からんからん……壮年の男性が持つハンドベルが鳴った。駅ビルで行われていたくじ引きの列の先頭、そこにいた客が何か当てたらしい。周囲で買い物をしていた人々がその客の姿を一目見ようと集まってくる。その視線の中心にいたのは、白く長い髪が印象的な少女、
桜 月だった。
「む」
「おめでとうございます!」
月の白い手に、チケットが渡される。
ちょうど予定も空いていたし、せっかくだから……と、出発日。港には二艇の船が並び、乗客を待っていた。
月が船に乗り込もうと歩を進めていると、ふいに肩を叩かれる。
「ダメダメ、お客さんはこっち!」
「そうなのか、それはすまない」
振り向くとその船の乗組員なのか、制服を着た男が立っていた。その男に案内されるまま、月は船に乗り込む。
遠くなっていく寝子島を眺めながら、月はわくわくしつつ到着を待った。
「本当に、あの島で合ってるのかな?」
目的地であるはずの島を前にそう言ったのは
空乃 アリアだった。都合がつかなくなったという知り合いに渡されたチケット。その時は沖縄行きと聞いていたはずなのだが、どうも話が違う。そう思っていると、突如放送が始まった。
「みなさん、このあいだはありがとうございました」
「面白かったよ」
快い音楽とともに、アリアには聞き覚えのあるあのコーギーの鳴き声と、もう一人、男か女か判別のつかない不気味な声。響く声は乗客の動揺を無視しながら続いた。
「というわけで、お礼に南の島をプレゼント!」
「たのしんでもらえたら、うれしいですけど」
不気味かつ飄々とした声の後に、ウミコーギーの不安げな声が重なった。そうして、
「それじゃあまたね!」
という一方的な言葉と共に放送が断ち切られ、船内を沈黙が支配する。その後に続いた、到着の知らせ。
――面白いことになったわね。
アリアは降りる乗客の波に流されながら、笑みを浮かべた。
お世話になっております。六原です。
ガイドに登場してくださった桜 月様、空乃 アリア様、ありがとうございました。
もしご参加されるようでしたら、ガイドの内容に捕らわれず自由にアクションを書いていただければと思います。
リアルタイムでは涼しくなり始めましたね。
季節外れになってしまいましたが、ちょっと不思議な島でのバカンスはいかがですか。
概要
先日のお礼に、海神が皆さんを南の島へ招待しました。
なんの手違いか、海神の気まぐれかはわかりませんが、前回関わってなかった方も呼んでいるようです。
今回から新しく参加される方は、前回参加していなかったけど実はいた、全く関わっていなかったなど、自由にアクションを書いていただければと思います。
◆この島について
海神が即席で用意した、夏真っ盛りの南の島……のようです。
この島から見える海は寝子島の海とは違ったものでしょう。異世界かもしれない。
どこにある島なのかを知る術はありません。
時間が歪んでいるのか、ここで何日過ごしても寝子島では1日以上時間が経過しません。
島で見るものは常識に外れたものが多いですが、食べる上で健康上の問題はありません。
奇妙なものに混じって普通の川や池、植物、動物も見ることが出来ます。
生態系などはあまり深く考えず創ったようです。
※奇妙なものの例:ケーキやパンのような実が生る木、ジュースやお茶の池、ワインなど酒が湧きだす泉、かさがチョコレートのキノコ など
ときどき、夜に空の星が落ちてきます。
落ちてきた星は食べることが可能で、金平糖のような味がします。
参加者様以外誰もいない無人島ですが、海岸付近に一軒小屋が建てられています。
小屋の中には製氷機とかき氷器、食器棚、冷蔵庫と机のほか、空のワインボトルが何本か並べられています。
机の上にはペンと便箋が。欲しい物や設備があったら手紙に書いて海に流してください。
島への移動は船が使われます。帰りたくなったら桟橋から船に乗って寝子島へ。
船は一日一回、正午にこの島を訪れます。海神に頼んだ物はこの時一緒に届けられます。
一度寝子島に帰ってしまうとここへ戻ることができません。忘れ物に注意。
◆海神様
とても大きな、よくわからない、ちょっとワガママな存在です。
皆様に害をなすつもりはないようです。
時にボトルの中の手紙の主として、時に船の乗組員として皆さんの前に姿を見せますが、その容姿は統一されていません。
それでは、ご参加お待ちしております。