ラブ☆部活＆同好会～運動部の春～｜リアクション

ラブ☆部活＆同好会～運動部の春～

【水泳部(1)―今日も水泳日和―】

　日曜日。朝。
「わ～、遅刻しちゃうよ～！」
　その日、雨崎荒太郎は水泳部の練習に参加するため、スポーツセンターを目指して走っていた。
「……って、あれぇ！？　まだ開いてない！？」
　まだ閉ざされたままのセンターの扉を見て、荒太郎は目を見開く。
「あら、よく見るとまだ九時だよ……。ぼく、何を勘違いしてたんだろ……」
　その日の集合時間はセンターの開く午前１０時だった。
「仕方ないから、皆が来るまで軽くスポセンのまわりをジョギングしとこう」
　荒太郎は、スポーツセンターのまわりをジョギングし、ゆっくり身体を温め始めた。この程度、水中の運動に比べたら軽いものだ。
「あ、あとののこちゃんが遅刻しないか心配だから電話入れておこうかな」
　ジョギングの合間に、携帯でののこのルームメイトへ電話を入れつつ、荒太郎はせっせとジョギングを続けた。

　　　＊　＊　＊

　志波武道も、その日は少し早めにスポーツセンターに到着していた。
「ちょっと早く来過ぎちゃったカナー……って、そこにいるのは荒太郎くん？」
　武道があたりを見まわすと、ちょうど何周目かのジョギングを終えた荒太郎の姿が目に飛び込んできた。
「あ、武道先輩、おはようございまーす！」
「おー、オハヨ☆　今日は早いね、どうしたの？」
「いやぁ、じつは早く着きすぎちゃって……」
　などと二人が話し合っていると、そこにやはり少し早めに到着した水上桜も姿を見せる。
「志波先輩、雨崎先輩、おはようございます。あの、今日、１０時集合でよかったですよね？」
　入部早々に遅刻はすまいと早めに来たつもりでいた桜は、二人の姿に驚いた様子でそう訊ねる。
「おー、おはよ☆　桜ちゃん。うん、集合は１０時だよ」
「ぼくらがうっかり早く来過ぎちゃっただけなんだー。でも、おかげでジョギングで身体もあっためられたよー」
「そうでしたか」
　桜は安堵しつつ、二人の水泳に対する想いに自分も負けていられないと気持ちを新たにする。
　そうしているうちに、ちらほらと他の部員達や顧問の相原まゆも到着してきた。
「お、みんな、今日も早いわねー。感心感心」
　相原が満足げに頷けば、ほどなくスポーツセンターの開館のアナウンスが流れる。
それとほぼ同時に、最後にやや遅刻ぎみにやってきたのが――
「みんな、ごっめ～ん！　うっかり寝坊しちゃってさー。荒太郎君、電話ありがとう～！」
　二年生の野々ののこだった。
「やっぱり寝坊してたんだね。なんかそんな気がしてたんだー」
　荒太郎は、遅刻を咎める様子もなく、ほがらかに笑ってののこと挨拶をする。
　そうして、スポーツセンター前にはその日の参加予定者の全員が無事に集まっていた。
　そして、

「皆いるかな？　ダイジョブ？　よぉし、それじゃあレッツゴー！」

　メンバーを確認した武道の号令で、部員達は揃ってスポーツセンターに入館して行くのだった。

このページにイラストを設定する