく――。
＊ ＊ ＊
「面ェェェンッ！」
佳奈の竹刀が弧を描いて、刀の面を狙ってくる。
「……！」
パァンと小気味の良い音を立てて、竹刀が面を叩く。
（……速い！ 今日の伊藤は、調子がいいな）
鋭い竹刀の一閃にヒヤリとしつつも、刀の口元にはいまだ笑みが浮かんでいる。
佳奈の面打ちは、有効部位をわずかに外していた。
もっとも、それはほんのわずかなズレで、一つ間違えれば確実に一本取られていたであろう鋭さだった。
（……伊藤の剣は正確だな。道場の跡取り娘らしい、正確で真っ直ぐな剣だ）
改めて、目の前の対戦相手の実力を実感しつつ、刀は距離を取って反撃の隙を探していく。
刀も、幼少の頃から剣の稽古を続けているが、それは剣術であって『剣道』とはまた少し違う。
剣道の試合という規則と制限の中で、己の追求してきた剣は十全には発揮できない。
だが、その制限の中でこそ得られるものもある。
それに何より――刀は根っからの負けず嫌いだ。
だから、
「小手ェ――」
「――面ェン！！」
「……ッ！？」
次の瞬間、刀は佳奈の小手打ちをしっかりと竹刀で受け、素早く面へと打ち返す。
「……っ、やっぱりやるね、刀君！」
「ああ、お前もな、伊藤」
二人は面越しに笑い合うと、再び激しい打ち合いを続ける。
そんな二人の立ち合いは、ぞっとするほど大変そうで、嫉妬するほどに楽しそうだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2017年10月30日
- 参加申し込みの期限
-
- 2017年11月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2017年11月06日 11時00分
