キャットアイランド　～詳しくはウェブでね♪～｜リアクション

キャットアイランド　～詳しくはウェブでね♪～

　その少し前、『Lechat』では。
「いらっしゃいませニャ！」
「うわー、可愛いなぁ」
　売り子の白猫がトコトコと店先に出てきて、寝太郎は思わず顔を綻ばせた。
　店内には、相変わらず女の子のアバターが集まっている。
「あ、加瀬くんも猫島くんもいらっしゃい！」
　売り子猫の取次ぎを受けて、日菜が奥から出てきた。
「盛況ですねぇ」
「ふふ、これでも落ち着いてきた方なのよ」
　何せウサ耳の発売日には「重い！」「動けない！」と買いに来るアバターでエリアが渋滞していたのだ。
「ウサギのマスコットの方は、景品と一緒に送っておいたから、後で確認してね」
「ええ、それから……」
「うん、人形師さんの方ね」
　礼二が切り出すと、日菜はアバターの名刺を二人に渡した。
　名刺には『Mystique』というアバター名と、簡単な自己紹介しか書いていない。
　添付出来るスクリーンショットなどもなく、ごくシンプルなものだった。
「お店のアドレスはないんですね」
「大々的にやってる訳じゃないみたいね。アドレスはえっと……何処いったかな」
　日菜はアドレス帳フォルダを探している模様。
　活動や交流が増えると、クリップしたアドレスもかなりの数になってしまう。
「ああ、大体の場所が分かれば、近くまで行って探しますよ」
「そう？　じゃあ、一応行く前にMystiqueさんにメール入れておくと良いよ」

　話を進めていく礼二と日菜を脇に、寝太郎は名刺の名前をしげしげ眺めていた。
「おや猫島さん、どうかなさいましたか？」
「この名前、何処かで見た気が……あ」
　寝太郎はもの作り教室に参加した時の事を思い出した。
　あの時、至極普通に講師陣に混ざっていたのは……。
「という訳なんだよー」
「なるほど」
「Mystiqueさんならそういう活動にも積極的そう。寝子島は狭い、かな？」