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海神の島にて
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苛烈な夏の太陽は、日陰に生きる者には拷問のように感じる時もある。
桜 月
は何方かと言えば陰に生きる、いや、生きざるを得ない側だった。桟橋に降りて日傘を開くも、それでも太陽は厳しく光差す。
月は森の奥深く、木々の葉の陰にたどり着いて、汗を拭う。洞窟でもあれば其処に行っただろうが、あてもなく探すにはこの陽光はつらい。木に生っているケーキやチョコレートの、あるいはワインやジュースの甘い香りが鼻腔を擽った。しかし、フツウの南国を想像していた月にとっては、どこか違和感を覚える。
「この島、何か思っていたのと違う感じだ……」
「不思議な島よね」
通りかかった
三宅 葉月
が、月の呟きに同意した。
「葉月さん、これから帰り?」
「いいえ、もう少し島を見て回るわ。あなたもどう?」
「私は……」
言い淀んだ月を見ても、葉月は感情を動かすことなく、
「そう。先に行くわね」
とだけ言って、その場を去る。
「……早く陽が落ちないかな」
月は呆気なく行ってしまった葉月の背中を見送ったあと、頭上の光を見て、それが月光の柔らかなそれに変わる瞬間をワクワクしながら待つ。それだけでは勿体ないから、島の荒唐無稽な風景に刺激されて生まれるものを、ノートに描きだしていった。想像以上に良い刺激になっているようで、筆が進む。今はまだ粗いところもあるが、いずれ寮の自室に戻ったら、きちんとまとめて形にしようと、月はノートの上のアイデアを見て満足げだ。
気分転換も兼ねて場所を変えると、先程までの甘い香りに満ちた空間から一転、潮の爽やかな香りと、穏やかな波の音がした。月はその光景に目を奪われる。
――触れて確かめたい……。
そう思うけれど、陽はまだ沈まない。日傘を差して少しその光景の中、歩いては限界を感じてまた陰へ。
――早く陽が落ちないかな。
月は改めてそう思いながら、夜を待った。
じりじりと陽に焼かれながらも、心に留まった景色を、スケッチブックの上に描きだすのは先程月の横を通り過ぎた葉月であった。彼女のいつも身に纏っているゴシックなドレスは、光を良く吸い込んで熱を持つが、お洒落は我慢。それよりも、目の前の景色をスケッチすることの方が重要だった。時を忘れて書いていると、誰かの気配を感じてはっと顔を上げる。そこに居たのは、月詠だった。
「失礼、邪魔したな」
月詠は木に生っているケーキを次々と絵にして封じていった。ある程度採り終わると、次はパンとチョコレートの生る木に対してその作業をするつもりらしい。葉月は先んじてケーキの実を取っておくと、元の場所に坐って月詠が採集するのをじっと怪訝な顔で見つめる。
「アンケートは終わったのかしら」
「ああ。そういえば君の希望を聞いてなかったな。何かあるか」
「別に、何も」
ボトルメールに書く内容を、月詠が皆から聞いていたのを葉月は見ていた。取り立てて希望のなかった彼女は月詠に訊かれる前にさっさと森の中へ入ったのだが、此処で漸く捕まることになった。といって、月詠も月詠で、葉月の応えに対して深く追求するような性質でもなかったので、そこでその話は終わる。
「そんなに集めて、何をするつもり?」
「小屋を改造して喫茶店にしようかと」
「そう」
「で、どう思う。この島を見て」
「別に、何も。刺激にはなるわ」
葉月の言葉に偽りはない。月詠もそれをわかっているので、彼女なりの見解を述べるだけに留めた。
「人間は、パンとお菓子だけでは食っていけない」
「信仰の話でもするつもり?」
「嗜好の話だ」
月詠の話を聞きながら、葉月は近くの池から紅茶を汲む。池から汲んだものだというのに、その液体は淹れたばかりのそれのようで薫り高い。葉月はそれとケーキを併せて、お茶会のように切り株をセッティングする。月詠はそれをちらりと一瞥して、作業に戻った。
「生きることはできるだろうがね。いずれ飽きる」
葉月はケーキを崩しながら、優雅な所作で食べ進める。その前では、ケーキの欠片が無くなるのと同じスピードで、木の上のパンとお菓子が月詠の絵の中に閉じ込められていく。どういう手品を使っているのか、葉月にはわからない。が、それは月詠のろっこんによるものだ。
「海神なのかウミコーギーなのか、どっちが作ったのかわからんが、まあ節操なく創造したよね。子供が思い描くソレだ」
「成程ね」
葉月がケーキを食べ終えた刹那、ぱたんとスケッチブックの閉じる音が響いた。見ると月詠が帰り支度を始めている。
「あら、もう戻るの」
「ああ。皆が帰るまでは居るつもりだから、出来たら君も来い」
「気が向いたら、行くわ」
あっさりとした別れだった。紅茶を飲み終えた葉月は、今度は場所を変えてスケッチを再開しようとしたが、ふとあるものが目に留まって足を止める。
「あら」
それは煌めく水晶だった。森にこんなものがあるとは――そう思いながら綺麗なそれを手にすると、水晶は葉月の手の中で細かく砕け散った。しかし不思議と怪我はない。その跡を見ると、キャンディのようになっている。
光に透かして、摘んで、確認してから、葉月はそれを口に含んだ。ひんやりとした甘みが、葉月を歓迎した。
「さてと」
月詠もまた、葉月と別れてから新たなる食材を手にするべく森の中を進んだ。するとジュースの川がある。月詠はスケッチブックの中から空ボトルを取り出すと、流れているジュースを封じ込めた。面倒なことをしていると自嘲するが、文化人として直に飲むのはいただけない、という考えでやっている。喫茶店を銘打つ以上コップで提供したいという拘りもあるが。
そうして食材を集め終えた月詠は、小屋に戻るとすぐさま便箋に皆の希望を綴った。便箋いっぱいに、限界まで書き留められた願いを、空のボトルに封じる。
「あとは流すだけか」
月詠は立ち上がって、海へと向かった。海は来た時と同じように穏やかで、太陽は西に傾いて水平線に沈みかけていた。空の茜を見て、旅行者たちが次々と小屋の付近まで戻ってくるのが見える。月詠はそっとボトルを海に落とした。ボトルは波に乗って、遠くへ、遠くへ流れていく。
「ん?」
月詠はふと目を向けた桟橋に、寝袋が並んでいることに気付いた。近付いてみると、その一つに手紙が入っている。開くと、中にはこう書いてあった。
『人間に睡眠が必要なことを忘れてました。反省してます』
月詠はただ、自分の分の寝袋を取って小屋へ戻った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
六原紀伊
前回シナリオ
海神の庭にて
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月20日
参加申し込みの期限
2017年09月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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