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まかい探訪記
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時計の魔女や機械の子らと別れ、機械の町を歩んでしばらく。
夜陰に蒸気の渦巻く町の一角に、その劇場は在った。
――気を付けて
時計の魔女の忠告を今一度心に刻む。
ひとつ、劇場を傷つけぬこと。
ひとつ、公演をけなさぬこと。
故意か事故か劇場に迷い込んだものの中には、劇場から逃れ出ようとするあまりに劇場の壁を壊そうとしたもの、公演をくさしたものもいたらしい。
壁を壊したものは背中の骨を微塵に砕かれ、公演に文句をつけたものは口を縫われ、それぞれ劇場の外に転がされていたという。
かつては迷い込んだものを襲い、その死体を人形へと加工していた劇場主のまものにしては、その仕打ちはけれど優しい方の『お仕置き』らしい。
主が優しくなったのは、ある日ひとりの老人が自ら劇場に入り、それきり出てこなかったときからだと言うが――
老人は、入場者を襲う劇場主に如何なる術を施したのだろう。
煉瓦積みの劇場館の前に立つ。開かれたきりの門扉を潜り、両開きの扉に設えられた獣のかたちのノッカーに手を掛ける。
来訪を告げるより先、音もなく扉が開いた。中から溢れだす眩しいほどの光に圧されて思わず後退るも、光と共に伸びてきた冷たい手に手を掴まれた。
「ようこそ、我が劇場へ!」
朗々と声を響かせたのは、シルクハットを被った黒髪の青年。私の両手を取るその手は、球形関節人形のそれだった。
琥珀色した硝子の眸に町の光を反射させ、彼はシルクハットを取るなり芝居がかった一礼をする。
「俺は
ククロセアトロ
」
舞台を楽しんでくれるかな、と人形の頬で微笑む彼の背には、金色の巻き鍵がささっている。
頷けば、紅い絨毯の敷かれた廊下を丁重に案内された。周りを照らすは、玩具の兵隊じみた小さな人形たちが手に手に持ったランプの光。その光に人形から伸びる極めて細い透明糸が僅かに見えた。糸は全て、先を歩く劇場主ククロセアトロに繋がっている。劇場でただひとり意思持つ彼が、この劇場の人形たちを全て操っているらしかった。
それはなんという途方もない研鑽の果てに辿りついた極地なのだろう。
彼はいつからここにいるのだろう。人形であるはずの彼を制作したものは今どこにいるのだろう。
問うが、彼は生者にしか見えぬ精緻な横顔を見せて興味もなさそうに首を横に振るばかり。
「さあ、心ゆくまでご鑑賞あれ!」
通されたのは、豪奢な椅子が一脚あるばかりの劇場。勧められるまま、柔らかな椅子に身を沈める。
天井につるされたクリスタルのシャンデリアが虹色の光を床にまき散らす舞台の上、人形の青年は凛と背を伸ばして立った。途端、何処で歯車が小さな音たてて回り始める。舞台を隠す緞帳が開き、中から今しも通ってきたばかりの緋色絨毯の廊下の書き割り場面が現れる。
廊下を独り歩くは劇場主であるククロセアトロ。暗い顔に暗い瞳、上質なスーツにはいつの間にか夥しい血痕がこびりついている。
廊下の反対側、老人の姿した人形が現れた。紛れ込んだ人を襲う劇場主に朗らかに笑いかけ、ここで暮らすことを楽し気に宣言する。戸惑う劇場主のスーツを脱がせ、洗濯し皺を伸ばし、孫にするように着せ掛ける。
ククロセアトロがいくら殺すと脅しても、老人は楽し気に笑うばかり。愛しい孫にするように世話を焼くばかり。鼻歌まじりに幾体もの人形を作るばかり。
彼の作る人形はどこか、劇場主と似ていた。
老人を脅すばかりだった劇場主は、やがて老人の作った人形で遊ぶようになる。老人が語って聞かせた物語を人形劇に仕立てあげるようになる。
「喜劇も悲劇も好きだけど」
老人に向け、孤独を忘れた劇場主は笑いかける。
「俺は貴方の語る幸せな結末が大好きだ」
けれどやがて、老人は死に至る。劇場主が演ずる幸せな物語の結末を椅子に掛けて眺めるまま、皺深い唇に笑みを刻んだまま――
「さあ、次は何を演じよう」
老人と語り明かした日々を思い出しては様々な物語としているのだろう。
出来得るならば、劇場主の気が済むまで彼と彼の人形たちが演ずる劇を見ていたかった。物語る位置を離れ、物語られる位置に座していたかった。それほどまで、椅子に身を沈めて観る劇に心を奪われた。
ククロセアトロ、と彼の名を呼ぶ。
「それとも聞かせてくれるだろうか、君の物語を」
少し寂し気に、けれど心得たように劇場主は微笑んだ。劇場よりの解放の条件は、劇場に足を踏み入れたもの自身の物語。
まものずかんの記し手としての己の物語と、今までに集めに集めたまものたちの物語を代償に、人形師でもあるククロセアトロに願うは此処よりの解放と、もうひとつ。
竜魔人ジオの城で得た古の術式と、時計の魔女より与えられた時を操る時計。そして、人形師ククロセアトロ製の義肢。それらを背嚢に仕舞い、私は再び海底遺跡に向かう。
けれど遺跡に囚われし彼のまものを解き放つに至るまでの物語も、向かう先々で出会う魅力的で愛すべきまものたちの物語も、また別の物語――
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
まかい探訪記、お届けにあがりました。
みなさまの『まもの』、とても楽しく描かせて頂きました! とても楽しかった!
怖いまものも可愛いまものも、ちょっぴり哀愁なまものもまかいを見通すようなまものも、どのまものも個性豊かでした……!
寝子島もいいところですが、まかいもいいところですねえ。異世界な風景も、とても楽しく描かせていただきました。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
ご参加頂きまして、読んでくださいましてありがとうございました。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月10日
参加申し込みの期限
2017年09月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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