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【星幽塔】最終決戦！ すべての希望に火を灯せ！
【白亜の円形広場】胸騒ぎ
みなが扉に入ってからどれほど経ったろうか。音のない漆黒の中に浮かぶ白い沁みみたいな広場では、どの扉にも入らずに残った者たちが手持無沙汰な時を過ごしていた。
「この広場って何か面白いもの無いんデス？ オーブが灯ると変わるんデスカネー？」
あまりにも殺風景だとトワ・E・ライトフェロゥは広場を調べて回ったが、四枚の扉と、フリスビーのような円形の一枚岩からなる白い地面と、ぐるり取り囲む柱のほかには、取り立てて変わったものはない。
盗賊衣装の深縹 露草はボウガンを手に鋭くあたりに目を配りながら警護中だ。
椿 美咲紀と八神 修は広場の中央付近に腰を下し、時を待っている。
「欠片が集まったところにも必ず敵は現れると思います。オーブを護り敵を倒すのです」
「ああ……まずは欠片が集まるのを待とう。油断は禁物だぞ、美咲紀」
言いながら、もしや、とも思う。
敵が４つに分裂してみせたのはフェイクではないか。この広場にこそ本体が潜み、四つの欠片が集まる時をこそ待っているのではないか。修は心に浮かんだ疑念を確かめるべく、心静かに瞼を閉じ、敵の気配を感じ取ろうと感覚を研ぎ澄ましてみる。
しばしの沈黙。頼りになる彼は寝てしまったのだろうか、と美咲紀が修の顔を覗き込む。
「……シューくん？」
「起きてるよ」
目を開け、一つ深呼吸する。
……自分たち以外の気配は感じられない。
その直後の事であった。
血のにじむ破れた服の男が広場に転移してきた。
すわ敵の襲撃かと、一斉に露草のボウガンと美咲紀の杖と修の太刀の切先を向けられた男は、真っ青になりながら自分は第一階層の商人であると訴えた。
「フランチェスカ様はいずこか。サジタリオ城下町に魔物が溢れて……！」
商人の話を聞き終わらないうちにまた別の男が現れた。
今度は重装備の甲冑を着こんだ騎士である。戦闘の最中抜け出してきたと言った様子だ。
美咲紀はその甲冑に見覚えがあった。第五階層の聖騎士団のものだ。
「リブラス殿はいらっしゃいませぬか！ 元反法王派の者たちが革命を叫んで街で暴れ、聖騎士団と衝突に……！」
さらにもう一人現れる。この男も傷だらけであった。
修はその男の顔と名を知っていた。第六階層のアステリズム・フローレンスを巡る騒動の際に、フローレンスを魔女と断罪して義勇軍を率いていた男だ。
「貴方は……ラプターさん！ まさか、第六階層でも何かあったんですか？」
ラプターは切った口の端の血を拭い、呻くように訴える。
「大変や。過激派義勇軍がフローレンスを出せゆうてあっちこっちで火ぃつけて回っとる」
「何故……和解して、第六階層復興委員会を立ち上げたはずじゃ……」
「心の奥底では納得しとらん奴は多いさ」
「自分たちで解決できないのですか」
「努力はしとる。が、いまのところ成功はしとらん。ともかく僕は代表として助けを呼びに来ただけや。フローレンスがおらへんならだれでもええ、一緒に来て助けてくれ」
美咲紀とトワが思いがけぬ来訪者たちの傷を癒す中、修、露草は緊張を走らせて目配せし合った。
「どうもタイミングが良すぎまセーンか？」
「火種に火をつけて回ってるやつがいるな」
「どうしマス？」
露草が尋ねる。広場の警護は重要だ。けれど困っているという彼らを放ってもおけない。
「罠かもしれない。が、状況を確かめなければいけないだろうな」
修は思案する。
時間は？ 四つの欠片が手に入るまで、まだ時間はあるだろう。
ここを離れても？ 広場に本体の気配はない。……その感覚を信じたいと思う。
そして決断する。
「情報は戦いを制す。大局を見るのがここに残った俺たちの仕事だ。一人ずつ彼らとともにそれぞれの階層に行って状況確認しよう。だが、解決に手を貸している暇はない。解決はそれぞれの階層の人々に任せて、長居せず戻って各自報告。それでどうだ？」
「了解ですっ。では私は第一階層の様子を見てきましょー」
美咲紀はすちゃっと敬礼する。
「俺は第五階層に行こう。深縹さん、第六階層をお願いできないだろうか。そこが一番キナくさい。貴方のろっこんが必要になるかもしれない」
「かしこまりマシタ」
状況をよく把握していないトワが「トーワーはー？」と飛び跳ねている。
「ライトフェロゥはここで待っている係だ。怪我人が来たとき、回復してあげる人がいないと困るだろう？」
修は言わなかった。
君がひとりで何処かに行ったら迷子になってしまいそうで心配、とは。
「大役だぞ」
修が勇気づけると、トワは淑女風にスカートの端を摘まんで笑む。
「マーカーセーローなのデス」
こうして、美咲紀は商人と共に第一階層へ、修は騎士とともに第五階層へ、露草はラプターと共に第六階層へ向かった。
みなが扉に入ってからどれほど経ったろうか。音のない漆黒の中に浮かぶ白い沁みみたいな広場では、どの扉にも入らずに残った者たちが手持無沙汰な時を過ごしていた。
「この広場って何か面白いもの無いんデス？ オーブが灯ると変わるんデスカネー？」
あまりにも殺風景だとトワ・E・ライトフェロゥは広場を調べて回ったが、四枚の扉と、フリスビーのような円形の一枚岩からなる白い地面と、ぐるり取り囲む柱のほかには、取り立てて変わったものはない。
盗賊衣装の深縹 露草はボウガンを手に鋭くあたりに目を配りながら警護中だ。
椿 美咲紀と八神 修は広場の中央付近に腰を下し、時を待っている。
「欠片が集まったところにも必ず敵は現れると思います。オーブを護り敵を倒すのです」
「ああ……まずは欠片が集まるのを待とう。油断は禁物だぞ、美咲紀」
言いながら、もしや、とも思う。
敵が４つに分裂してみせたのはフェイクではないか。この広場にこそ本体が潜み、四つの欠片が集まる時をこそ待っているのではないか。修は心に浮かんだ疑念を確かめるべく、心静かに瞼を閉じ、敵の気配を感じ取ろうと感覚を研ぎ澄ましてみる。
しばしの沈黙。頼りになる彼は寝てしまったのだろうか、と美咲紀が修の顔を覗き込む。
「……シューくん？」
「起きてるよ」
目を開け、一つ深呼吸する。
……自分たち以外の気配は感じられない。
その直後の事であった。
血のにじむ破れた服の男が広場に転移してきた。
すわ敵の襲撃かと、一斉に露草のボウガンと美咲紀の杖と修の太刀の切先を向けられた男は、真っ青になりながら自分は第一階層の商人であると訴えた。
「フランチェスカ様はいずこか。サジタリオ城下町に魔物が溢れて……！」
商人の話を聞き終わらないうちにまた別の男が現れた。
今度は重装備の甲冑を着こんだ騎士である。戦闘の最中抜け出してきたと言った様子だ。
美咲紀はその甲冑に見覚えがあった。第五階層の聖騎士団のものだ。
「リブラス殿はいらっしゃいませぬか！ 元反法王派の者たちが革命を叫んで街で暴れ、聖騎士団と衝突に……！」
さらにもう一人現れる。この男も傷だらけであった。
修はその男の顔と名を知っていた。第六階層のアステリズム・フローレンスを巡る騒動の際に、フローレンスを魔女と断罪して義勇軍を率いていた男だ。
「貴方は……ラプターさん！ まさか、第六階層でも何かあったんですか？」
ラプターは切った口の端の血を拭い、呻くように訴える。
「大変や。過激派義勇軍がフローレンスを出せゆうてあっちこっちで火ぃつけて回っとる」
「何故……和解して、第六階層復興委員会を立ち上げたはずじゃ……」
「心の奥底では納得しとらん奴は多いさ」
「自分たちで解決できないのですか」
「努力はしとる。が、いまのところ成功はしとらん。ともかく僕は代表として助けを呼びに来ただけや。フローレンスがおらへんならだれでもええ、一緒に来て助けてくれ」
美咲紀とトワが思いがけぬ来訪者たちの傷を癒す中、修、露草は緊張を走らせて目配せし合った。
「どうもタイミングが良すぎまセーンか？」
「火種に火をつけて回ってるやつがいるな」
「どうしマス？」
露草が尋ねる。広場の警護は重要だ。けれど困っているという彼らを放ってもおけない。
「罠かもしれない。が、状況を確かめなければいけないだろうな」
修は思案する。
時間は？ 四つの欠片が手に入るまで、まだ時間はあるだろう。
ここを離れても？ 広場に本体の気配はない。……その感覚を信じたいと思う。
そして決断する。
「情報は戦いを制す。大局を見るのがここに残った俺たちの仕事だ。一人ずつ彼らとともにそれぞれの階層に行って状況確認しよう。だが、解決に手を貸している暇はない。解決はそれぞれの階層の人々に任せて、長居せず戻って各自報告。それでどうだ？」
「了解ですっ。では私は第一階層の様子を見てきましょー」
美咲紀はすちゃっと敬礼する。
「俺は第五階層に行こう。深縹さん、第六階層をお願いできないだろうか。そこが一番キナくさい。貴方のろっこんが必要になるかもしれない」
「かしこまりマシタ」
状況をよく把握していないトワが「トーワーはー？」と飛び跳ねている。
「ライトフェロゥはここで待っている係だ。怪我人が来たとき、回復してあげる人がいないと困るだろう？」
修は言わなかった。
君がひとりで何処かに行ったら迷子になってしまいそうで心配、とは。
「大役だぞ」
修が勇気づけると、トワは淑女風にスカートの端を摘まんで笑む。
「マーカーセーローなのデス」
こうして、美咲紀は商人と共に第一階層へ、修は騎士とともに第五階層へ、露草はラプターと共に第六階層へ向かった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年07月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年07月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2017年07月27日 11時00分
