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水底の廃墟
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「こんにちはー!」
智瑜の声が神殿の広い前庭に響き渡る。
白い石畳に覆われたそこは、静謐というにはひどく寂しすぎるように思えて、璃亜は胸から提げた十字架のペンダントを片手に握りしめる。
(そういえば)
町中にはたくさんの人が行き交っていたのに、石段を登ってくる最中はこの町の住人には誰一人としてすれ違わなかった。登り路の途中、黒髪の少女に身軽な足取りで追い抜かされはしたけれど、服装から見て彼女はたぶん、自分と同じに寝子島から迷い込んだ者のひとり。
「すいません。どなたかいらっしゃいませんか?」
「ユニ君、こちらですかー?」
璃亜の懸命な細い声と、五月の温和な声が水中とも思えぬほどに遠く高く響いていく。
足音さえ響いてしまいそうな気がして、璃亜は思わず爪先立った。ここに住人が訪れない理由はなんだろう。訪れてはならない理由はなんだろう。
「神社は馴染み深いですけれど、こういう神殿を直接見るのは初めてですね」
五月の呟きに、旧市街に住まう少女たちは揃って頷く。
「どんな神様がいらっしゃるのでしょうか」
首が痛くなるほどに高い屋根を仰ぎ、五月は瞳を細める。ユニならば、そのあたりのこともきっと詳しいだろう。
会えたら聞いてみよう、と視線を落として、
「ん?」
神殿の巨大な屋根を支えて連なる白い石柱の影、数人ばかりの人影を見つけた。
「あっ、莉鳥さん!」
見慣れぬ花を象った柱の土台に背中を預け物静かな表情で神殿を眺める莉鳥の姿に、智瑜が嬉しそうな声をあげる。ここに居たんですね、と駆け寄れば、莉鳥は小さく頷いた。隣で楚々とした佇まいで立つ闇を見遣る。言葉を紡がぬ闇に代わり、智瑜たちに伝える。
「町を護る巨獣の神殿らしいわ」
「巨獣……」
莉鳥が口にした聞き慣れぬ言葉に、智瑜は首を傾げた。
「町の人たちがここに来ないのは、その巨獣を畏敬するためですか……?」
小さく息を切らしながら智瑜に追いついた璃亜がそっと尋ねる。璃亜の視線を受け止めてから、莉鳥は神殿の柱の影へと顔を向けた。莉鳥の視線を追えば、そこには白銀の長い髭を生やした小柄な老翁がくたびれた顔でうつらうつらしている。その隣では、揃ってスケッチブックを広げる長い白銀髪の少女がふたり。
「やあ」
黄色い傘を脇に置き、ひたすらに筆を走らせていた
旅鴉 月詠
が緋色の瞳をもたげた。月詠の声に誘われるように、隣で石柱の花をスケッチしていた
桜 月
が夢から覚めるように深紅の瞳を瞬かせる。
「ユニ少年は町に降りているからね」
白い神殿のぐるりを色鮮やかな魚たちが舞い泳ぐ幻想的な光景を描いた頁を閉ざし、月詠は少し気遣わしげな眼差しを傍らの老翁へと向ける。
月詠の視線に気づいてか、老翁は皺に埋もれた瞼を押し開いた。灰色の瞳を細め、傍に立つ少女たちを眩し気に見遣る。
「これは賑やかになった」
「アレス翁」
穏やかに微笑むアレスに、月詠は暇を告げる。
「お陰で以前描いた絵より賑やかで楽しい絵が描けた」
言ってから、大人びた雰囲気を不意に崩す。タイヤヒラメダンス、と早口言葉のような歌うような口調で口ずさむ。
「竜宮城とはこのようなものなのだろう。日本じゃないけど」
片手に黄色い傘、肩に画材一式の入った鞄、それぞれに提げて立ち上がる。
「……また会えるだろうか」
水中に傘を開きながら問う。アレスは静かに笑って黙する。
老人の沈黙を追わず、少女は軽く石畳を蹴る。それだけで、小柄な体は海月のように水中にゆらり、浮かび上がった。
「月詠さん」
慌てたようにスケッチブックを閉ざし立ち上がる月に、月詠は手を伸ばす。
「スノードーム用の珊瑚がちょっと欲しくなった。一緒に来るか?」
「連れて行ってほしい」
躊躇わず頷き、月は月詠の手を取る。街は十分に堪能したし、神殿を彩る花や蔦の意匠もたくさん素描できた。
(色々と参考になるな)
帰ったら水底の町に見た様々な意匠を服飾デザインの参考にさせてもらおう。
(……それに)
月詠と繋いだ手をそっと見遣る。意図せずに迷い込んだ青い世界で、彼女と出会えたことは、同じものを見て並んで絵が描けたことは、ちょっと嬉しかった。
(折角だし、もう少し)
己と同じに絵筆を握る同い年の少女と、この不思議な町を一緒に見て回ろう。
水中に咲く黄色い傘の花の下、互いの銀の髪を揺らがせ青い水中へと浮かび上がりながら、月詠は見上げる少女たちに頼む。
「ユニ少年が帰るまで、アレス翁の傍に居てやってくれ」
「はい」
ふわふわ、ゆらゆら、海月のように宙に舞う月と月詠に手を振り、智瑜はその言葉を守ってアレス翁の傍らに跪く。
「今日は、アレス……おじいさん?」
「うん、今日は」
眠たげではありながらも、アレスが返してくれた言葉に安堵する。ありがたいことに言葉は通じる。
「お話、いいですか?」
「構わない」
町を護る巨獣の神殿なのだと、莉鳥は教えてくれた。ここは、例えば神社のような神聖な場所なのだろうか。
「中が気になるのか」
背丈の数十倍もある白石の大扉を背に、アレス翁が笑う。
心の内を読まれて、智瑜は白い頬を朱に染めた。
「はい。何となく中が気になって……」
それでも素直に頷く。神殿の中には、本当に巨獣が居るのだろうか。
(ご神体とかではなく?)
この町では、巨獣はどんな存在なのだろう。
町の人が来ないのは、本当に巨獣を恐れるからなのだろうか。
(寂しくないのかな?)
神殿の中に巨獣が居るのなら、誰の笑い声も気配も届かない神殿は、大きな棺みたいなものではないのか。
(寂しいのなら、話し相手になれたらいいのにな)
そこまで考えて、ふと思い至った。アレス翁と、さっきまでここに居たというユニ少年が、巨獣の話し相手をしているのかもしれない。
(それなら、寂しくなんかないよね)
もしも巨獣がひとりきりで寂しいのであれば、神殿内に入らせてもらってほんの少しの時間だけでも話し相手になれないものかと考えていたのだけれど。
「……優しい子だ」
老いた掌で幼子にするように優しく頭を撫でられ、智瑜は目前のアレス翁が心の内を読むことを悟る。打たれたように頬を赤くする智瑜に、アレス翁は少し申し訳なさそうな顔をした。
「この地を踏む者の心が恣意的に流れ込んでくる。済まない」
「あっ、いえ、……いいえ、大丈夫、です……」
うつむく智瑜に、アレス翁はとこか悪戯っぽく灰色の瞳を細めた。
「私の内を読むと良い。その力が、貴女にはあるのだろう」
身に宿るろっこんの性質を言い当てられ、智瑜は目を瞠る。
巨獣に仕える神官のような役目を負っているのかとも思っていたけれど、
(このひとは、……)
祈るように見つめて、ふわり、頭に浮かんだ。蒼い髪の少年がただただ楽しそうに嬉しそうに、顔中で笑っている――
老翁の望むことは、それひとつきりだった。己の幸せは何も望まず、ただそればかりを願っていた。
「あの子のために、貴女たちを此処に呼んだ。叶うならば、どうかあの子を……」
言いながら、老翁の瞼はうとうとと重くなる。密やかな寝息に沈んで行く。
神殿の大扉に老いた背を預け堪え切れぬ眠りに落ちるアレス翁を守るように、少女たちはその場に腰を落として座る。
ユニを待つ五月は町を見晴るかし、莉鳥は飽きず神殿を見仰ぎ、璃亜は心配そうにアレスの寝息に耳を傾け続ける。
拾った破れかけた古地図に『神殿』『広場』と書き込みながら、智瑜は香水瓶を青い水に透かせた。これはきっと夢ではないと、確信に近く思う。たとえ束の間の訪問であったとしても、
(きっとまた、来れる)
そんな気がした。
ゆらり、蒼い水が揺らいで過ぎる。
「それにしても、大きいな」
「巨獣が眠っているからね」
神殿を見下ろす月の視線を追い、月詠は小さな息を吐いた。
「……アレス翁は、神官なのか? 眠っていたから聞けなかった」
「彼が巨獣だ。……や、巨獣だった、と言うべきか」
月の問いに応じつつ、月詠は白銀の睫毛を伏せる。
町を護る巨獣である彼の様子や言葉から鑑みて、おそらくは己の推察に間違いはないのだろう。そう思いながらも、
(違えていれば良い)
己の考えが間違いであることを今ばかりは願った。
「蒼い鱗が美しい、大蛟だった」
動揺せぬ友人の声音に僅かに混じる、哀惜の念にも似たその色を月が訊ねるよりも早く、月詠は巨獣の神殿に背を向けた。達観した瞳を水底の町へと向ける。
「何もなければよいがな」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
水底の町
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年08月22日
参加申し込みの期限
2017年08月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年08月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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