どんなことをして遊べばいいか教えてほしい｜リアクション

どんなことをして遊べばいいか教えてほしい

●総悟の話を聞きたい

　食後のお茶を飲みながら、最初に話を切り出したのは旅鴉月詠。
「君の父親は、おそらくこう言いたかったのではなかろうか。休むことを知らず、友達もいない息子を助けてほしいと。かなり心配していると見るがどうだろう」
「それはあるかも」
　稽古に関しては、父親に強制されたわけではない。自分の意思だ。
「稽古漬けにしていたから、今はその報いを受けているところ、かな。良い機会だ。遊びとは何か、皆で遊びながら考えよう」
　その前に聞きたいことがあると、尾鎌蛇那伊が話題を替えた。
「あたし、同じ武術を習う身として他流派に興味があるの。あなたが学ぶ流派について聞かせてくれないかしら？」
「拙者もまた武を歩む者。是非聞きたいでござる。総悟殿が何故、剣の道を歩むのか」
　剣に限らず、様々な武の道を歩む夏神零、ローカルヒーロー志望の風雲児轟も話を聞きたいという。
　遊びの話の前に自分のことを話してもいいかと皆に訊ねると、総悟のことを知りたいと承諾してくれた。

「僕の家は戦国時代から続く剣術の家系で昔は一撃必殺を主体とした殺人剣だったんだけど、廃刀令が発せられた明治以降は一撃必勝を主とした剣術に変わったんだ。己が傷つかず、敵に攻撃されることなく一撃で倒す。それが鳴鏡院流剣術の美学であり、極意だと父から教わった」
「剣術とは殺人術……どんな理由であれそれが真実じゃ……。歴史ある道場なら尚更のこと。総悟殿は、それでも剣術を続けたいのでござるか？」
　零にそう問われ、父から学んだ剣術を続けたい意志を見せる。真剣な瞳に迷いは無い。
「続けるのは歴史ある剣を守るためもあるけど、母との約束でもあるんだ。誰よりも強くなり鳴鏡院流を継ぐって。母は１０年前に亡くなったけど……」
「そうでござったか。本当にまだ続けたいのであれば、続けても良いであろう。学ぶのであれば、人を活かす剣の道も良いでござるよ」
「殺人剣って漫画とかだけかと思ったが実際にあったんだな。お前の家すげえ！」
　鳴鏡院流のすごさを実感し感激する轟。
「あたしは一撃の美学に感心したわ。拳法には使えないもの」
　格闘では一発で倒れることは有り得ないので、蛇那伊はそこに目をつける。
「そろそろ遊びの話にしませんか？　こうして集まったことですし」
　森蓮にそう言われ、鳴鏡院流に関心を抱いていた３人は本来の目的を思い出した。