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【星幽塔】最終決戦! すべての希望に火を灯せ!
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【白の扉】星の湖
立ったのは、透明な水の上。
薄青く沈んで行けども伺い知れぬ底の底までどこまでも透明な水の中には、金銀蒼紅、春の朝花に宿る水珠や冬の木漏れ陽や夏の海や、さまざまの色を宿しさまざまな大きさをした球がゆらゆらと揺れて優しく光り輝いている。
「きらきらな湖ですにゃ」
白の扉を潜り、色鮮やかな星宿す湖に立ち、
ミーツェ・M・フェリス
は三毛の尻尾をふわりと振った。三毛の耳をぴんと立て琥珀金の色した瞳を丸くして、湖面にしゃがみこむ。
届きそうで届かない、透明な水面に阻まれ触れられなさそうな光珠を見つめる。
「わぁ、綺麗な湖ー!」
「にゃ」
傍らに立って弾んだ声を上げる黒髪の少年を見仰ぐ。雲一つ、星一つない藍色の空を背負い、
曖浜 瑠樹
は栗色した瞳を柔らかく細めた。
「向こうの龍さんもふかふかそう」
星宿す湖の央、白銀の毛を纏った大龍が城砦の如き巨躯を丸めている。
「ここが『至高の宝』ですかにゃ?」
それとも、宝は龍が抱いているのか。
瑠樹の膝ほどしかない小柄な猫の身体をいっぱいに使い、龍のもとへ二足歩行で歩き出そうとして、ミーツェはふと透明な髭を震わせた。
「にゃ?」
白銀の龍が馬の体躯よりも大きな顔をもたげている。長い体に隠れていた両腕を湖面につき、空を仰いでいる。
龍が顔を向けるその先には、深海の色した空。その空に、ぽつり、深海の闇よりなお深い闇の色した球体。
首しかないその身の天辺には捻じれて生える二本の大角、ぎょろりと剥いた丸い瞳と大きな口に浮かぶは生きとし生けるものへ向けた嘲笑。全てを嗤い続けるそれの周りの空に、音もなくナニカが生まれ出る。
湖面へと降り注ぎながら、漆黒の雨の一粒一粒はそれぞれに姿を変えて行く。あるものは翼を背に負うた人もどきに、あるものは粘つくような黒い影の狼のかたちに、あるものは触手のような根をうねらせる禍々しい樹じみたナニカに。
「綺麗で素敵な泉を汚そうとしてるのですにゃ!?」
桃色ぷにぷにの肉球がついた『にくきゅうのたて』を構えミーツェは迷わず駆けだす。
「させませんにゃー!」
「和……むのは後だねぇ!」
和みかけていた気持ちを引き締め、瑠樹も後に続く。
「あれがゴンザレス太郎てやつか」
地響きさえ伴いそうなほどに重く足を踏みしめ、
シグマ・F・FG
は黒い瞳を剣呑に細めた。紅蓮の炎色した背の翼を力強く羽ばたかせながら、二本角の生えた額を空へと向ける。
ここまで来れば、とシグマは鱗に覆われた手に拳を打ち付ける。
「ヤツを倒して、なんとかすればいいってことだよな」
翼持たぬ者には至難の業であろうが、竜であるシグマには翼がある。飛ぶことが叶う。
(その前に、雑魚を何とかしないといけないのがな)
弓矢や剣を持った翼持つ人のかたちした黒い影の一群がゴンザレスを護ろうとしているのを一瞥の後、シグマは凶暴に笑った。
「まぁ、いいけどよ!」
ともかくも、
「これで奴らとも決着がつけられるところだぜ!」
光を抱いた湖の水面を駆けていく、二足歩行の猫と黒髪の少年と紅い鱗の竜人、その向こうで戦闘を始めようとしている白銀の龍の群と黒い影の軍勢を呆然と見つめ、
史越 奈津樹
は眼鏡の奥の黒い眼を瞬かせる。
(ウスイさん)
心の中に呼び掛けるのは、会ったこともないのに奨学金の援助をしてくれている大事な人。
(ウスイさん、事件です)
これを事件と言わずしてなんと言おう。
(世界が凄く……ファンタジーです)
世界どころか、自身が纏う衣装もファンタジーだ。腰には炎色した剣まで帯びている。
「っ、ぅえ?! 文月……っ?!」
掛けられた声に振り向けば、同じくファンタジーな格好にファンタジーな弓矢を手にした知り合いの姿がそこにあった。
「なんでイルノ? ナンデ!?」
片方にだけ緋色のコンタクトレンズを入れた黒い瞳を丸くして、
エスカルゴ・臼居
はじりじりと後退る。
(いよいよ最終決戦だなぁ、オイ! ……って感じで挑みに来て、)
まさかビデオチャットでしか顔を合わせたことのなかった少年に出くわすとは思ってもみなかった。
(僕より大きいのかコイツ……)
頭ひとつ分ほど背の高い、ハンドルネーム『文月』を見上げてエスカルゴは呻く。
「エスカルゴさん」
見知らぬ世界で見知った顔に出会えた嬉しさに、奈津樹は強張りがちだった頬を緩めた。パソコンの画面越しに見ていたときよりずいぶん若く見えるけれど、すぐにわかった。いつも言葉を交わしているひとで間違いない。
「会えて良かった、俺ここのこと全然分からなくて」
「あっ、アア、ソウネ、それでは説明しよう!」
パソコン画面を介してではなく顔を合わせていることにまだ若干戸惑いつつも、エスカルゴは星幽塔の世界と星幽塔が抱える問題についてざっくり簡単に説明する。
「とりあえず」
湖の央で身を起こす白銀の巨龍を指し示す。
「オーブの欠片をゲットする為にはあの龍を防衛したら僕らの勝ちだから!」
空に群れては耳障りな嗤い声と共に振ってくる黒い影たちに顔をしかめる。
「雑魚結構強いけど!」
エスカルゴの視線を追い、奈津樹はこくりと顎を引く。
(ひとまずなんかこう、)
不思議な世界に関われる貴重な機会を得たと割り切ることにしよう。そうでなくては理解が追いつかない。
「オッケー?」
「あ、はい。おおむね」
それに、と奈津樹は唇を引き結ぶ。
「まぁこう言うの、嫌いじゃないですから」
少年の凛々しい横顔を見上げ、エスカルゴは笑った。
「知ってる」
降り注ぎ襲い掛かってくる黒の軍勢にも怖じず、白い龍は空気を震わせ吼えた。
「にゃ!」
猫耳を押さえながらも、ミーツェは見る。
龍の周囲、白く輝く繭のようなものが生まれるのを。輝く繭がかたちを変え、龍を小型にしたような白銀龍が次々と現れては翼を広げ、襲い来る黒い影たちへ向け飛び上がるのを。
「いよいよ決戦、って感じだねぇ……」
禍々しいかたちもつ黒い影を生み出し続けるゴンザレスを栗色の瞳に映し、
壬生 由貴奈
は低く呟いた。狩人の光が変化したネックレスに祈るように触れ、肩から力を抜いて淡く微笑んでみる。
「あいつやっつけたら、みんなに勝利のクッキー振る舞いたいなぁ」
「由貴奈先輩のクッキー! やった!」
緊迫した場にそぐわぬ明るい声を掛けられ、けれど由貴奈はふんわりとした笑みを浮かべて声の主である
志波 武道
を見遣った。
「しばちゃん」
「美しい景色、だけど……あの黒いのがいなかったらもっときれいダヨネ! ウワァン!」
眼鏡の奥の茶の瞳を人懐っこく笑ませ、武道は大仰な泣き真似をしてみせる。けれど剽軽じみた仕草のその奥、瞳は生真面目な色を冷たく静かに宿している。
(守らなくちゃ、ここを……)
隠してはいてもともすれば深く思いつめがちな後輩の背を、由貴奈はぽんと叩く。最初は軽く、次は少し強めに。
「皆居るからねぇ」
普段は眠たそうな顔ばかり見せるその癖、時に透徹した瞳を見せる先輩から見透かされたように言われ、武道は頬を引っ掻く。
「はぁい」
せめてもおどけて見せる後輩に、由貴奈は小さく頷いた。視線を湖の央へと移す。
「オーブを手に入れなきゃだけど」
その欠片は龍が抱き込んで護っているらしい。その上、ゴンザレスが居る間はオーブを手に入れるどころの話ではない。
(何とか龍の力借りれないかな?)
例えばクッキーを渡すとか、と考えて、微かに苦く笑う。それで仲良くなれる雰囲気でもなさそうだ。
(話せば何とかなるかなぁ)
どうしたものかと考える由貴奈のすぐ脇、
龍目 豪
が迷いのない足取りで過ぎた。鋭い黒の瞳には確固たる意志を、意志の強そうな唇には強気な笑みを浮かべ、豪は真っ直ぐに龍を見遣る。
豪が白の扉を潜った理由は単純、
(俺も名前に龍の字が入っているから他人の気がしないぜ)
扉の向こうに龍が居ると耳にしたから。あとはちょっと考えて、己のろっこんが活かせるだろうと判断したから。
冒険の理由なんてそんなもので充分。
「とにかく龍さんのところまでいかないと……!」
白猫が珠を抱いたようなかたちした白猫宝珠の杖を両手に、
遠野 まほろ
は真摯な黒い瞳で龍を見つめる。癒しの光が変化した杖を使えば、たちどころにとまではいかないものの、大抵の傷は癒すことが出来る。
(怪我、していないかな)
幾度となく吠えては白い繭を、小龍を生み出し続ける龍を憂う。その場を僅かも動かぬせいもあってか、龍は次々と襲い来る影の狼に体のあちこちを咬まれ始めている。身を震わせ、爪を振るい、狼たちを払いのけてはいるものの、小龍たちは現れるなりすぐに空を目指し、本体であろうはずの龍には目もくれない。
(早く、早く……)
たまらずまほろは駆けだす。早く、星の力で傷を癒してあげなくては。
白いローブの裾を翻して駆けて行く小柄で勇敢な少女の背を紅珠の瞳に映し、
アルレッテ・ザメニス
は雪白色した長い髪を揺らして振り返った。
「ねえレイ、」
そう呼び掛けるのは、傍らに立つ黒髪金眼に狼の三角耳を持つ青年、
レイリー・マクティーラ
。
「手伝ってくれるかい?」
アルレッテは手にした杖で湖面を優しく労わるように叩く。杖を飾る銀環に結いつけられた細い飾り板が触れ合い、涼やかな音が鳴った。さんざめく星月の音にも似た響きに呼応してか、鏡面じみた湖に沈む輝く球体がそれぞれの色で明滅する。
「こんなにきれいな星々を汚そうというのは褒められた行為ではないね」
癒しの力が変化した杖を手に、元より戦う力を持たぬアルレッテを見遣り、レイリーは金の瞳を鋭く細めた。
「神官と護衛ではなくなったけど、俺はお前の剣だ」
護るべき神官に祈り捧げるように低く囁く。
あの世界を離れ、星幽塔に彷徨いこんで十年。神官はそのことにはもう捕らわれてくれるなと言いはしたけれど、レイリーにとって、アルレッテはいまだ護るべき存在。
レイリーは足元の光を見下ろす。アルレッテは、これを星だと言った。
「アルがこれを守りたいっつーなら俺が叶えてやる」
堅固な意志で言い放ち、レイリーはどこまでも不遜な笑みを浮かべて見せる。
「つって、やることはただの殴る蹴るだけどなっ!」
「ありがとう」
アルレッテから臆面もなく真っ直ぐに見つめられ、レイリーは黒い瞳をほんの僅か細めた。神官でなくなってもなお、アルレッテの浮世離れした雰囲気は微塵も薄れていない。
「私もできる限り協力するからね」
「それは心強い」
アルレッテの声に応じたのは、レイリーではなく、傍らに音もなく立った
ヴェルト・レトランジェ
。十代前半の少年の姿をしながら、その実四百年以上を生きる彼は、唇に挟んだ煙草の煙を深く吸い込みつつ艶やかに笑んだ。
「……どちらも崩壊しては惜しい場所だからね」
扉の前にて、星幽塔と寝子島が危機にさらされていることは聞き及んでいる。万が一そうなったとしても、ヴェルト自身は別の世界に移れば良いことではあるけれど、
「酒場や娼館へのツケもまだ残ってることだし……おっと失礼、番犬くん」
言いかけたところで、アルレッテの耳を両手で塞いだレイリーに睨まれた。
「ヴェルト」
「今のは忘れておくれ」
きょとんとするアルレッテに微苦笑の顔を向け、番犬と呼ばれて気難しい顔をするレイリーにも同じ顔を向ける。
「先生」
レイリーの険しい視線を遮る格好で、ヴェルトの前に灰金の髪の青年が立ちふさがった。手袋をはめた手を緩く広げ、八重歯を牙のように今にも剥きだしそうな青年を前に、レイリーは頬を歪める。
「ヴェルトんとこの飼い犬か」
やんのか、と剣呑に笑う手をアルレッテに掴まれ、緋色の瞳に見つめられ、レイリーは仕方なさそうに首を横に振った。
「うん、君もやる気があって大変よろしい」
主であるヴェルトから背中を軽く叩かれ、『ヴェルトんとこの番犬』であるところの
メーベル・コルテージュ
は澄んだ翠の瞳を伏せる。
「この塔に、このような階層があったのですね」
初めて来ました、と呟く執事に、ヴェルトは軽く頷き返す。見遣るは上空。
「ゴンザレス太郎とは」
皮肉な笑みを柔らかな頬に滲ませる。
「誰が名付けたか知らないけれど、よい名だね」
主の笑みが意図するところを正確に読み取り、メーベルは執事の衣装から『銀風のナイフ』を取り出す。執事である己が成すべきことはただひとつ。
(先生の邪魔をするものを排除する)
主の意志が気まぐれなものであることは知っている。それに付き合うだけであることも、また。けれど今回ばかりは、
(私情を挟ませて頂きましょう)
此処は、命の恩人であり主である彼と出会った場所。
「君、準備は出来ているかね」
「ええ、いつでも始められますよ」
応じる執事に笑みを向け、ヴェルトは湖を見晴るかす。色さまざまに輝く星を宿し、峻険でありながら麗しくも蒼い山脈に囲まれた美しい場所。
「こんな時でなければ観光に来たかったのだけど」
歩くことのかなう不思議な水面に眼を瞠り、ヴェルトは低く呟く。
「益々残念だよ」
構えるは、魔火の光が変化したボウガン。
「援護してくれ」
「仰せのままに」
主に続いて湖面を蹴りながら、メーベルは心に誓う。
(貴方と出会ったこの星幽塔の危機、見過ごす訳にはいきませんから)
「……さて」
水面から跳ね上がる星の光で琥珀の瞳を輝かせながら、
弥逢 遊琳
は静かに微笑んだ。
「美しいものに見惚れる暇もないのはあの無粋者たちの所為かい」
大きな瞳に宿るのが殺意に近い怒りであると、ほとんど本能で読み取って、傍らに立つ
服部 剛
は左右で色の違う白と黒の眼を細めた。おっとりとしているように見えて、
(京都人はこれやから)
麗しき景観を尊ぶ京都人はこういうときに怖い。温和な言葉と顔つきのその胸中で、たぶん鋭い包丁を研いでいるに違いない。
「服部?」
「せやな、ゆーちゃん!」
優しく笑みかけられ、同郷である剛は大きく頷き返す。傍に控える黒銀の竜、相棒のアルスの背に水面を一蹴りで飛び乗り、しなやかな筋肉に覆われた肩に黒々とした柄と竜の刻印が刻まれた刃を持つハルバードを担ぎ上げる。
「先に行くで!」
言うなり、剛の意思を受けてアルスが翼を広げた。風を纏い、砲弾のように飛び去りながら、
「無茶だけはしたらあかんで、ゆーちゃん!」
釘を刺され、遊琳は手にした箒を握りしめる。持つ者に淡い安息を与える箒は、癒しの光が変化したもの。その性質のお陰で、戦闘能力を持たぬ己でも、最終決戦を前にして緊張や恐怖は然程覚えずに済んでいる。
(兎角、足手纏いにはなりたくないね)
この手で殺せないのは残念だけど、と上空を仰ぐ。ひとには向き不向きがある。今の己に出来るのは、この身に宿った癒しの光で傷ついた誰かを癒すこと。出来ることがひとつでもあるのなら、そのことに全力を尽くそう。
たとえ、力尽きても。
不穏な決意を密かに固める遊琳の隣、傍目にはのんびりとした仕草で
呉井 陽太
が額に手庇をあてる。
「わらわらと敵が襲って来てるなぁ」
「ンンンマァァァーーーーーーッスルッッッ!!!!」
「うっわ?!」
すぐ隣で白銀のフルプレートアーマーを着込んだ人物が唐突に放った大声と、同時にキメられたボディビル的フロントダブルバイセップスに、陽太は思わず驚きの声をあげた。おっとりと動じない風に見える遊琳も、僅かに眼を瞠っている。
驚く周囲にも構わず、アステリズムのひとり
ナイト・オブ・リブラス
は力の籠った『聖なるポーズ』をとった。かと思えば、
「うおぉぉおぉおッ!」
湖中に響き渡るような雄叫びひとつ、一直線に湖の央へ、龍のもとへと金刺繍を施された紺色のマントを背中になびかせ駆けだす。
「今度こそ……今度こそ護ってみせる……!」
鎧と同じ意匠のクローズドヘルムの中、性別も分からぬほどに籠る声で呻かれた痛ましいほど真摯な言葉を耳に捉え、陽太は眼鏡の奥の灰色の瞳を歪めた。
龍のもとに辿りついた聖騎士は、その身に宿るアステリズムの力を使い強固な結界を張るつもりなのだろう。確かにそれが成功すれば、攻撃によるエネルギーをゼロへと還して相殺できる。
ただ、そうするまでには数秒の時間を要する。その数秒、リブラスは全くの無防備となる。
「リブラスさん……!」
そのリブラスの背を追い、身体の線が目立たず露出の少ないドレスを纏った痩せた人物が懸命に駆けた。金髪をなびかせ、折れそうな体で駆ける乙女座のアステリズム、
アストライア・スピリット
を女性と見てか、先を行っていた豪が助けの手を差しだしている。それを確かめ、陽太は踏み出そうとしていた足を止めた。そうして見るのは、
「なんかまた物騒なことになってんなー」
炎の如き不可思議な形状した巨大な両手剣を背に負うた友人、
楢木 春彦
。
「そうだね。申し訳ないけれど、また頼むよ」
春彦の隣に立って頭ひとつ下げ、水瓶座のアステリズムである
リア・トト
は足早に戦場へと向かう。迷いのない足取りを龍からは少し離れた位置で止め、鏡のような水面に小さな種をまき散らす。
星幽塔の護り手であるアステリズムの星の力を受け、いくつもの種からいくつもの芽が瞬きの間に吹き出す。芽は若木に、撚り合って綱のような木に、軋むような音を立てて育って行く。
遠からず上空のゴンザレス太郎にまで至る高さの足場となり、邪魔者たちの援けとなると読んだ黒い影の一群がリアへと向かう。
「春彦君はリアさん、オレはリブラスさん!」
「おう!」
陽太の言葉に、春彦は逡巡なく頷いた。
「と、その前に」
今にも駆けだしそうな春彦の手を掴んで止め、陽太は取り出した粘土細工をその手に握らせる。
「持ってて。そーしてくれると俺、カスミさんと視覚共有して春彦君の状況がわかるし」
「おーっ、サンキュー!」
反射的に礼を言ってから、春彦は気づく。陽太がろっこんで使う粘土細工のカスミさんと言えば、
「……うわ、やっぱか」
ピンクの服を着た小さな熊を肩に乗せつつ、春彦は胡乱な目をした。
(コイツちょっとカマっぽいんだよな)
「リブラスさんの結界が成功したら、カスミさん踊らせて知らせるからっ」
「コイツに躍らせるってオマエ……」
くねくね躍る熊を想像してげんなりした顔を見せる春彦に、陽太は拳を突き出す。
「というわけで」
「呉井も気ぃつけろよ!」
負けることなど微塵も考えぬ笑顔を見せる陽太の拳に拳を当てる。そうして、陽太はリブラスとアストライアのもとへ、春彦はリアのもとへ、ふたりは別れて急ぐ。
「また後でー!」
「また後でなっ」
勝利の後の再会を言い交して。
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冒険
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
73人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月20日
参加申し込みの期限
2017年07月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年07月27日 11時00分
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