突撃！あなたのお弁当タイム｜リアクション

突撃！あなたのお弁当タイム

　時刻は、朝の６時。
　来島アカリは、眠い目をこすりこすり、ベッドから身を起こした。
（むー……ねむ……。もーちょっと寝てたい、けど……）
　ぼんやりと曇る頭で、今起きないと間に合わなくなってしまうとアカリは考える。
　アカリには、使命があった。
　お弁当を、作らなくてはいけない。それから、朝ごはんも。
（よし……起きなきゃ……）
　この春から、暮らしぶりが変わったアカリである。
　最近では、半同居人を無暗に起こさないよう、目覚まし時計だって使わないようになった。
　ベッドから下りて床に足を付け、うんと伸びをする。
（ちょっとずつ慣れてきた、かな……？）
　段々と冴えてきた頭でそんなことを思えば、口元に淡く笑みが乗った。
　制服に着替えてエプロンを装備すれば、朝の戦いinキッチンの始まりだ。
　目も、もうすっかり覚めている。
「よし！　てことで、まずは弁当の準備、っと」
　てきぱきとして冷蔵庫を開けるアカリ。
　その中に見つけた昨日の残りのひき肉を、アカリは引っ張り出した。
「これ、ミートボールにしよっかなー？　あとは……」
　卵を、幾つか取り出す。
　卵焼きは、アカリ作のお弁当にいつも入っている定番のおかずだ。これは欠かせない。
「今日も出汁巻きにしようかな」
　出汁巻き玉子が続くのには、アカリなりの理由がある。
　半同居中のその人の笑顔を思い浮かべて、アカリはそっと微笑んだ。
　手早くミートボールを作り、出汁巻き玉子を上手に仕上げる。
　それらを冷ましておきながら、次にチェックするのは炊飯器だ。
「ご飯は昨日の残りで足りる……な、うん」
　頭の中で、お弁当の仕上がりを計算する。
　ご飯を詰める、肉のおかずはミートボールがある、出汁巻き玉子も忘れずに入れる。
「彩りもいるよな。野菜は何があったっけ？　あとは、ちくわとかも詰めて……」
　と、ちくわを準備したところで、
「むー……二個とも同じだとちょっと味気ねーかな……？」
　なんて、アカリは首をちょっぴり傾けた。
　作るお弁当は、２つ。
　折角だから、アレンジしやすいちくわで少し雰囲気を変えてみたい。
　悩んだ末に、片方のお弁当のちくわにはきゅうり、もう一方にはチーズを入れることにした。
　具を詰めて斜めに切ったちくわは、簡単だけれど中々に見栄えがいい。
　弁当箱の中に、おかずやご飯を綺麗に並べれば、今日のお弁当は完成だ。
「あとは、朝ごはん作んないとな」
　お湯を沸かしながら、トーストを焼く。
　冷蔵庫にベーコンがあったのを思い出してそれを焼き、レタスを洗ったところでお湯が沸いた。
　丁寧な手つきで、紅茶を淹れる。砂糖とミルクも用意して……、
「うん、こんなもんかな？」
　と、アカリは腰に手を当てて、満足げに頷く。
　時計を見れば、そろそろ朝ごはんを食べなくてはいけない時刻だった。
「……と、もうこんな時間か」
　さあ、もうすぐ朝ごはんの時間だ。
　アカリの作った料理達は、「美味しい」の言葉を待ってどこか誇らしげに並んでいる。