奇襲！　ろっこん無効を打破せよ！｜リアクション

奇襲！　ろっこん無効を打破せよ！

●●●3種族の奇妙な出会い●●●
　寝室で物色をしようとした武井大介は固まっていた。
　少女が2人、白衣が寝起きしているであろうベッドの上で寝ていたからだ。

「ん…ふわぁ…あれ…また知らない場所で寝てた…あなたはだぁれ？」
「んん…あと5分…あと5分したら起きるから…」
「なら…あと5分…メイディも寝るね…」
「起きろ少女たち！」

　二度寝しようとしてるメイディ・パッセと羽生碧南に、つい声を荒げてしまう大介。
　目をこすりながら起きた、どう見ても白衣の仲間だと思えない碧南とメイディに状況の説明をした。

「メイディ良いこと悪いことの区別はちゃんとつくよー」
「うんうん、悪いことだな」
「侵略なんてひどい話だし、許せないから、メイディもほしびととしてお役にたてるならがんばって戦うよー」
「自分はただのひとなのに、なぜこのようなことに巻き込まれたのか…」

　奮起するメイディとは対照的に以前からの因縁に疑問を持ち肩を落としている碧南。
　苦笑するしかない大介だったが、戦力が増えるのは喜ぶことであると自身を納得させる。
　早速とばかりに行動する3人。メイディは廊下に出て大部屋Bへと向かい、大介と碧南はこの場で物色開始。

「よくわからないものばかりだなー。これも壊しちゃいましょう」
「だな。なんというか、古めかしい記録方法だとは思うが、この世界にゃパソコンなんぞないのかもな」

　ちょうどゴミ箱のようなものがあったので、そこにできるだけ原型をとどめないようにして捨てる碧南。
　紙媒体の記録をざっと見ては捨てている大介はもう少しデジタルなものを想像していた。
　他の部屋より少々荒っぽい感じに捨てていっているが、碧南が日本語の表記があるものを見つけた。

「これはまた読みづれぇな…。内容は日記みたいだが」
「見たいですね。他にも色んな言語で書かれてるみたいです」

　内容を解析し始める大介と似たメモ帳を見つけるも、どんどん捨てていく碧南。
　そうして発見した一文を見て、大介は廊下に、正しくは研究用Bに向かっていった。

●●●苦戦、解決の道筋●●●
　大介が廊下に出て研究用Bに向かおうとしたとき、武道・ペルラペアと出くわす。
　黒ずくめになっている武道に驚いたが、その場で簡単な情報交換をする。
　それぞれ次の目的地に行こうとしたところで大部屋Aから徹之進が飛ばされてきた。

「むぅ、どうも勝手が違うようでござるな。後れを取るとは不覚でござった」
「だ、大丈夫ですか！？　今癒しの光を…」
「確かほしびとの力は使えなかったよね？　ちょっと待ってねー」

　ぺっ、と血を吐きながら体制を整える徹之進を守る様に前に出る大介。
　ペルラは徹之進に駆け寄り、星の力を行使しようとするも発動しなかった。
　武道は周りに注意を払いながらも徹之進の具合を確認する。

「打撲が主ですかね？　なら、気にならない程度にすることはできると思います」
「おぬしの力か。かたじけない」

　武道が患部に触れ、行き過ぎないように手刀を刺していく。
　ろっこん【スイ・マー】を発動させることで、神経と感覚を麻痺させていく。
　これで徹之進が痛みによる動きづらさは軽減され、ペルラはなるほど、と手刀の刺し具合を注視していた。

「ってーな！　力が使えんと、こうも痛みが反射するもんかね！」

　前に出た大介は襲い掛かってくるゴブリンにろっこんを用いず、相撲を取る様に組み付く。
　暴れるゴブリンの力をそのまま利用して転倒を促し、大部屋Aに押し戻すことができた。

「志波、さっきの伝言頼めるか？　こいつら、廊下に出しちゃまずかろうさ」
「わっかりました、武井さん。ご武運を！　徹之進さん、良かったら俺のろっこん使ってください」
「かたじけない、志波殿。ペルラ殿も感謝でござる。拙者も武井殿に続こう。借りは返すでござるよ」
「私は…あちらの応援に向かいます。嫌な音がしてますから」

　大介は武道に伝達、武道は徹之進に力を渡し、徹之進は武道とペルラに感謝を示し、ペルラは大部屋Bに。
　それぞれの一歩を踏みしめた。

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