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水底の廃墟
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石段の上には数十本の柱に支えられた巨大な神殿が屹立している。
「こんにちはっ!」
最後の一段を登り切り、
椿 美咲紀
は息を弾ませながら大きな声で挨拶をした。
「今日は」
美咲紀に倣い、後に続いた
八神 修
も神殿に向けて一礼する。
「二人とも元気だといいなぁ」
弾む足取りで神殿に近づこうとして、美咲紀はふと足を止める。神殿の前には数人の少女たちに守られるようにして、アレス翁が座している。
「おや、八神さん」
アレスの傍に居た
薄野 五月
がのんびりと笑った。顔を知る女子を見、修は軽く手を上げる。
美咲紀の元気な声を耳にしてか、五月の声を聞いてか、アレスが顔を上げた。よく来てくれた、と笑む老翁の前、美咲紀と修は膝をつく。どう見ても元気溌剌とは見えないアレスの様子に、美咲紀は心配げに眉を寄せた。
「あの、……あのっ、」
広場の屋台の品とは交換できなかった、個別包装のお菓子をポケットからあるだけ取り出し、アレスの前に広げる。
「お腹空いてませんかっ、一緒に食べるとちょっとは元気でますですよっ」
一生懸命な少女の様子に、アレスは心底楽し気に笑った。その後に小さく咽せ、疲弊した息を吐き出す。
「ありがとう。私はもう要らないから、貴方たちで食べなさい」
「何か、何か困ってる事あるのですか、……襲ってくる物がいるとかっ」
食べることを拒む老翁に、美咲紀はほとんど泣き出しそうな顔をする。
「困ってる事あるなら私達がお手伝いしますよ? 寂しいのならお話しましょ。悲しいのならみんなで楽しいことをしましょ」
「そうだ」
美咲紀の傍ら、修が力強く頷いた。死相さえ浮かんで見えるアレス翁を見、老人の傍に集まる寝子島の人々を見遣る。
「俺が、……俺達が手助けできる可能性もある」
縁を得て出会えたのならば、助けになりたかった。碧い水底に沈む美しい町を寂しく悲しいままにはしておきたくなかった。出来得る限り、この町に住む彼らの想いに寄り添いたかった。
きれいごとだと誰に言われようとも、
「困っているのなら、助けになりたい」
それだけは確かだった。
「聞かせてくれ。人々が何処に行ったのか、何になったのか。それは何故か」
少年の真摯な瞳に、老人は首を横に振る。
「此処にはもう、私とユニしか残っていない。町の皆はもう、何処にも存在していない。何故なのかは、……さて」
わかるのは、と老人は呻く。
「此処はもう、滅んでいる。守るべき人々が滅んだと共に滅ぶべきだった巨獣が欲を出した。ただひとりでも守りたいと願ってしまった。その願いのために、……」
言葉を閉ざした老人が、灰色の眼を見開く。杖に縋り、立ち上がろうとする。おじいさん、と
宮祀 智瑜
が声をあげ、莉鳥が素早く老人の肩と背を支えた。
少女たちの助けを得て立ち上がった老人の視線が向かう先には、石段を
志鷹 若菜
と手を繋いで登ってくる蒼い髪と青い瞳の少年がいる。
「ユニ」
アレスに呼ばれ、少年は若菜の手を離れようとする。
「ユニ君」
小さな手を握り直し、若菜は石段に膝をついてユニと眼の高さを合わせた。星空を閉じ込めたような首飾りを外し、ユニの白い首に掛ける。きょとんとする少年を優しく抱擁する。
「今日はありがとう。逢えて嬉しかった」
「うん、おれも」
そろりと若菜を抱きしめ返し、ユニは呟く。
「……また逢おうね」
若菜が続けたその言葉に背を向け、ユニは最後の石段を駆けた。しがみつくように老人に抱き着く。
「じいちゃん! じいちゃん、おれ、嫌だからね! ここに居るからね!」
「しかし、ユニ」
抱き着くなり喚きたてるユニの背を、若菜はそっとさする。
「ユニ君」
思い出すのは、初めて出会ったときに見せたユニの嬉しそうな様子。
――ひとだ!
あのときの満面の笑みに思う。この子は、この世界で永い間独りだったのではないか。だからこそ訪れた自分たちをあれほどまでに歓迎したのではないか。
十歳にも満たぬ少年の細い背を撫でる。町を護る巨獣の神殿を仰ぐ。思考が行きつくのは、
(生贄)
神や自然の怒りを鎮めるため、最も大切なものであるはずの人の子を捧げる話を聴いたことがある。
(もしかして、貴方も……)
「ユニ君、アレスさん」
ずっと考えていた。水底に沈んだこの町のことを。青い静寂に閉ざされて生きる少年と老人のことを。
ふたりの前、若菜は膝をつく。
「ふたりのことを、私に教えてください。知らずに帰ったら、きっと後悔すると思うから……」
以前と同じであるのならば、遠からず別れが来る。こちらの世界から、自分たちの世界へ、水に押し流されるように帰されてしまう。
若菜の真摯な新緑の瞳に、周囲に集った寝子島の人々の眼差しに、アレスは小柄な体が萎むほどに長い息を吐き出した。ひょいと杖を掲げるその背後、重厚な大扉が音もなく開く。
蒼い大蛟がその棺の如き神殿には座しているはずだった。
大きく開かれた扉の内側には、けれど何の姿もない。ただ虚ろに、水が揺蕩うばかり。
「老い果てた巨獣は、その力を跡継ぎの幼子に移し終えた。巨獣の身は失せ、遺っているのは最早幻影のようなこの身だけ」
「跡継ぎ……?」
若菜の視線に気づき、ユニはほんの少し笑った。
「元々、じいちゃんが死んだら、じいちゃんから力を受け継いで、おれが巨獣になる予定だったんだ。でも、もう護る町はないもんね。だから、」
あっけらかんと言い放つ。
「おれ、じいちゃんと一緒に死んじゃおうって決めたんだ。じいちゃんからもらった力を使って、じいちゃんに町がにぎやかだった頃を見てもらって。それでもう終わりにしようと思ってたのに、……じいちゃんはそれはだめだって。じいちゃんの体に最後の最後に残っていた力を使って、若菜たちを呼んじゃった」
話を聞いても動じず、静かに静かに背中をさすり続けてくれる若菜の手から離れ、ユニは神殿の奥に広がる暗闇へと後退る。
「じいちゃんはもうすぐ本当に居なくなっちゃうんだ。おれに若菜たちのところへ行ってほしいって言うんだ。でも、おれは嫌だ。ひとりきりでどこへ行けって言うんだよ」
「ユニ君!」
「いけない、ユニ!」
神殿の暗闇の中に佇み、若菜の呼びかけにもアレスの悲鳴にも少年は首を横に振る。
「大丈夫」
朗らかに笑う。
「みんなはちゃんと、元の世界に帰るから」
「だめです、だめですよー」
「ええ、いけません……っ」
五月が、
塔ヶ崎 璃亜
が、神殿の暗闇も恐れずに踏み込む。
「助けになりたいんだ!」
「困っているならお手伝いしますのですよ!」
修と美咲紀が手を振ろうとするユニの手を掴み取る。
「そのため、……呼ばれた」
「このまま帰れって言うの」
闇が凛と立ち、莉鳥が不機嫌に眉を寄せる。
「ユニ」
青い水の中からアレスに呼びかけられ、ユニは笑顔をくしゃりと崩した。胸元に揺れる首飾りを片手に握りしめ、アレスに呼ばれて水底の町を訪れ、縁を結んだ寝子島の人々を見つめる。
神殿の中の暗闇に立つユニの姿が滲んでぼやけて、若菜は焦る。
「ユニ君!」
両腕を伸ばすも、届くことなくユニの姿が遠くなる。
「呼んで! 私たちを呼んで! 広場で会った男の子も、そう言っていたでしょ……!」
どれだけ手を伸ばしても、どれだけ叫んでも、元の世界に押し戻されてしまう――
――また、逢ってね
小さく悲しく囁く少年の声を最後に聞いた気が、した。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
水底の廃墟での一幕、お届けに上がりました。
水底の廃墟の散策はひとまずこれにて。
次なる彷徨の機会はいつかそのうち、……たぶん、近いうちに、また。
そのときにもまたお会いできましたら嬉しいです。
少しでもお楽しみ頂けましたら、それから少しでも心に何かしらの動きを得ていただけましたら幸いです。
読んでくださいまして、ご参加くださいまして、ありがとうございました!
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ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
水底の町
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年08月22日
参加申し込みの期限
2017年08月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年08月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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