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水底の廃墟
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防水デジタルカメラの中には、以前撮った水底の町の写真が入っている。
「結局、文字の解読はできませんでしたけど……」
デジカメの画面に映る、蒼い髪の少年の後ろには、白珊瑚の建物と読めない文字の看板がある。
以前訪れたときに拾った本を寝子島に持ち帰り、撮った写真と本をにらめっこして水底の町の文字の解読を試みようとしたものの、結局は挫折してしまった。
椿 美咲紀
は黒い睫毛をしゅんと伏せる。
(でも、シュー君なら出来るかもっ)
傍らに立ってデジカメの画面を覗き込んでくる幼馴染の少年、
八神 修
の聡明な横顔をそっと見上げる。恐ろしく勉強好きな彼なら、自分には何のとっかかりも見つけられなかった水底の町の文字の解読もしてしまうかもしれない。
「この少年は?」
「ユニさんです」
画面を切り替え、丘の上の神殿を映し出す。
「これはあの神殿ですね。アレス翁が居るです」
白鬚の翁から聞き出した話を頭に巡らせながら、美咲紀は己の立つ石畳の路地と、その先に見える花咲き乱れる広場へと視線を伸ばす。
前回は、少年と老人以外に町の住人は見当たらなかった。
「今度は何だか賑やかなのです?」
今回は、入り組んだ路地にも白珊瑚を重ねた家々の窓にも、路の先の広場にも、楽し気にそぞろ歩く人々の姿が確かめられる。
(……過去に戻った?)
町に人が居る時代に訪れたのかもしれない。神魂の影響を受け、様々の世界を行き来してきた美咲紀は一瞬そう推測するも、
「アレス翁は、『人は水に溶けた』と言っていたのです」
「別の町ではないのだろう?」
怜悧な眉をひそめる修に、美咲紀は頷き返す。水に溶けたはずの人々が生きているということは、ここは過去ではなく遥かな未来であるのかもしれない。アレス翁とユニ少年が何かしらの手段を使い、人々を復活させた後の、未来。
「……それとも、幻か」
何にせよ、異変には何かしらの理由があるはず。
顎に手をやり思案する修の袖を引き、美咲紀は広場へと身軽に駆けだす。
「先ずは情報収集ですよっ」
見たところ、広場に立つ市には色々な屋台が出ている。見たことのないかたちした果物や野菜、人の顔ほどもある大きな丸パンにドライフルーツをぎっしり混ぜ込んだチーズにバター。情報収集に見せかけて屋台の食べ物につられたわけではない。
「美味しそうなのです……」
あっさりと食べ物に陥落し屋台にふらふらと近づいて行く美咲紀の背を追いつつ、修は人々で賑わう広場を見回す。
(都市国家なのか国の一部なのか)
指導者は存在するのか。政治形態は如何なるものであるのか。気になることは多々あるものの、今は確かに美咲紀の言う通り、町を歩いて情報を集めることが先だろう。
(それにしても)
青い水底に沈む異国の白い町の風景に時折視線を奪われながら、奪われるままに鞄から取り出したデジカメのシャッターを切りながら、屋台にかじりつく美咲紀の後ろに立つ。
「随分賑やかですね、何かのお祭りなのですか? お花いっぱい咲いてて綺麗ですね」
屋台の屋根にも広場を囲む家々の窓にも、どこかしこにも鉢植えの花が咲き乱れる広場を見回し、はしゃいだ声をあげる美咲紀に、いろんな形の焼き菓子や青い鱗の装身具を売る屋台の主は人懐っこく笑んだ。
いらっしゃい、と返す主に、美咲紀はポケットから個別包装のチョコやクッキー、修は鞄から万年筆やLEDライトつきキーホルダーを取り出し物々交換を申し出る。
「写真を撮らせてもらってもいいですか? あ、街の地図とか無いですか? ないならドコに何があるのかを地図に描いてもらえませんか?」
矢継ぎ早に言葉を紡ぐ美咲紀の勢いに押されるのか、主はにこにこと笑うばかり。ついには物々交換にも応じず、持ってお行き、と焼き菓子をそれぞれの手に握らせる。
「これもあげよう」
笑うばかりの主から、青い鱗の欠片を付けた素朴な首飾りさえ差し出され、美咲紀と修は顔を見合わせた。
「町を護る巨獣のお守りだよ」
「その巨獣が町を治めているのか?」
巨獣のお守りを受け取り、修が問う。主は嫌な顔ひとつせず、かといって修の質問に明確な答えも口にしない。
町の名を、年号や年月日を尋ねかけて、修は口を閉ざす。丁寧な礼だけを残し、その場を離れる。
「シュー君?」
追いかけて来た美咲紀に、修は悲し気に首を横に振った。焼き菓子とお守りを大事に包んでいた掌を開き、美咲紀に示す。
「あっ? あれ? あれ?」
修の手を見、自分の手を見、美咲紀は素っ頓狂な声をあげる。
「幻だ。……人々も、花も」
ふたりの手の中には、なにもない。
空となった手に、修は道端に転がる蒼いシーグラスと銀貨を拾い上げる。屋台の主から受け取ったものとは違い、遺物の如く転がるそれらは消えることなく掌に残った。
「どうして……」
美咲紀は振り返る。たくさんの人々で賑わっているそのはずなのに、何故だかひどく静かに感じられる広場を見回す。そうして、毅然とした瞳を修に向ける。
「アレス翁のところに行きましょう」
「ああ」
「……またお邪魔してますって、ご挨拶しなきゃなのです」
そうして、問わなくては。どうして町に人々の幻が溢れているのか。
(どうして、)
どうしてこんなに、悲しくて寂しくて、静かなのか。
花と屋台に囲まれた噴水の前に立ち、
志鷹 若菜
は瞳を輝かせる。珊瑚の指輪に耳飾り、色とりどりの糸を見慣れぬ意匠に織り上げた帯、見たことのないかたちした色鮮やかな花々を描いた絵画。
見たことのない品々を見るのは心が躍った。
「若菜、これあげる」
よく知る庭を歩く足取りで広場をそぞろ歩いていたユニがひょいと手を差し出した。瑠璃色の羽ペンを受け取ってお礼を言おうとした途端、少年はその場にかがみこむ。
「これも」
言いつつ拾い上げた、星空を映した色した真鍮でできた円型のそれは、どうやら読めぬ文字が刻み込まれた懐中時計のようなものらしかった。
「……いいの?」
「もう誰も使わないから」
「ユニ君」
「なに?」
手を差し出す。きょとんとした顔を返してくる少年の小さな手を取り、きゅっと握る。ためらうことなく、ユニは若菜の手を握り返した。縋りついてくるような力の強さに睫毛を伏せつつ、若菜は花に飾られた広場を巡る。
「花冠広場、っていうんだ。前はいつでもたくさんの人がいた」
広場に立つ市場を一巡りし、キャンディのように色とりどりの花を咲かせる花壇の傍らのベンチに並んで腰を下ろす。一休みついでに若菜がポケットから取り出したのは、掌よりも小さな缶入りの飴菓子。
「なに? なにそれ?」
蒼い眼を輝かせて食いついてくるユニに笑み返し、散歩のお供に大抵持ち歩いている缶の蓋を開ける。中には、色鮮やかな鞠やお弾き型した飴に、
「これなに?」
「あ、これは金平糖って言うの」
満開の花の色した金平糖。
「小さなお花みたいで可愛いでしょ?」
こんぺいとう、と不思議そうに呟いて首を傾げるユニの手に、つまんだ金平糖を幾つも乗せる。若菜にならって口に運んで、ユニは顔を輝かせた。
「これ、こないだ貰ったのとおんなじだ、甘い!」
お互いにちょっぴり泣き腫らした顔を見合わせて笑い合っていたとき、
「……少し、いいか?」
竹刀袋を肩に担ぎ、広場を横切ろうとしていた黒髪の少年が足を止めて話しかけて来た。
「はい」
「……ありがとうございます」
頷く黒髪の女性に、
優木 遥斗
は小さく目礼する。服装から見たところ、大人の女性の方は自分と同じく寝子島から迷い込んだ人間で、傍らに座る子供はこちら側の人間なのだろうと見当をつけた。子供の前に腰をかがめる。
「なに?」
不思議そうな顔をする子供の顔をじっと見つめる。
広場をうろつき、商人や買い物客に声を掛けてはみたものの、返ってきたのはどこかぼんやりした返事ばかりだった。まるで幻を相手にしているような気分になったものの、今ここで出会えた子供は、きちんと己を見返してくる。意志のある顔をしている。
自分の名を名乗り、この街の状況を尋ねる。
「ここは、平和なのか? 何か困ったことが起きたりしていないか?」
町の人々は皆笑っている。楽し気に生活をしているように見える。けれどどこか空虚にも感じられる。
「大丈夫、平和だよ」
ユニと名乗った少年はそっと首を横に振る。
「ここにはもう平和しかないよ。困ったことも、もう何にも起こらない」
「それは、……」
全て終わった世界、という言葉が脳裏をかすめた。
何もかもを諦めたような悲しい顔で笑う少年の顔を見つめる。
「本当に、大丈夫か」
「……だいじょうぶ」
繰り返す少年の、水底のような蒼い眼をしばらく見つめて後、遥斗は立ち上がった。そうか、と短く肯う。
「なら、いい。……ユニ」
「なに?」
「俺はまだここに居る。困ったことがあれば、きっと呼べ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
水底の町
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年08月22日
参加申し込みの期限
2017年08月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年08月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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