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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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あなたと巡り合ってから
今日は良い天気。ぽかぽかあったか、道端のたんぽぽは風に揺られて春を謳歌して合唱している。
ゆらゆらと見慣れた黄色いたんぽぽの花が揺れるのに紛れて知っている毛色の柄を発見して佐藤 プリンス 雄太は駆け出した。
「こんにちは、にゃーさん。お散歩中だったの？」
驚かせないように手前でブレーキをかけつつ、雄太は草地にちょこんと座っている猫に元気な挨拶をするのだった。
…※…
にゃーさん、とは。雄太が猫の小道で知り合った猫である。
その場にしゃがみ込んでご機嫌を尋ねる雄太と、逃げることも怯えることもなく少年を見上げている猫は、とても親密そうだった。
それもそのはずだろう。にゃーさんと雄太は、″覗きの極意″なるテーマを以って話し合った仲なのである。
ん？
″猫と話し合う″だって？
子供らしい空想遊びと笑うなかれ。
それは、雄太にとっては空想とも言い切れない。
勿論。実際に検証する必要な第三者の理解と介入が得られない――だって猫と会話できない――以上、真実とも確定できない。
しかし、雄太は猫と会話できるようだった。
曰く、
″なんかよくわからないけど、猫と話せるみたいなんだよね″である。
ここは寝子島。
神様が落ちたる地。
人の器に触れ宿りしは不思議の力。
何が起こっても、それは、力帯びたる真実に変わろうか。
だから、猫と離せると言う雄太は嘘つきではないし、真実神様より齎（もたら）された彼だけの力である。
島のどこもかしこも奇跡ばかりが落ちているのだから。
ただし、そんな不思議も「俺がそう思っているだけかもしれないんだけど」と雄太は謙遜とその事を周囲に吹聴しなかった。
話しかけた猫が確かに返事をしている仕草を見て、きっと会話は成立している意思の疎通はバッチリだと思っていても自分だけの秘密と口外はせず、これを密やかな楽しみとしていた。
にゃーさんと呼び始めたのも「名前はどんなのがいい？」と質問すれば「にゃー」と答えてくれたのが切っ掛けだった。
にゃーさんとは話題が尽きない。先に述べた覗き見しかり、世間話しかり、縄張り争いの必勝法しかり、一緒にこうやって草地に座ってしゃべるだけでも楽しかった。
猫の小道で出会ってどれだけ経ったのだろうか。もう旧来の友達感覚である。
「にゃーさん。今日はね、お魚持ってきたんだけど食べる？」
雄太の問いかけに猫は尻尾を水平に揺らし「にゃー」と答えるので、散歩の途中らしかったので食べないかもと危惧していた彼は、嬉しい返事にいそいそと大事に仕舞ってあったおかずの残り物が入ったタッパを取り出して、開けた蓋に魚を載せ替えてからそれを地面に置いた。
「おいしい？」
にゃーとまた一鳴き。食事中の猫はどんなに大人しくても危険なので雄太は、にゃーさんが食べ終わるのを辛抱強く待った。
こうして食べ物を持ってくると警戒もせず食べてはくれるものの、にゃーさんは誇り高き野良猫さんで、常に自分の食料は自分で確保している事を雄太は知っている。
実際、獲物の捕り方を教えてもらったりもした。猫独特の狩猟方法なので雄太は会得までは至らなかったものが多々あったものの、その数々の手法は覚えている。
一度実行しようとして母親に怒られた印象も強く、段取りまでしっかりと覚えている。上手く行かないと落胆した日には、にゃーさんはどこかへ消えたと思ったら獲物を咥えて戻ってきて雄太を大変に驚かせたりもした。そんな雄太ににゃーさんも狼狽えたらしく咥えた獲物を落としてしまい、まだ生きていた鳥は懸命に羽ばたき逃げ出して、バサバサという羽音の余韻に、一連の事がコントに思え、しょげていた心も落胆を忘れ、気づけば腹を抱えて大笑いしていた。
出会うきっかけになった足湯にもよく行った。
他の猫達ともおしゃべりできるし、にゃーさんのお気に入りの場所でもあったから。
「にゃー」
「にゃーさん、ごちそうさま？ ちょっと待ってて」
思い出にふけっていた雄太は欠片まで舐め取られ綺麗になったタッパの蓋を拾い、荷物を仕舞う。
「散歩の途中だったんだよね、どこ行く予定だったの？」
聞くとにゃーさんは、すっとおすわりの体勢から動き、移動を始めた。
雄太も、よいしょ、と立ち上がった。
「ねぇねぇ、にゃーさん、どこ行くの？」
投げかけた質問に、「にゃー」と返事が返ってくる。
そんなやりとりが妙にこそばゆく、猫の後ろをついて歩きながら雄太は、
これからもいろいろおしゃべりをしたいし、色々楽しみあいたいな。と心踊らせていた。
ゆらゆらと見慣れた黄色いたんぽぽの花が揺れるのに紛れて知っている毛色の柄を発見して佐藤 プリンス 雄太は駆け出した。
「こんにちは、にゃーさん。お散歩中だったの？」
驚かせないように手前でブレーキをかけつつ、雄太は草地にちょこんと座っている猫に元気な挨拶をするのだった。
にゃーさん、とは。雄太が猫の小道で知り合った猫である。
その場にしゃがみ込んでご機嫌を尋ねる雄太と、逃げることも怯えることもなく少年を見上げている猫は、とても親密そうだった。
それもそのはずだろう。にゃーさんと雄太は、″覗きの極意″なるテーマを以って話し合った仲なのである。
ん？
″猫と話し合う″だって？
子供らしい空想遊びと笑うなかれ。
それは、雄太にとっては空想とも言い切れない。
勿論。実際に検証する必要な第三者の理解と介入が得られない――だって猫と会話できない――以上、真実とも確定できない。
しかし、雄太は猫と会話できるようだった。
曰く、
″なんかよくわからないけど、猫と話せるみたいなんだよね″である。
ここは寝子島。
神様が落ちたる地。
人の器に触れ宿りしは不思議の力。
何が起こっても、それは、力帯びたる真実に変わろうか。
だから、猫と離せると言う雄太は嘘つきではないし、真実神様より齎（もたら）された彼だけの力である。
島のどこもかしこも奇跡ばかりが落ちているのだから。
ただし、そんな不思議も「俺がそう思っているだけかもしれないんだけど」と雄太は謙遜とその事を周囲に吹聴しなかった。
話しかけた猫が確かに返事をしている仕草を見て、きっと会話は成立している意思の疎通はバッチリだと思っていても自分だけの秘密と口外はせず、これを密やかな楽しみとしていた。
にゃーさんと呼び始めたのも「名前はどんなのがいい？」と質問すれば「にゃー」と答えてくれたのが切っ掛けだった。
にゃーさんとは話題が尽きない。先に述べた覗き見しかり、世間話しかり、縄張り争いの必勝法しかり、一緒にこうやって草地に座ってしゃべるだけでも楽しかった。
猫の小道で出会ってどれだけ経ったのだろうか。もう旧来の友達感覚である。
「にゃーさん。今日はね、お魚持ってきたんだけど食べる？」
雄太の問いかけに猫は尻尾を水平に揺らし「にゃー」と答えるので、散歩の途中らしかったので食べないかもと危惧していた彼は、嬉しい返事にいそいそと大事に仕舞ってあったおかずの残り物が入ったタッパを取り出して、開けた蓋に魚を載せ替えてからそれを地面に置いた。
「おいしい？」
にゃーとまた一鳴き。食事中の猫はどんなに大人しくても危険なので雄太は、にゃーさんが食べ終わるのを辛抱強く待った。
こうして食べ物を持ってくると警戒もせず食べてはくれるものの、にゃーさんは誇り高き野良猫さんで、常に自分の食料は自分で確保している事を雄太は知っている。
実際、獲物の捕り方を教えてもらったりもした。猫独特の狩猟方法なので雄太は会得までは至らなかったものが多々あったものの、その数々の手法は覚えている。
一度実行しようとして母親に怒られた印象も強く、段取りまでしっかりと覚えている。上手く行かないと落胆した日には、にゃーさんはどこかへ消えたと思ったら獲物を咥えて戻ってきて雄太を大変に驚かせたりもした。そんな雄太ににゃーさんも狼狽えたらしく咥えた獲物を落としてしまい、まだ生きていた鳥は懸命に羽ばたき逃げ出して、バサバサという羽音の余韻に、一連の事がコントに思え、しょげていた心も落胆を忘れ、気づけば腹を抱えて大笑いしていた。
出会うきっかけになった足湯にもよく行った。
他の猫達ともおしゃべりできるし、にゃーさんのお気に入りの場所でもあったから。
「にゃー」
「にゃーさん、ごちそうさま？ ちょっと待ってて」
思い出にふけっていた雄太は欠片まで舐め取られ綺麗になったタッパの蓋を拾い、荷物を仕舞う。
「散歩の途中だったんだよね、どこ行く予定だったの？」
聞くとにゃーさんは、すっとおすわりの体勢から動き、移動を始めた。
雄太も、よいしょ、と立ち上がった。
「ねぇねぇ、にゃーさん、どこ行くの？」
投げかけた質問に、「にゃー」と返事が返ってくる。
そんなやりとりが妙にこそばゆく、猫の後ろをついて歩きながら雄太は、
これからもいろいろおしゃべりをしたいし、色々楽しみあいたいな。と心踊らせていた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年06月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年06月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年06月27日 11時00分
