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魔女の咬み痕
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【東館二階大書庫】
暗い。光源はリヒャルトの持つ頼りなげなカンテラひとつであり、そこは深淵めいた暗闇に包まれていた。
足音を響かせぬよう慎重に足を運ぶ中、時折どこからか、筆舌に尽くしがたく異様な物音が耳に届く。
新田 樹
は怯えた顔で言った。
「さっきはとっさだったから、思いっきり殴っちゃったけど……本当はこういうの、苦手で」
「ああ。恐れるべきは、外敵より自らの内の恐慌だ。落ち着いて、諦めず、対処していこう。俺達は一人じゃない、だろ?」
「は、はいっ」
八神 修
の落ち着いた微笑みに、樹は儚げな笑顔を返す。
だが、樹は自らを偽っていた。
(さてさて。肉壁、もとい兄さん無しでどこまで立ち回れるかな。色々試してみたいな……ふふっ)
樹という少女は十三歳にして、あらゆる状況と窮地をも素材として極上のスリルを堪能しようと画策する、歳に似合わぬ狡猾さを備えていた。
(次はどんな怪物が出てくるかな? 楽しみだな)
彼女は内心に愉悦を胸に秘めていたが、同行者にはさらに明快にこの場を楽しんでいる者もいる。
「ディモールト、いいわ! 面白そうな本がたくさんあるじゃない!」
漫画家である
工藤 来夢
にとって、あらゆるシーンはネタ出しの資料に過ぎない。異形も、恐怖も、全ては来夢が生み出す芸術の糧であり、この場に感じる非現実は次作の登場人物が発する豊かな感情として還元され、緻密な世界設定として出力されるだろう。
「どれどれ、これは何の本かな?」
彼女はためらいもなく、両脇の書架から厚い本を引き抜く。
ここはどうやら、書庫であるようだった。壁のようにそびえる巨大な書架の頂点はもはや目に見えず、それらが連なりまるで迷路の様相を呈している。
書架に収められている書物はいずれも時代がかって古く、分厚く重く、そしてこの世の全てがここへ書き記されているとさえ思えるほどに無数だった。
「ふむ。『ホノリウスの誓書』。『ピカトリクス』。『ソロモンの鍵』……?」
「『アーマデル奥義書』、『ガルドラボーク』、『アブラメリンの書』。『レメゲトン』の『ゴエティア』も……これはいわゆる、グリモワールか?」
修もいくつかの書を手に取り流し見ると、彼の脳が蓄えた雑多な知識をもとに、興味深くうなずく。
書架に並ぶそれらは、魔術。呪術。妖術。仙術。霊魂や輪廻転生の探求録、この世ならざる異形の生物についての調査書。総じて、超常の何かについて記述されたものばかりのようだ。
「つまり……ここは魔術を学ぶ学校、大学。そういった場所なのか? リヒャルトさん」
「ひっ? あ、ああ、うん。そうだよ、そう」
周囲の闇に怯えながら、リヒャルトは折れんばかりに首を振る。
「世界中の神秘が集まり、魔術について探求するところ。偉大なるガラウルガレン神秘大学。ぼ、僕は、ここの学徒の一人なんだ」
修はあごに手をやり、内心で彼を訝しんだ。リヒャルトはまだ若く見えるが、この神秘大学とやらは恐らくその機能が放逐されて十数年、あるいは数十年すら経っているようにも思える。
(信用はできないな……)
「学徒、ねえ?」
一方来夢は魔術書のページを繰りながら、彼へ率直な疑問をぶつけた。
「それじゃ、あなたはどんなことを勉強してたの? 今、なんでこんなことになってるのか、心当たりはないわけ?」
「えっ? ええと、僕は人の見る夢についての研究とかそういうのを……こ、心当たり? よ、良く分からないよ。僕だって、気づいたらこんなことになってたんだから……」
「レッドヒル・マリーって、誰なんですか?」
樹がその言葉を発した途端、リヒャルトは目に見えて飛び上がった。
「いや、さっき剣を持った男の人が言ってましたよね。その人がここをこんな風にして、化物を生み出して、私たちを呼んだんじゃないのかなって」
「な、な、なん……かっ、彼女が、彼女を、君たちは……!?」
リヒャルトは大げさなまでに怯えたそぶりで、あたりへ目を泳がせている。腹の内でその滑稽を笑った樹のみならず、その場の誰もが察したことだろう。
『レッドヒル・マリー』。その存在が、今置かれている状況に何らかの理屈をもたらす、鍵なのだろうと。
「かっ、彼女は……魔女で。天才的な……」
「……シュー君!」
リヒャルトを遮るように声を発したのは、先ほどからしきりに床を観察していた、
椿 美咲紀
だった。その顔はカンテラの明かりに照らされながらもどこか青ざめている。
「どうした、美咲紀?」
「ヘンなんです。見てください、これ」
美咲紀が示した先には、無数に散らばる書物の数々がある。
よくよく見ると、それらには転々と赤い染みがついており、どこか高所から落下してきた雫が跳ねたように広がっている。そして血の雫の跳ね痕は、書架が作る道なりに点々と続いていた。
「? なんだ……?」
「まだ新しいんです、この血。乾いてないんです。でも、上を見ても何も無くて……ねえシュー君、ここ、何かイヤなものがいるんじゃ……」
「……ちょっと、来たわよ!!」
来夢の叫びに顔を跳ね上げると、そこには先ほどの、歪な肉混じりがこちらへ駆けてくるのが見えた。それも一体ではなく、無数の。
「っ、あそこに梯子がある! 書架の上へ登るんだ、早くっ!!」
軋み声が修の声をかき消し、幾重にも絡まり、彼らの耳を貫いた。
【西館二階医務室】
見えないものを、人は恐れる。幽霊然り、暗闇に潜む怪物然り。
見えないことが、いつもなら盤石なはずの
桃川 圭花
の精神をひどく突き上げ揺さぶり、彼女を追い詰めていた。
「……怖くない。怖くないわよ。そうよ、
あの時
だって真っ暗な中で、ちゃんと出口を見つけられた。今度だって大丈夫。大丈夫……」
「お、おい? 大丈夫かよお前……?」
「私はまだ、大丈夫。怖くない。大丈夫なんだから……」
化神 小次郎
が何か声をかけてきたのにも、圭花は気づかない。真の闇は、彼女の理性を破壊しつつあった。
後ろを遅々として歩む
スピカ・フォーツ
にも、混乱は侵食しつつある。
「スピカ君、本当に大丈夫なのか? 体調が悪そうだが……」
「ん……大、丈夫。心配かけて、ごめん……リンタロウ」
寄り添い支える
鷹司 凜太郎
に静かな笑みを返すも、スピカの胸には言いようのない不安が広がっていく。
(お腹が……熱い……)
先ほど奇怪な生き物に刺された腹部に、異質な感覚を覚える。傷に伴う単純な熱ではなく、何か……そこに、何かがあるような。しこりのような異物感に、スピカは苛まれていた。
「大丈夫。何があっても、僕がスピカ君を守る。心配しなくていい」
「……うん」
頼もしく断じた凜太郎のぬくもりをその身に感じてなお、スピカの不安は拭われない。
「ん? ここに何かあるな」
「何です?」
新田 亮
が見つけた何かを、
日向 透
も隣に立ち覗き込む。
医務室は病棟を兼ねており、いくつもの部屋に複数のデスク、奥の部屋には無数のベッドが並べられているのが、弥三郎の持つカンテラの明かりにちらと浮かび上がって見える。
亮がつまみ上げたのは、そんな机のひとつへ無造作に放置されていた、一枚の紙きれだった。
「何か書かれてる……」
「興味深いですね。なんと書いてあるんです?」
どこか楽しげに透が促し、亮はそれを読み上げた。そこに書かれているのは日本語ではなく恐らくはドイツ語のような言語であるにも関わらず、不思議と意味は読み取ることができた。
自力により扉を開いたのだと、彼女は事も無く言った。我が学び舎は彼女の故郷である何とか言う島と気の遠くなるほどに離れているというのに、彼女が天性として持ち合わせたある種の純粋さが今では疑いようもないあの才覚を裏付け、尽きぬ願望と情熱が途方もない距離を無にせしめた。
彼女の故郷は古くから神秘の伝承が色濃く残る土地であり、彼女は幼少よりその実在を信じて疑わなかったという。
しかし世は既に実存主義が全てを席巻し物質主義があらゆる形而上学的事象を駆逐しつつある時代であり、数多の魔女や魔術師がいわれなき迫害に滅ぼされたかの中世暗黒期を経てなお、彼女の言葉を信じる者は指折り数えるほどに過ぎなかった。
そしてその逆境が、彼女を支えた。飽くなき探求心と妄執めいた精神力で、秘匿されし神秘を暴く手段を追い求めた結果、やがて彼女は神秘大学へ繋がる魔術的な扉を開くに至った。
そうして彼女は唐突に、私の目の前へと出現した。
彼女の笑みは常に自身への絶対的な信頼に彩られていた。何者をも自分を阻むことはできないのだと心底から信じ抜いていた。確信し、そして彼女はそれを誰にも見える形で証明していった。
笑みは自らの優位を突きつける柔らかい刃であり、彼女はそれを容赦なく振るい敵対する者を抉っていった。苛烈な嘲りは彼女に多くの敵を作った。
にもかかわらず、彼女の周りにはいつでも彼女を慕う者の姿があった。それも少なからずに。
彼女の笑みは攻撃的でありながら同時に来るものを拒まず受け入れる寛容な大器を感じさせ、人々を否応なく魅了し取り込み、学内へ彼女を囲む一大派閥が生まれるのにさしたる時はかからなかった。
そして私もまた、彼女に魅入られた一人だった。
くふ、くふふ、と漏らす彼女の含み笑いが今も耳に残り、離れない。
「……これだけか?」
「ふむ。順当に考えれば、ここに書かれている『彼女』とやらが、恐らくはこの場所に何か関係しているんでしょうね」
殴り書きのようなメモからは、それ以上の情報を得ることはできなかった。
もちろん彼らはそのままメモ書きの内容について吟味することもできた。しかし、折しも転がり始めた状況がそれを許さなかった。
「ああ……分かる。分かるとも。覚えてる。こっちだ。こっちだね? 行くよ、行くとも。いつだってそうだ。俺は君とともにある。そうだ。そうだろう?」
加納 弥三郎が何かに導かれるかのように、医務室の奥へと向かって歩き始めている。
よろめきながらの歩みは遅いが、彼の向かう先には静かに広がる病棟があり、そしてそこには、異様な何かが息づいていた。
「何か……何か、いる?」
漏れ出した圭花の声は、かすかな震えを帯びている。
「何か……いるわ。聞こえる。何かが……寝息を立てて……」
「あ、ああ。いる……ベッドに。何だよ、何なんだ……? 何かいる……!」
小次郎の顔色は青ざめて、前方を差した指は小刻みに揺れていた。
「そ……そこら中にっ……!」
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3人まで
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推理・サスペンス
ホラー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月27日
参加申し込みの期限
2017年08月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年08月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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