【星幽塔】最終決戦！すべての希望に火を灯せ！｜リアクション

【星幽塔】最終決戦！すべての希望に火を灯せ！

【緑の扉】そして伝説へ

　そして、緑のオーブを欠片を手にした冒険者達は再び扉の前に集まっている。
　この扉の向こうには、最初に召還された円形広場が広がっているはずであり、今頃はそこに他の扉をくぐった者達もそれぞれのオーブを手に戻ってきているはずだった。
「よし、じゃあ準備はいいな？　広場に戻るぞ」
　ミハエル・マクレインが、皆を代表して、移動を促す。
「……待って、このオーブ、さっきまで影の中にあったのよね。元に戻す前に、浄化（？）とかしなくて大丈夫かしら？」
　不安げに呟いたのは、三夜深夜子だった。
「いや、大丈夫だと思うよ」
　そう言ったのは、どこからともなくひょっこり現れた第９階層のアステリズム、ピエロット・アリスだった。
「……あれ、アリスパイセン？　今までどこにいたんすか？」
　ジェリコ・神威が、いきなり現れたピエロットの姿に目を瞬かせる。
「うん。今回、僕にできることは何もないなぁと思って、廃墟に隠れて皆を応援してたんだぁ。みんなが無事で本当によかった」
　へらり、と笑って言うピエロットには、しゃちほこばったところが何もなく、思わずみんなぷっと吹き出して和んだ。
「……あの、それで、大丈夫そうだというのは？」
　まだ少し緊張気味のフランチェスカ・Ｄ・Ｓがピエロットにそう問えば、
「う～ん。なんで、って言われても困るんだけど、何かもう悪い気を感じないんだよねぇ」
　と、対照的に緊張感のない声音で答えるピエロット。
　あまり信憑性はなかったが、かといって、それを間違っていると断じる根拠もなかった。
　何より、どちらにせよ、今はひとまず扉をくぐるしか方法はなさそうだった。
　念のために、全員が一度ずつオーブに触れて、星の力による浄化（？）を試みてから、彼らは一人また一人と扉をくぐる。
「これで平和が戻って、ゆっくりお昼寝できるようになるといいなぁ～。。。ＺＺＺ」
　メイディ・パッセがお気に入りの帽子を直しながら、今にも寝そうなぐらいに眠たげに呟く。
「決着がついたとき、みんなが笑顔でいられたらいいね」
　アリス・ミーティアが友人のステラの身を案じながら呟く。
「ヴァン。きっと大丈夫。さあ、火を灯す、見に行こう。平和なる。とても、いいこと」
　シダ美穂戸が、少し乱暴に聞こえる、でも一生懸命なカタコトでそう呟く。

　かくして、彼らは緑のオーブの欠片を奪還し、仲間達が待つ広場への扉をくぐっていった。

　【緑の扉】（了）