【星幽塔】最終決戦！すべての希望に火を灯せ！｜リアクション

【星幽塔】最終決戦！すべての希望に火を灯せ！

【赤の扉】影御剣隊との交戦

　ティクスやゲースたちが影フォルカ隊を相手にしていたそのころ。
　ザ・ストレイトこと風雲児轟は、ヒヒイロカネで強化した篭手・ホープ・ストライクＣに宿る騎士の光で機動力を高め、影御剣隊の黒き山の如き群れを見据えて駆けていた。
　影を奪われた御剣刀はこれまで様々な場所で共闘した仲間だ。ふつふつと敵への怒りが湧いてくる。
（仲間が奪われたもんは返してもらわねえとな！）
　とはいえ、だ。
　轟の戦略的頭脳は考える。
　彼の率いるストレイト爆進隊は百、対する影御剣隊は五百で、戦力差は五倍だ。あちらは歩兵隊でこちらが騎馬隊だという優位性を差し引いても、まともに戦えば勝ち目は薄い。
（だから、）
　狙うのは影御剣ただ一人。大将を討ち取って即座にケリをつける、それしかない！
「いよいよ最終決戦……つまりは正念場！　全ての力を出し切って勝利に貢献するぜ！」
　白き英雄を先頭に、ストレイト爆進隊は影御剣隊の横っ腹へ突撃した。
「雄雄雄雄オォォォ！！」
　爆進隊は、影御剣隊の黒い兵たちを蹴散し進み、鮫の背びれが波を割るようにＶ字に分断してゆく。
　敵兵が逃げ空白になった行く手に、ひとりの影が立っていた。
　鯉口に親指をかけ、居合抜きの構えの黒き剣士は――、
「影御剣！　タイマン張らせてもらうぜ！」
　ザ・ストレイトは馬の背に立つと、片足で蹴ってジャンプした。
　空中で宙返りすると利き足に真っ直ぐ伸ばして、ホープ・グリーブで覆った堅牢な足裏で影御剣を狙う。
「喰らえ！　ザ・ストレイト／アストラルキック！！」
　と、影御剣の姿がかき消えた。
「御剣と同じ『加速』を使うか！」
　瞬時に身体が反応した。着地と同時にホープ・ストライクＣを眼前でクロスさせ、全力で防御する。
　予想違わず、ガキンと強い衝撃が走る！
　影御剣は、『加速』で駆けて居合抜き、ザ・ストレイトの脳天を割りに来ていた。
　新たに鍛えた篭手はさすがヒヒイロカネ製であった。重い衝撃はあったが、割れてはいない。
「こんどはこっちから行くぜ」
　腕を払って刀を受け流し、即座に拳を叩きこんで反撃する。避けた影御剣は、突くような剣撃を放ってきた。ザ・ストレイトはそれを、ホープ・グリーブで強化された脚力で、フットワークよく回避する。
　一進一退。
　だが、敵の『加速』はやはり強いと言わざるを得ない。
　一撃、また一撃と、避けたつもりでも白いスーツに裂傷が増え、赤い血が滲みはじめた。対する影御剣はどうだろうか。重いパンチやキックは幾度か入っている。ダメージの蓄積がないとは思えないが、目に見えてわかる変化がないので、心理的に辛くなってくる。
　影御剣隊の他の兵たちが援護に入るのを、爆進隊の兵たちは押さえ続けた。
　将と将の一騎打ちは長く続き、とうとうザ・ストレイトが膝をついた。

「く……お前もあいつだから強いんだろうが、俺は本物の強さを知ってる。だからこそ、あいつをただ切り取ったただけのお前に、負けられるか！」
　立ち上がる。
　最後の力を振り絞って、影御剣に対峙したそのとき、さっと眼前に立ちはだかる者がいた。
「その言葉、嬉しいよ」
　肩越しに振り向いたその男は、――御剣刀！
「ザ・ストレイトの言う通りさ。切り取っただけの俺に、負けられない。俺は、俺の影を倒す！」