【星幽塔】最終決戦！すべての希望に火を灯せ！｜リアクション

【星幽塔】最終決戦！すべての希望に火を灯せ！

　衛とアカリが話し合っているのと同じ頃。円と真白もまた僅かに下がり意見を交換していた。
「ステラちゃんを盾にするなんて……っ！でも、これってある意味チャンスかも？」
「それってさ、ステラちゃんを奪還しやすいって意味で？」
　円の言葉に、真白が大きく頷く。
「そういう事！　ステラちゃんをこっちに持ってきてくれるってことだもん♪」
「あー、ステラちゃんを盾にすることで回避してるんだもんねー。確かに、僕たちにとって、大きなチャンスだよね。そこを生かす作戦さえあればいいんだ」
　２人は頷きあい、白と緑の髪が揺れる。そして、円は動き出そうとした衛とアカリにその事を伝え、４人は互いに意見を交換し合い、作戦を素早く組み立てるのであった。

「こいつっ！」
　夏朝が戦輪を手に魔風の弾を放ち、月がそれにあわせて鋼糸を放つ。ステラが巨人の表面を滑って攻撃を受けようとするも、風の弾はその直前で威力を失い、糸がそれより先の場所を滑る。
（星の力をこめたほうが、巨人に与えられるダメージは大きいようですね。しかも２種類同時にした攻撃のほうが……。しかし、ここは温存しておくべきでしょう）
　月が下がろうとした瞬間、巨人はまたも足を踏み鳴らして振動を起こす。夏朝と月は石柱へと鋼糸を伸ばして虚空へとさけたが、その石柱がぴしっ、と音を立てて倒れようとする。
「っ！」
　咄嗟に鋼糸を解き、夏朝を抱えて倒れこむ月。フローレンスと高久は２人へと倒れこもうとする石柱を見、すぐさま降りた。高久がフローレンスを守るように剣を構え牽制する中、フローレンスは石柱を指差す。
「いきなさいっ！」
　フローレンスが操る銀の使い魔が石柱を押し飛ばし、夏朝と月を守る。飛ばされた石柱はせり立つ巨石の壁にぶち当たって砕けた。
「大丈夫ですか？」
　フローレンスの問いに２人が頷くと高久と共に一旦下がった。

（少し、力を込め過ぎたか……）
　僅かなめまいを覚えた遥斗だったが、日和が隙を見て星の滴を手渡した。

「無茶しないで。私も魔風で吹き飛ばせるから、穴埋めぐらいはできると思うの」

「結城先輩……！　かたじけないっ」
　遥斗が礼を述べて星の滴を飲みこむ。その時には既に日和はシドニウムの側に戻っていた。彼女自身も星の滴を口にすると、僅かにぼんやりしていた頭がすっきりしたような気がした。
　視界の向こうでは、アヴィケンナの警護に回るロベルトが同じようにCHを飲んでいるのが見えた。
（けっこう、ハードだね。腕が頻繁にアステリズムを狙うし。……この腕ってどうにかできないのかなぁ）
　ぽりぽりと頭をかきながらもちらり、とアヴィケンナを見る。彼は休みなくオートマータに指示を出しては、冒険者達のフォローに回っていた。
「大丈夫？　これ、飲んどいたほうがいいかも」
「自分用に残しておきなよ。君もけっこう傷ついてるじゃないか」
　気持ちだけ受け取っておくよ、とアヴィケンナが戦場を見たままロベルトの手を下げさせる。その時、ロベルトは気づいた。巨人の攻撃に巻き込まれたのか、戦闘不能となり動けなくなった数体ものオートマータが戦場の端っこに転がっていたのを。

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　乾いた空気の中、巨人は傷つきながらもステラを盾に冒険者達を挑発する。
　傷ついた冒険者達は隙をみて傷を癒しながらも、徐々にステラとオーブの破片を得るべく策を進めていくのであった。

　――果たして、彼らの運命や、いかに……？