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まかい探訪記
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朝焼けの色を映し、覗き窓が赤銅色に光る。
「なんだそれ!」
私の姿を見るなり、ピクシスは笑い転げた。
全身鎧じみた潜水服に円形壺型のヘルメット、ヘルメットの後ろには空気を生み出す魔道機器が重々しくくっついている。確かにおかしな格好だ。
機械の町で仕入れた重たい潜水服でよたよたと歩き、船縁に寄る。ここでいいのか、と波間にふわふわと漂うピクシスに問えば、彼は大きく頷いた。
沖合まで連れて来てくれた船の主に礼を言い、しばらく待っていてくれるように頼み、宝石の色した海に足から飛び込む。真珠の塊じみた空気を水中にまき散らして沈めば、朝日の蜜色は見る間に夜の如き藍色へと変化した。
ヘルメットの額に装着したライトを灯そうとして、やめる。傍らをその身一つで進んで行く羅針盤の付喪神は、海が闇色に沈んでも全身ふわりと淡く白い光を放っている。
得体の知れぬ巨大魚の骨が横たわる海底に足がつく。不思議そうに寄ってくる不可思議なかたちした魚たちと共、羅針盤の付喪神の小さな背を追う。暗がりの海底にやがて見えて来たのは、古代に沈んだと思しき海底遺跡。自然にはあり得ぬ直線を描き、白い巨石が墓標のようにそびえ立っている。あるいは、巨大なナニカを納めた棺か。
光届かぬ海底に眼を凝らせば、遺跡の周囲には大小さまざま、時代もさまざまの船が数え切れぬほどに沈んでいた。海流の関係なのか、遺跡に潜む何らかの力が働くのか。ここは船の墓場でもあるらしかった。
船の周りには蒼白い燐光放つ骨のかたちした魚たちが亡霊のようにゆらゆらと泳いでいる。
こんな寂しいところに、と思わず囁く。一際巨大なガリオン船の残骸へと足を速めながら、ピクシスはあっけらかんと笑った。
「いつもは寝てるだけだからな、別に構わねーんだ」
それよりも、とどこか慌ただし気に周囲を見回す。どうかしたのかと訊ねるよりも先、銀色の光が足元を貫いた。
「――これは警告だ」
舞い上がる砂の影、蒼白い魔術の光放ちながらも無機質なケーブルじみたナニカがある。その先端、潜水服も骨肉も容易く抉るほどに鋭く尖った鏃を目にして、背筋が凍った。強張る体に反して、視線だけが動く。武器を移植された獰猛な触手のもとを辿る。
沈没船に護られる箱舟にも見える遺跡の前に、彼は立っていた。
最初、人魚の王が現れたのかと思った。
自在に動く十数本の触手じみた魔道機械脚にはそれぞれ形状の違う、どれも殺傷能力の高そうな武器が装備されている。いかにも魔道機じみた下半身とは違い、腰部から上はヒトのそれ。それでも、腹から胸かけての鍛え上げられた線は彫刻じみて美しかった。
海生生物型の機械とヒトの合いの子、生体兵器ともゴーレムとも呼ばれるまもの。おそらくは、この海底に沈んだ古代文明の置き土産。
棺の如き遺跡を、おそらくは最早主など居らぬこの場所を、永遠にも思える時間を護り続けているのだろう。
「盗掘者か、物見遊山の無粋者か」
口に銜えた空気生成魔道機器から銀色の泡を吐き出し、彼は低く問う。どこか虚ろにも見える哀惜帯びた眸が剣呑な光を宿す。下半身の触手が別の危険な生き物のようにゆらゆらと蠢く。
今にもその一本に腹を貫かれそうな気がして体が強張る。
「答えろ。若しくは黙して去れ」
「ッ……待てよ、待ってくれ!」
ゴーレムの鋭い視線に怯えるあまり動けぬ私の前、ピクシスが飛び出した。小さな両腕を広げ、庇ってくれる。
「こいつは俺を引き上げに来てくれたんだ!」
ゴーレムに比べあまりにも小さな体を精いっぱい伸ばし、海底に横たわるガリオン船を指し示す。冷たく苦い水の底に沈み無残に竜骨晒す船の傍、真鍮の光宿す円型が白砂の上に転がり落ちている。掌よりも一回りばかり大きいだけのそれが、ピクシスの本体である羅針盤。
「頼むよ」
必死の声を上げるピクシスを見、その後ろで立ち竦むばかりの私を見、海底遺跡の護り手は瞼を閉ざし息を吐いた。彼の意思を受けてか、下半身の攻撃器が動きを止める。
安堵して跳ね回るピクシスに言われ、海底に沈む羅針盤をそっと拾い上げる。潜水服につけた籠にしまい込む。
その場を去ろうとして、出来なかった。
話を聞かせてくれないか、と決死の思いで頼み込む。彼は驚いたように眼を瞠り、
「ただの独白にしかならないが、構わないのか」
さっぱりと男らしい笑みを浮かべた。
恐ろし気な下半身に反し、上半身の彼は話してみれば磊落で人懐こい性格らしく――それ故に、昏い海底で盗掘者を相手取るばかりの長く孤独な年月に絶望していた。
そもそも己がゴーレムとなり果てた理由も、どれほどの長きに渡り遺跡を護り続けたのかすらももう記憶にないという。
「ここにあるのが何か大切なものなのか、ただの財宝の類か、それさえもそういや忘れたな」
もうやめてもいい、彼は魔道機に縛められた精悍な肩を小さくすくめる。
「が、やめると多分、この世からもオサラバだ」
この場を離れれば、遺跡から供給される魔力が絶える。下半身の魔道機械が停止すれば、それによって無理やりに命を継がれている彼も死ぬ。命惜しくばこの地に繋がれ続け、遺跡を護り続けるしかない。
「海底文明の末裔、生き証人だぜ」
例えば、古代文明の末裔が遺跡を生き返らせれば、お役御免と相成るかもしれない。
例えば、下の機械部分を挿げ替えてしまえば命を長らえさせられるかもしれない。
「……自由にしてくれるヤツと巡り合えるとも思えないが、そういうのに巡り合えるか、ただの墓守……」
言いかけて、彼はふと思い出したらしかった。かなしげに遺跡を仰ぐ。
「ああそうか、ここ、墓だったのか」
己がただの墓守であると気づいた彼に残された道は、ふたつ。墓守として永遠の時間をかけて朽ちて行くか、一粒の希望を求めるか。
『The Keepsake』
と名乗った彼はどこか清々しい顔で笑う。
「どう転んだって、此処に居るのはもう十分だ」
だから約束をした。
いつか必ず、墓守の任を解けるまものをこの海の底に連れてくるからと。それまでは命を継いでくれと。きっときっと、生きていてくれと。
「何故そんな約束をしたんですか」
もっと彼の話を聞きたいから、と私は笑う。
「私は、貴女にも生きていて欲しい。そしていつかまたここで、貴女の話を聞かせてほしい」
「……今日は雨が降りますよ」
風の乙女は梢越しに白み始める空を仰いで呟いた。
「かなり強い雨です。川の当たりは通らないほうがいいでしょう」
リュートの響きに耳を傾けつつ、彼女は南を指し示す。比較的穏健なまものの集落があると教えてくれる。そこで泊まるといいです、とつまらなさそうに続けてから、全くもって唐突に、ここまで言ってもわからないのかと不機嫌に頬を膨らませた。
「そろそろ帰れ、と言ってるんです」
不穏に周囲で渦を巻き始める風に追われ、荷支度をする。また来る、と梢に座る風の乙女を仰ぐ。
「……また来ても、あなたの事など忘れてると思いますよ」
つんと顔を背けながら、風の乙女はくすりと笑った。
「吹き飛ばされたいなら、どうぞ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月10日
参加申し込みの期限
2017年09月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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