朝日に消える幽霊｜リアクション

朝日に消える幽霊

●瓜二つの幽霊と調査

「僕そっくりな幽霊とは意外だね」
　薄羽白露に見えた幽霊は、自分と瓜二つな存在。鏡に映っている自分を見ている錯覚に陥った。
　面白いね、と興味深く見る白露と違い、幽霊は無表情で立っている。
　ジッと白露を見る幽霊は何を考えているのだろう。
（僕と正反対なようだから、何も考えていないだろうね）

　瓜二つの幽霊が立っている傍には、ハマグリを象った蜃気石が。
　見たいものを幻のように見せるという力を持つ、と言われている石。
（……もしかすると、この場所には何か封印されていたりして）
　何故、幽霊がこの場所だけで目撃されるのか。
　その疑問は、響タルトと聞いた蜃気石の話で解けそうな気がした。
「石の下に何かないか掘ってみよう」
　何かあるかも、と考えていたので地面を掘る道具を持ってきた。
　土葬されたした死体を掘り起こすようで気味悪いねと思いつつ、石の周りを無言で掘る。
　掘り起こしてみたが、骨といったものは無かった。
「桜の下には死体が、というけど、石の下にはなかったようだね」
　
　次は、蜃気石の周囲におかしなところがないか探索。その最中、何かを踏んだ感覚が。
　踏んだものを拾って見ると、それは貝殻のような小石だった。
「蜃気石の欠片かな？」
　ハマグリの妖怪が石化したものなら、こぼれ落ちた欠片が貝の形をしていてもおかしくはない。
　蜃気石の欠片ともいえる貝殻型の石は、幽霊を見せる力を維持するためのものなのだろうか。
　周囲の石が無いと幽霊は見えないのかも、と白露は解釈した。
「随分と楽しい夜になりそうだね」
　夜明けまで、白露は調査のためこの場所に留まることにした。