朝日に消える幽霊｜リアクション

朝日に消える幽霊

●調査

「朝日に消える幽霊か」
　幽霊もだが、それ以上に関心を示したのは、何故、その時間に消えるのかということ。
　それを解明すべく、八神修は目撃譚の収集を始めた。
　噂話があるのなら、ＳＮＳでも話題になっているはず。
　あらゆるＳＮＳを確認すると、怖いもの見たさ、興味本位で行ったという人の書き込みが。
　目撃したのは亡くなった身内や親族、もう一度会いたいと思った人、化け物の類と人により違っていた。
　何も見えなかった、という書き込みはごくわずか。
「共通点は、見た人に関係あるものが見えるということか」
　確認の結果、幽霊は悪い者ではないということがわかった。

　それだけでは情報不足と思い、寝子高でも聞き込みを。
「八神くんも朝日に消える幽霊が見たいの？　僕は見たいな。美少年の幽霊だといいな～♪」
　響タルトは噂話を知っているが、実際に見たことがないという。
　ホラー愛好会所属のタルトとしては、この幽霊は見逃せない。
　霊感があるわけではないが、見られるものなら見てみたい。
「人によって見えるものが違う、ということを知っているか？」
「うん、知ってる。だとしたら、それは僕にしか見えない幽霊ってことだよね。美少年ならぜひ薄い本のネタにしたいな！」
　人間であろうが幽霊であろうが、ネタになるものは薄い本のネタにするタルトだった。
　一緒に聞き込みをしていた御剣刀は、噂話が本当だったら俺には何が見えるのだろうかと考えていた。
　寝子高での聞き込みの結果は、ＳＮＳ情報と同じだった。

　目撃情報をあらかた収集した後、明るいうちに目撃現場を調査。
　面白そう、とタルトは修と一緒に調査しに。
「これは……」
　辿り着いた修が見たものは、砕かれた岩のかけらのような大きめの石だった。
　幽霊を見た、という情報はあったが、石があったという情報は無かった。
　皆、幽霊を見ることに気を取られ見逃していたのだろう。
　現状維持しつつ、現場と石の写真を撮影した後は石の周辺を調査。
「ここに石碑があったのなら、この石は、その一部なのかもしれないな」
「あるのは、この大きな石だけだね」
　予想以上に大きかったので、持って帰って調べたり、自室で一晩過ごしてみたいと思っていたタルトは残念がった。
　石の持ち帰りを諦めて石の周りを調べたタルトは、歩いている途中で何かを踏んだ。
　拾ってみると、貝の形をした小石だった。じっくり見ると、大きさはバラバラだが同じような形の石が周囲に散乱していた。
「これ、石を囲むように散らばっているね。どうしてかな？」
「ストーンサークル、あるいは何かの陣か？」
　ふたりは大きめの石に近づいて観察すると、ヒビが入っていたり、削られた箇所があるのを発見。
　削られた部分は道具を使われたものではないようだ。風化、あるいは劣化で破損しただけかもしれない。
「幽霊がここから動かないのは、これが石碑のようなものだからなのかもしれないな」
　もしそうなら、これ以上、破損しては良くないことが起こるかもしれない。
　そう考えた修は一旦帰還し、修復用の道具を取りに行った。

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