キャットアイランド　～詳しくはウェブでね♪～｜リアクション

キャットアイランド　～詳しくはウェブでね♪～

　そして、礼二のカジノ予定地。
「すげー……なんだこの建物」
　呆気に取られたように、ラッセルは大きな建造物を見上げた。
　看板こそまだ取り付けられていないものの、白基調の外装は周辺の木々と相俟って、まさにアーバンリゾートといった雰囲気になっている。
「お待ちしていましたよ」
「あ、いらっしゃーい」
　扉を潜ると、礼二と製作中の寝太郎がいた。
　とはいえ内装もほぼ完成していて、細かい部分を仕上げる段階のようだ。
「建築する姿も、結構さまになってるね」
　ちょっと感心げに天野が言うと、寝太郎はへにゃりと笑った。
「そりゃあ何日もやってたら、慣れるよー」
　普段怠けてしまいがちな寝太郎が精を出しているのは、礼二の目が光っているからだけではなかったのかも知れない。
　元々お祭り好きで、楽しい事の為ならちょっと頑張れるのが彼の良いところ。
　今回はちょっとどころじゃない気がするけれど、最初は何がなんだか分からなかった操作画面を理解して、想像に近いものが出来てくるとどんどん楽しくなっていく。
　ハマってなかなかやめられない人の気持ちが、少し分かる気がするかも？
　ラッセルは彼らにも『ソラ』を見せた。
「これを完成させてーんだ」
「マネキン？　へえ……よく出来てるね」
　細やかな造形に、寝太郎も感心げだ。
　天野もほんのり笑みを浮かべる。
「桜井は本当、器用だよね」
「へへ……でも、肝心の中身がなぁ。ああいうゲームとかも、複雑なスクリプト使ってるんだろうけど」
　チラとスロットなどのマシンを見遣るラッセルに、礼二は目を細めた。
「興味がおありとは思いますが、先に大切な用を済ませてしまいましょう」
「う、そ、そうだよな……！」
　ラッセルたちがマネキンを直す為に人形師を求めているのと同時に、礼二は件の人形師にこのカジノに相応しいディーラーを頼みたいと思っていた。
　他にもディーラー役のマネキンは調達してはいたものの、もうひとつ、特別なヤリ手のディーラーが欲しいのだと。
「では、行きましょうか」
　礼二の声で、彼らは別の場所へと飛んだ。

　おかしいと思ったところは徹底的に納得いくまで手を加え、旧市街の煉の自宅件道場もとうとう完成の日を迎えていた。
　木造の大きな建物は、旧市街の雰囲気にマッチしている。
「なかなかサマになってるな……」
　苦労しつつも自分の手で作っただけあり、感慨もひとしおだ。
　外に素材のフォルダにデフォルトで入っていた木を植えたら、更にそれっぽい雰囲気になった。
　その出来栄えに休憩を取りながらひとしきり満足すると、周辺も見てみようと通りに出る事にした。
「……そうだ、設定しておかないと」
　出掛ける前に、煉は敷地内の任意の場所でホームとして帰って来る場所の設定をした。
　アドレス帳の一番上にある赤い猫クリップの場所が、完成したばかりの我が家に変わる。