this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
まかい探訪記
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
12
つぎへ >>
次の話次の話、と機械の子らがせがむ。
背嚢からセルバノの角を削り出した横笛を取り出し、場繋ぎに吹き鳴らす。
「ねえ」
子らの輪の中に混ざっていた、一見ヒトの少女とも見紛うような可憐な姿した機械の少女がどこか機械じみた動きで首を傾げた。
「ピクシス君は?」
人形じみて白い綺麗な肌に人形じみて完璧な笑みを浮かべる少女は、人形師が精魂込めて縫い付けた精巧なフリルの衣装を揺らして身を乗り出してくる。しゃらん、と少女がフリルのドレスのそこここに飾った時計モチーフのアクセサリーが小さく鳴った。
今は眠っている、と応じる。少女の漆黒の瞳を見たその途端、その余りの深さに息を呑んだ。
例えば瞳の奥に大量の歯車が隠れているような、その数え切れぬ歯車の群れが寸分の狂いもなく駆動し続けているような。正確な動きでもって、気の遠くなるほどに膨大な記憶や知識をほんの些細なことですらその脳幹部に保管し続けているような。
永遠に近く生きながら、その永遠の間に見聞きしたすべての記憶と知識をその少女のかたちの内に収める怪物の深淵を垣間見た気がした。
君は、と思わず問う。
「あたしは
時計の魔女
」
その名に聞き覚えがあった。
機械の町の一角にある時計工房に暮らし、可憐な少女の如き美貌を持ちながら、時の魔法の媒体となる時計を作る職人。彼女の作る時計は、操ることが不可能とされる時の流れを緩やかにも光の速さにも変えるという。
時を止めることさえ叶うとされるその時計は、けれど強大な時の流れに抗うことが困難を極めるが故、一度使えば器に秘める魔力は完全に失せてしまう。
魔神の御業にすら匹敵するほどの力を秘めたその時計は、見た目は美しく精緻な意匠の懐中時計のかたちをしていると聞く。――正直なところ、本気にはしていなかった。
ここで、時計の魔女たる彼女との邂逅がかなうまでは。
それほどに彼女の黒い瞳には美しい神秘に満ちていた。幾億の精密機器で精製された彼女であるのならば、時を制御する魔法も使えよう、そう信じることができた。
機械の町には、彼女のようなまものがほんの気まぐれに、普段籠っている工房なり城なりからふらりと姿を現す。周囲のまものと何ら変わらぬ姿かたちをしていようが、その身に宿す力や知識は時にまかいすら変え得る。けれど彼女たちはそのことに大抵無頓着だ。であるからこそ、まかいは今日も平和であるのだろう。
ほとんど伝説のまものを不意に目前にして、吟遊詩人でありながら言葉を失う。時計の魔女にあどけない仕草で覗き込まれ、その計算されつくした流麗な仕草に知らず感嘆の息が零れた。
「ねえ」
時計の魔女は少女めいて微笑む。
「お話、聞かせて?」
時を操る時計の製作者である少女にも乞われ、ならば、と私はまものずかんの頁を捲る。広げるのは、『火山地帯』の章。やがてまおう城に至る過酷なその地にも、まものたちは確かに生きている。
「そこな語り部」
声を掛けられたのは、火山に囲まれた湯治の里でだった。
まおう城に至る火山地帯の入り口にあるために『さいごの村』とも呼ばれるその村の宿場で、その時私はリュートを奏でる場所を探していた。
湯煙漂う村の路に立っていたのは、フードつきのマントで体も頭も隠した人物。
「物語を聞かせ――」
居丈高に言いかけて、彼女は誤魔化すように咳払いをした。狼狽えるようにフードの下に隠した緋色の瞳を右往左往させて後、
「おはなし、きかせてくださいな」
懸命に取り繕う。如何にも頑是ない少女のような言葉遣いとなる。
私の羽織る擦り切れたマントなど較べるべくもなく、内側に艶やかな毛皮を薄く張った豪奢なマントの胸元には、琥珀金の宝石のブローチが光っている。
湯治客が行き交う路で思わず彼女を見つめる。
「な、なんじゃ……なにかしらっ」
声を裏返させる彼女に、私はそっと首を横に振って見せた。できるだけわざとらしくならぬよう、にこやかに笑ってみせる。
「如何なる物語を、お聞かせいたしましょう」
「う、うむ、うん、ならば火山地帯のまものの話を聞かせ、……きかせてっ」
「それならば、今しがた村人に聞いたばかりの白き麒麟についての物語を」
そう言ってしまってから、少しばかり悪戯心が過ぎたかと反省する。
彼女は目に見えて慌てた。違う違う、と幼子が駄々をこねるように首を激しく横に振る。
「違うのじゃ、ウチが聞きたいのは」
「
宝石生ずる竜の姫
の物語?」
「そうじゃそうじゃ、それが聞きたいのじゃ!」
うっかりフードが外れてしまいそうなほど大きく何度も頷く彼女を、ならばこちらへ、と近くの噴泉広場の端へ案内する。時折地面から噴出する温泉の音を伴奏に、語るは火山地帯にある希少石鉱脈を庭とする優しい竜の姫の物語。
(けれど、……さて)
遠眼鏡にうかうかと覗き見てしまった彼女の様子は黙した方が良さそうだ。
語るよりも先、脳裏に浮かんだのは遠眼鏡の丸い視野の中。
黒煙をあげる黒い岸壁にちょこんと腰掛け、退屈そうに深紅の翼と尻尾をゆらゆらさせる、黒髪の竜人。黒髪の頭から伸びる立派な角からも、被膜の翼や尻尾からも、蜜が溢れるようにして黄金に煌く宝石が生じつつある。ひとの肌よりも遥かに白く、蒼白くさえ見える腕や腿にも琥珀金の魔宝石を宿す、稀有な『宝石竜』。
華美な装飾を纏わずとも豪奢な美しさに息を呑んだ。天を衝く火山にまで続く溶岩地帯の一角、巨大な礫岩の影に身を潜めたまま、思わず遠眼鏡を目に当て続ける。
どこまでも優美な指先をひらりともたげ、美しい少女のかたちした竜の姫は、不意にくぁ、と美少女らしからぬ大きな欠伸をもらした。
おもむろに頬杖をつき、足元に湧く溶岩の泡を詰まらなさそうに蹴とばす。ついでに足元に寝そべる眷属のものらしい緋色の小竜になにごとかを命じるも、小竜は眠たげに瞼を上下させるばかり。あまつさえ主であろう竜の姫を鼻先で押す。
お前が見回りに行け、とでも言いたげな忠誠心に欠ける仕草に、竜の姫は不承不承立ち上がった。宙にゴーレム作成の呪術文字を記しかけて、ちょっと考えてから面倒くさそうに止める。自分の翼で羽ばたき、晴れ渡った空へと舞い上がって、途端、竜の姫は歓声をあげんばかりに顔を輝かせた。
――目の前でフードに顔を隠し膝を抱えて座る彼女に聞かせるには、この後からが良いだろう。
見つかった、と思ったときには遅かった。
背嚢とリュートを抱え、慌てて踵を返すも、頭上には既に力強い翼の羽ばたきが聞こえている。
押し寄せる風に背を押され、転ぶ。尻餅をついて天を振り仰げば、そこには緋色の翼に風を巻いて浮かぶ竜の姫の姿があった。
「くくっ」
紅榴石の如き瞳を残忍に細め、竜の姫は笑った。
「さぁて此度迷い込んで来たのはどんな輩か?」
透き通る黄金色した高貴な宝石をその華奢な身に宿す宝石竜の姫はふわりと地面に降り立つ。細い指をすらりと伸ばし、突き刺すようにこちらを指す。
「妾の庭から玉を奪わんとする莫迦か、それとも妾を討って名を挙げんと考える命知らずか――さて、主はどちらかの?」
楽し気に言い放ち、薄い胸を逸らして腕を組む。精いっぱいに睥睨してくる。
吟遊詩人である旨、希少石の鉱脈を領域とする宝石竜の姫の話を是非とも聞きたい旨を告げれば、途端、彼女は拍子抜けしたようにどこか幼い仕草で黒い睫毛を何度も上下させた。そうしてから、慌てたようにそっぽを向いて唇を尖らせる。
「そんなことは既に見え透いておったわ、戯けっ! 主を謀っただけじゃ!」
翼を広げ、全身に力を込めて言い募る。蒼白い頬に朱がさしているようにも見えたのは流石に見間違いだろうか。
「ほ、本当だからな!」
頬さえ膨らませる竜の姫をなだめ、姫の物語を問う。日々を如何にして過ごしているかと尋ねてみれば、竜の姫はこくりと小さく首を傾げた。
「妾の庭たるこの鉱脈を不埒者から守るのが日課じゃな」
広大な火山地帯を見晴るかす深紅の瞳には、見ている者を惚れ惚れとさせるほどに堂々とした光が宿っていた。彼女にとって此処を護ることこそが、何よりの誉れであるのだろう。
「盗掘なんぞしようものなら端から骸へと変えて鉱脈の外へと放り出してくれるっ!」
朗々と声を張って後、ぽつり、呟く。
「あとは、玉集めとかそれらでアクセサリー作ったりとか……」
よくよく見れば、お手製らしい可愛らしい角飾りや首飾りが少女めいた身を飾っている。
私の不粋な視線に気づいたか、竜の姫はムッと眉を寄せた。何でもない、と頬をひっかく。
「気のせいじゃ、……気のせいじゃ」
背を向ける姫に、火山地帯を通る帰りが心もとないことを零す。くすり、姫は笑ったらしかった。
「心配いらん、妾が人里までは送ってやる。なに、これでも竜の姫、其処らの芥に遅れは取るまいよ」
「斯くして詩人は無事に火山を下り、こうして物語を語ると相成ったので御座います」
リュートを爪弾き、紅玉じみた緋色の瞳を最早隠そうともせずにきらきらと輝かせて聞き入ってくれた竜の姫に深く一礼する。
己が物語が気になるばかりに姿を隠して今一度人里にまで降りてきてくれた彼女に、満足いく物語を果たして聞かせられただろうか。
まものずかんを綴るための路銀を稼ぐ手段とは言え、物語の感想はとても気になる。物語の聞き手が当の本人であればそれはなおのこと。
「お聞きくださいましてまことに有難う存じます」
姫、と付け足しそうになった口を慌てて閉ざし、頭をさげる。
「……まあ、よかろう。これから先も妾の偉大さを後世にまで知らしめんがため存分に語れ、詩人」
小さく笑う竜の姫の声を聞いた気がして顔をあげても、高貴で可愛い竜の姫の姿はそこにはもうなかった。
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
12
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
まかい探訪記
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月10日
参加申し込みの期限
2017年09月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!