あやかし大戦争｜リアクション

あやかし大戦争

■人妖闘争伝・真の巻
　決戦は終わってなどいない。
　勝利にうかれた人類軍の隙を突くように、七峯亨・矢萩咲・哀坂子夜ひきいる三合鬼軍が襲撃をしかけたのだ。
　次々と斬られ、焼かれ、潰されていく人類軍。
　人類軍に残った英雄、御剣刀・尾鎌蛇那伊・椿美咲紀らはそれを迎え撃った。
「やめろ、もう決着はついた筈だ！」
「いいや、まだだよ」
「悪食殿は殺されてなどいない。より戦を長引かせるため、より戦火を広げるため、影武者を放っただけだ」
「おかげでこォんなに美酒がたまった……アハ、あはは！」
　咲の稲妻が大地を焼き、蛇那伊の尾鎌組が焦げた屍と化していく。
「貴様ァ……！」
　刀が敵意をむき出しにして襲いかかるも、子夜がその間に割り込んでいく。
「貰って、いい？」
「好きにしな」
　亨は血のついた手を顔に当て、べったりとぬりたくると蛇那伊めがけて走り出す。
「最後の花火だ。楽しませてもらうぜ！　なあ咲！」
「ほな、うちも暴れたろうか！」
　子夜と刀の剣がぶつかり、衝撃で草木が吹き飛んでいく。
　巨大化した咲と亨が大地をめちゃくちゃに踏み荒らし、巨人殺しの構えをとった蛇那伊が大砲の弾のごとく飛び込んでいく。
　一方で。
「くふふふふ、ふははははは！　やはり戦場はこうでなくては！」
　翼を広げたアケーチ・タッマーキが戦場に現われ、無数のコウモリやオオカミを生み出してはけしかけていく。
　美咲紀は神楽舞いをはじめ、樹木の力でそれらを打ち払った。
「そこまでだ。これ以上の決戦は必要ない」
　そこへ飛び込む旅鴉月詠。
　美咲紀たちのほうへ手を翳した。
「助太刀する。この戦争は、終わっているはずなんだ。無用な虐殺を許すわけにはいかない」
「承知しました！」

　高い塔の上。
　常闇虚はうっとりと戦の炎を眺めていた。
　そばに控えているのは二人の側近のみ。
　側近の差し出した皿から果実をつまみあげ、虚は大きくあけた口で噛み千切った。
「食べ残しはもったいないわ。戦がひとたび起きたなら、恨み恨まれ渦巻いて、最後の一人になるまで殺し合わなくちゃ。そして死はさらなる戦を生み、戦は次なる戦となり……世界は戦を連ねていくのよ」
　がり、と林檎の実を囓る。
　その口から、とろりと血が漏れた。
　気づけば側近の女が毒の短刀で虚の脇腹を刺している。
「あなた」
「これも、私の責任だもの」
　側近の姿はみるみる変わり、青山絢の姿となった。
　刀を捻り、押し込んでいく。
「戦は終わりよ。私と一緒に、死んでちょうだい」

　決戦は、人類軍の勝利によって幕を閉じた。
　妖軍に残った三合鬼と烏天狗の生き残りである月詠たちは対話の末に山への不可侵を帝に認めさせ、さらなる戦は回避された。
　帝が不可侵を認めたのは、アケーチは戦の中で倒れ、虚も暗殺された今、妖が再び軍を率いて人類に戦を仕掛けることはないだろうと思われたがゆえだ。
　だがしかし……。
「あァ、恋しい。美酒が恋しい」
　三合鬼の中に、新たな火種が生まれつつあることには、未だ誰も気づいてはいなかった。

　あやかし大戦争、これにて閉幕。

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あとがき

担当マスター：青空綿飴
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大変お待たせしました。
あやかし大戦争、いかがだったでしょうか。
普段の皆さんらしくも、しかしちょっぴりいつもと違う、すこし不思議な世界観をお楽しみ頂けたかと思います。

どんなことでもそうなのですが、『うちのキャラクターだったらどんな風になるかな』というのは楽しい空想ですよね。
先日ショッピングモールを歩いていたのですが、時計ショップや帽子屋さんに入ったとき、シナリオに参加したキャラクターたちならどんなアイテムを選ぶだろうと考えながら商品をみているといつもよりも楽しくショッピングができました。ぜひおためしあれ。

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