ラブ☆部活＆同好会～運動部の春～｜リアクション

ラブ☆部活＆同好会～運動部の春～

【陸上部(10)―Epilogue ver陸上部―】

　垣根瞳は、コイバナに盛り上がる七音侑達を横目に、こそりと教室を出ていた。
　もう四月も下旬とはいえ、夜はまだ少しひんやりとしてる。
（……眠れない…………あと……もう少しだけ……走ろう……）
　そう思って、瞳がグラウンドに出ると、そこに先客がいた。

「あれは……」

　＊　＊　＊

　その少し前。
　女子達よりも一足早く寝静まった男子の教室で、むくりと上半身を起こす影があった。
「……さて、と。そろそろ行くか……」
　同級生や後輩達を起こさないように気を遣いながら、グラウンドに出たのは冴木竜司である。
　顧問の浅井にバレるとうるさいので、こっそり廊下を抜けてグラウンドに出る。
「いち、に、さんっ……」
　と、準備体操をする竜司の横顔は真剣そのものだ。
　彼は普段は道化を演じているふしがあるが、じつは真面目な男である。
　そんな彼にとって、先刻の桐野正也の言葉は、ずしんと重く響いていた。

「……そうだよな。今年が最後のチャンス……頑張らねェと……」

　言うが早いか、竜司はグラウンドを走り出していた。
　三年生の彼に、もうあまり時間は残されていない。
　そんな大切な時間を、一分一秒でも惜しむようにして。

　＊　＊　＊

　そんな竜司の姿を見て、瞳はたまらず走り出していた。

（……負けたくない…………走ることは、好きだから……）

　長い髪を風に揺らせて、竜司の背中に追いつこうとする。
　すると、彼の背中もまたそれに応じて加速する。
　彼もまた『負けてたまるか』と言っているかのように。

　そして、二人は夜空の下を走り続ける。

　陸上部の合宿は――まだ終わらない。

〔了〕

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あとがき

担当マスター：水月鏡花
ファンレターはマスターページから！

というわけで、ご参加頂いた皆様お疲れ様でした。ＭＳの水月ですにゃ。……にゃ？

そんな感じで、運動部の皆様の活動をリアクションにさせて頂きました。
徹頭徹尾インドア派な人生を送ってきた私にとっては、運動部の皆様の活動光景は、何と言うか、こう、眩し過ぎて、途中で「俺の青春ってどこにあったんだろう……」的な気分になりました。ちなみに「あ、そうか。最初からそんなものはなかったんだ！」という結論に達したのが執筆のハイライト。

だいたいそんな感じ。なんというか、ここのところファンタジーばかり書いていたので、久しぶりに現実を書いた気がします。またファンタジーも書きたいなぁとか思いつつ、今回はこのあたりで。

それでは最後になりましたが、ご参加頂いた方、ここまでお読み頂いた方、そして「らっかみ！」に関わる全ての方々に感謝を。
ではでは、またどこかのあとがきでお会いできることを祈って。

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