ラブ☆部活＆同好会～運動部の春～｜リアクション

ラブ☆部活＆同好会～運動部の春～

【剣道部(1)―そうだ、合宿をしよう―】

　それは、ある日の寝子高の武道場でのこと。
「それでは、今から剣道部の合宿稽古を始めますよ～」
　そこには剣道部の生徒達に合宿の開始を告げる顧問の島岡雪乃の姿があった。
「今日は学校に泊まり込んで、お稽古をしたり、一緒に夕食を作ったりしてもらいますからね～。といっても、私は剣道の経験がないので、指導は御剣君や伊藤さんにお願いしますね～」
　島岡が視線を向けると、御剣刀と伊藤佳奈が力強く頷く。
「学校に泊まり込みで合宿なんて、ワクワクするねー」
　剣道道場の跡取り娘である佳奈は、特に気負う様子もなく、自然体で仲間達にそう声をかける。
「そうだな。みんなでこうやって一緒に泊まり込みをするのもなんかいいよな」
「俺、凄くワクワクしてます！　今日はよろしくお願いします！」
　合宿の発案者である蒼留人が、顧問の先生や先輩達にビシッと頭を下げる。
「よし。じゃあさっそく練習を始めようか。流れはまず素振り。それから掛り稽古、最後に試合形式の地稽古をやろう」
「御剣く～ん。新入生の子もいるので、お手柔らかにお願いしますね～」
「あ、はい」
　雪乃にほんわかと忠告され、刀は苦笑気味に頬をかいた。
「刀君は上級者なうえにストイックだからねー。ま、程々にいこうよ」
「ああ、そうだな」
　佳奈にもそう言われ、あらためて刀は部員達を見まわす。
「それじゃあ始めようか」
「「「はい！　よろしくお願いします、先輩！」」」
　新入部員はみな元気が良かったが、合宿の提案者である蒼留人の声はひときわ張り切って剣道場に響いた。
　かくして、剣道部の面々の、合宿稽古が幕を開ける。