朝日に消える幽霊｜リアクション

朝日に消える幽霊

●いつの間に？

「近づいて調べてみる必要がありそうね」
　工藤来夢は、立ち上がると石のある場所に歩き出した。
　石が置いてある場所に着くと触ったり、スケッチしたり、座り心地はどうかしら？　と腰かけたり。
　バチあたらない！？　と様子を見ていた３人は不安がったが「大丈夫！」と来夢は笑顔で手を振る。
「何も起こらなかったみたいね。期待外れだわ！」
　その場から去り皆のところへ戻ると「変わったことあった？」と尋ねられたが無い！　と不機嫌で答えた。
　
　気が付くと、同行者がひとり増えてる。いつの間に合流したのだろう？
「キミも見に来たの？」
　増えた仲間に声をかけるが、反応がまったくない。
（………なにこいつ、あたしが話しかけたのに反応悪いじゃない！）
　自己紹介していなかったので、自分のことがわからないのだろうか。
「あたしは週刊少年ニャンプで連載中の漫画家、工藤来夢よ！」
　胸を張ってそう言うが、話しかけた相手は無反応。漫画家なんですね、と響タルトは喜んでいたが。
「なによキミ！　ここは『工藤先生、ファンなんです！　サインください！』とか言って感激する場面でしょ？　ノーリアクションだなんて失礼しちゃうわね！」
　こいつ、漫画を読んでいないのかしら？　それともマジであたしを知らないの！？
　幽霊に対して怒っていると察したタルトは、近づいて「先生、落ち着いてください」と宥める。
「悪かったわ。キミも幽霊が出るのを待ちなさい。それにしても、なかなか現れないわね……」
　不貞腐れて地面に座り、来夢は別の幽霊を待つ。隣にいるのが彼女にだけ見える幽霊と知らずに……。