Bloody Night:Deadly Twin｜リアクション

Bloody Night:Deadly Twin

■善良なる行進が列を成し、常識のラッパを吹いている。拍手で迎えよ、君は夢を見る権利を持つ。
　女子高生がコンビニエンスストアで買い食いをするように、白真白は煙草屋の老婆をカウンターから引きずり出し、持っていたカッターナイフで喉元を切って殺す。
　最近は下校中にふらりと殺すことが多かったせいで、すこし太ったような気がしていた。
「あちゃあ、ダメだよね。だらしないことしてちゃ」
　反省反省。真白は横髪を指でくるくると巻き取るようにしながら、足下に転がった焼死体を見下ろした。
　動物というものは単純だ。
　お腹がすいた時、獲物を探して殺さねばならない。
　それが四肢のはえた獣であったり、空をとぶ虫であったり、土に根を張る草であったりするだけで、生きることは殺すことと同じだ。
　真白にとってそれはきわめてシンプルな構図で、お腹がすいたときは手っ取り早くシンプルに殺すことにしていた。
　でもやっぱり、こんなことじゃだめだ。
　たまにはちゃんと贅沢をしないと。
「自分にご褒美をあげないと、やってられなくなっちゃうもんね」
　これが人間が人間たるゆえん。生きるためだけに殺せない。
　自宅の倉庫から鉄の鎖を取り出して、肩にぐるぐる巻くように担ぐ。
「よし。たまには贅沢しちゃうぞ、っと」

　少女を見つけた。死体を袋に詰めて処理する所だった。
　体中を包帯だらけにして、うっとりとした表情の少女だった。
　その幸せそうな顔が、真白に決定をさせた。
　彼女が自宅に戻る一瞬、後ろ手に閉める扉に靴をはさみ、扉をこじ開けて玄関の奥へと押し倒す。
　手早く手足に手錠をかけると。
「おじゃましまーす。わっ、綺麗なお部屋！」
　真白は少女を引きずっていった。
「ねえ、あなたはどんな殺し方が好き？」
　言いながら、少女をベッドに転がした。
　鞄の中からノコギリを取り出して、足の付け根におしあてる。
　ベッドのむこう。
　下着を部屋干しするかのように、無数の手足がつり下がっている。
　真白はパッと目を輝かせて、少女を見た。
「すごい、私たちって気が合うね！」
　悲鳴。
　吹き上がる血。
　真白はのこぎりを強く強く押し込んだ。

「自分がされて嬉しいことは、人にもしてあげなさいって言うでしょ？」
　ジャムを詰めるための瓶。
「私ね、逆だと思うの」
　スプーンとフォーク。
「人がして嬉しいことを、自分もしてあげたいんだ」
　熱湯のようなコーンスープを高く。
「私は、そんな時の殺しが、一番好き」
　少女が殺してと懇願するまで、真白はかいがいしく少女と暮らした。

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