どんなことをして遊べばいいか教えてほしい｜リアクション

どんなことをして遊べばいいか教えてほしい

●これも遊び

　スケッチに集中していた旅鴉月詠が手を止め、遊びについて語り始めた。
「遊びとは、実利に関わらず心を満足させる為に行う行為だ。食事、睡眠、労働を除くな。総悟にとって稽古は労働にあたる。しなければならない事だからね。島に来てから空いた時間と休日は何を？」
　剣術の稽古だというので「鍛錬と言うと思ったよ」と話を続ける。
「勿論、それは良いことだよ。身体を動かすのは良い。だったら私はゲーセンに連れていこう。体感系ゲームがあるし」
　やってみたいものがあれば言ってくれと言うが、一度も行ったことが無い総悟はどう答えればと悩む。
「月詠ちゃん、総悟くん困ってるよ。直接行って何があるか見せないと」
　スケッチブックを覗き込んでいた桃原空音にそう言われ「そうだな」と反省。
「そこは俺も考えていた。シューティングで遊んで、アルゴリズムを読みプログラムの癖を分析してもらおうと思ってな」
　八神修の遊びは月詠と違うが、行き先は同じだった。

「私が提案する遊びは買い物ね」
　さんまさんパーカーを買いに行こうと誘う七海真帆。
「総悟君も持ってないでしょう。私もだから買いましょう。ついでに今年の水着も」
　付き合うと言ってくれたので、後はどのお店に買いに行くかを決めるだけ。
　時間をかけてゆっくり見たいという真帆の要望に応え、買い物も明日に。
「その後はファミレスかファーストフードでご飯を食べながら、皆でお喋りしたいわ」
　ファミレスという単語に首をかしげる総悟。
「お前、マジで知らないの？　家族で行ったことねえの？」
　風雲児轟の問いに「無い」ときっぱり。
「ファミリーレストランの略で、家族層を想定した食堂のことだ。本当に行ったことがないのか？」
　修に教えてもらい、食事する場所だと理解できたようだ。
「家族で外食なんてしたこと無いよ。食事はいつも家で家族揃ってだったし」
「遊びを知らないと破門って言うお父さんだから無茶な人かと思っていたけど、家族思いなのね」
「そんなことないよ、本当に無茶な人だ」
　苦笑する総悟を見て、こういう表情もするのねと真帆は思った。

「盛り上がっておるところ申し訳ござらん。そろそろ昼休みが終わりでござる。続きは改めて」
　夏神零が残り時間わずかなことを伝えると、用意したトランプを手に空音が不満がる。
「では、学校が終ったら拙者の神社で続きというのはどうであろう。広い敷地ゆえ、１０人くらいは余裕でゆっくり過ごせるでござる。丁度、皆を案内したいと思っておったし」