- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ラブ☆部活＆同好会 ～文化部の春～
●華道部：驚異の生け花
「ふふー。これは小萩の超絶的な芸術センスを、皆さんに見せるための挑戦状と受け取りました！」
フラワーアレンジメントのコーナーで、本条 小萩が胸を張っていた。彼女の前には、白いシンプルな花器と、なんだかよくわからない植物が並んでいる。
「それでは、小萩の新作フラワーアレンジメントを発表します。テーマは『七つの大罪』です！！！」
「頼もうなのだ～！」
作成に取り掛かろうとした小萩を、ハイテンションな声が遮った。新聞部の腕章をつけた後木 真央が乱入してきたのである。
デジカメ振り回しながら真央は言った。
「新入生用に部活同好会紹介記事を作りたいのだ！ やっぱり鉄は熱いうちにホァタァッ！ 真央ちゃんは一日で家庭科同好会、ミステリー研究会――いろいろと回ってきたのだ！ そして今日の締めはここ、華道部なのだ！」
「なんと。新聞部までもが小萩の新作をスクープにきました」
「だから今年度の抱負と、やりたいことのお話＆活動写真、撮らせろプリーズなのだ～！」
「いいでしょう。小萩の新作、ぞんぶんに撮るがいいです」
ふたりの会話はあまり噛み合っていなかったが、とにかく新聞部の真央が、華道部の突撃取材にきたんだなと、小萩以外の部員は納得した。
「ずいぶんと騒がしいのがきたねぇ」
「その声は！ ウォルター先生なのだ～！？」
「チョークがないのが残念だよぉ」
ウォルター・Bは人差し指と中指を立てて、ぶんっと振った。寝子高の生徒が恐れる『白い魔弾』の素振りである。
真央は射撃部にも所属しており、ウォルターもまた射撃部の顧問を兼任している。ウォルターからすると、部をまたいで二人の問題児（？）がそろい踏みしたことになる。
とりあえず真央をつまみだそうとするウォルターだったが、伊勢 エリカが仲裁に入った。
「まあまあ。いいじゃないですか。ここは私の美しい顔に免じて、許してやってください」
「美しい顔なら、僕も貸しますよ」
すかさず花椿 涼太郎が割り込んだ。
「じゃあ小萩も貸します」
なに食わぬ表情で小萩も並んだ。
（……どうしてこう、ナルシストばかりなんだろうねぇ）
ウォルターは思わず肩をすくめた。それは“降参”の合図であった。
「それじゃあ気を取り直して参りましょう。小萩の新作フラワーアレンジメントの発表です！ テーマは『七つの大罪』！！！」
小萩は、カラフルな花を次々と活けていった。
「色の種類がやたらに多い『ラナンキュラス』で――嫉妬を！」
小萩は、腐臭のする赤い花を活けた。
「巨大な花を持つ『ラフレシア』で――傲慢を！」
小萩は、白い花とツンとする匂いの葉っぱを活けた。
「抜いても抜いても生えてくる生命力の『ドクダミ』で――貪欲を！」
小萩は、ギザギザの牙が生えたような二枚の葉を持つ植物を活けた。
「虫さえ喰らう『ハエトリグサ』で――暴食を！」
小萩は、真っ赤な実をばら撒いた。
「食べると顔が赤くなることからイタリア語で怒りを意味するアラビアータの語源になった『唐辛子』で――憤怒を！」
小萩は、馥郁を放つ黄色い花を活けた。
「アロマテラピーでセクシーな気分になるとされる『イランイラン』で――色欲を！」
小萩は最後に、寝子島ではおなじみの、緑色の実がついた枝を活けた。
「猫がぐにゃぐにゃになっちゃう究極植物『マタタビ』で――怠惰を！」
すべての植物を活けた小萩は、やり遂げた表情で自分の作品を見つめていた。彼女が火照った視線を送る花器には、この世のものとは思えない異形があった。
「なんということでしょう！ 小萩の知識と独創性が、また一つの異世界を構成してしまいました！」
「あぁ、なんて神秘を感じるアレンジメント……！」
涼太郎が驚愕していた。あらゆる角度から、眩しすぎるものを見ているみたいに、目を細めて鑑賞している。いっぽう新入部員の反応はさまざまで、素直に感動している子もいれば、ちょっと引き気味になっている子もいた。
「これは凄いのだ～！ 何が凄いのかは言葉で言えないのだ！ これはもう、撮るしかないのだ～」
真央がシャッターを押しまくっていた。
☆ ☆ ☆
そんなこんなで、歓迎会は無事に終わった。
「うむ……楽しかったな！」
植物園を出ながら、エリカが上機嫌で呟いた。それを聞いた涼太郎は思わず頷き、
――華道部に入部してよかったな。
と、喜びを噛み締めていた。
すでに日は傾き、青く晴れ渡っていた寝子島の空は、鮮やかな朱色に染まっている。
「植物園に来てさらに花や植物の素晴らしさ、美しさを感じたよ！ 早くこの刺激を花器に表したいね！ はーっはっはっはっはっは！」
涼太郎の高笑いが、夕焼けに溶けていった。
「ふふー。これは小萩の超絶的な芸術センスを、皆さんに見せるための挑戦状と受け取りました！」
フラワーアレンジメントのコーナーで、本条 小萩が胸を張っていた。彼女の前には、白いシンプルな花器と、なんだかよくわからない植物が並んでいる。
「それでは、小萩の新作フラワーアレンジメントを発表します。テーマは『七つの大罪』です！！！」
「頼もうなのだ～！」
作成に取り掛かろうとした小萩を、ハイテンションな声が遮った。新聞部の腕章をつけた後木 真央が乱入してきたのである。
デジカメ振り回しながら真央は言った。
「新入生用に部活同好会紹介記事を作りたいのだ！ やっぱり鉄は熱いうちにホァタァッ！ 真央ちゃんは一日で家庭科同好会、ミステリー研究会――いろいろと回ってきたのだ！ そして今日の締めはここ、華道部なのだ！」
「なんと。新聞部までもが小萩の新作をスクープにきました」
「だから今年度の抱負と、やりたいことのお話＆活動写真、撮らせろプリーズなのだ～！」
「いいでしょう。小萩の新作、ぞんぶんに撮るがいいです」
ふたりの会話はあまり噛み合っていなかったが、とにかく新聞部の真央が、華道部の突撃取材にきたんだなと、小萩以外の部員は納得した。
「ずいぶんと騒がしいのがきたねぇ」
「その声は！ ウォルター先生なのだ～！？」
「チョークがないのが残念だよぉ」
ウォルター・Bは人差し指と中指を立てて、ぶんっと振った。寝子高の生徒が恐れる『白い魔弾』の素振りである。
真央は射撃部にも所属しており、ウォルターもまた射撃部の顧問を兼任している。ウォルターからすると、部をまたいで二人の問題児（？）がそろい踏みしたことになる。
とりあえず真央をつまみだそうとするウォルターだったが、伊勢 エリカが仲裁に入った。
「まあまあ。いいじゃないですか。ここは私の美しい顔に免じて、許してやってください」
「美しい顔なら、僕も貸しますよ」
すかさず花椿 涼太郎が割り込んだ。
「じゃあ小萩も貸します」
なに食わぬ表情で小萩も並んだ。
（……どうしてこう、ナルシストばかりなんだろうねぇ）
ウォルターは思わず肩をすくめた。それは“降参”の合図であった。
「それじゃあ気を取り直して参りましょう。小萩の新作フラワーアレンジメントの発表です！ テーマは『七つの大罪』！！！」
小萩は、カラフルな花を次々と活けていった。
「色の種類がやたらに多い『ラナンキュラス』で――嫉妬を！」
小萩は、腐臭のする赤い花を活けた。
「巨大な花を持つ『ラフレシア』で――傲慢を！」
小萩は、白い花とツンとする匂いの葉っぱを活けた。
「抜いても抜いても生えてくる生命力の『ドクダミ』で――貪欲を！」
小萩は、ギザギザの牙が生えたような二枚の葉を持つ植物を活けた。
「虫さえ喰らう『ハエトリグサ』で――暴食を！」
小萩は、真っ赤な実をばら撒いた。
「食べると顔が赤くなることからイタリア語で怒りを意味するアラビアータの語源になった『唐辛子』で――憤怒を！」
小萩は、馥郁を放つ黄色い花を活けた。
「アロマテラピーでセクシーな気分になるとされる『イランイラン』で――色欲を！」
小萩は最後に、寝子島ではおなじみの、緑色の実がついた枝を活けた。
「猫がぐにゃぐにゃになっちゃう究極植物『マタタビ』で――怠惰を！」
すべての植物を活けた小萩は、やり遂げた表情で自分の作品を見つめていた。彼女が火照った視線を送る花器には、この世のものとは思えない異形があった。
「なんということでしょう！ 小萩の知識と独創性が、また一つの異世界を構成してしまいました！」
「あぁ、なんて神秘を感じるアレンジメント……！」
涼太郎が驚愕していた。あらゆる角度から、眩しすぎるものを見ているみたいに、目を細めて鑑賞している。いっぽう新入部員の反応はさまざまで、素直に感動している子もいれば、ちょっと引き気味になっている子もいた。
「これは凄いのだ～！ 何が凄いのかは言葉で言えないのだ！ これはもう、撮るしかないのだ～」
真央がシャッターを押しまくっていた。
☆ ☆ ☆
そんなこんなで、歓迎会は無事に終わった。
「うむ……楽しかったな！」
植物園を出ながら、エリカが上機嫌で呟いた。それを聞いた涼太郎は思わず頷き、
――華道部に入部してよかったな。
と、喜びを噛み締めていた。
すでに日は傾き、青く晴れ渡っていた寝子島の空は、鮮やかな朱色に染まっている。
「植物園に来てさらに花や植物の素晴らしさ、美しさを感じたよ！ 早くこの刺激を花器に表したいね！ はーっはっはっはっはっは！」
涼太郎の高笑いが、夕焼けに溶けていった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2017年10月27日
- 参加申し込みの期限
-
- 2017年11月03日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2017年11月03日 11時00分
