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翻すは雷光の意思 決戦リベレイター ~機鋼世界マシナリア~
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◆
「よし、これでこの辺は片付いたか」
黒い鋼の守護神がそこにいた。
彼はたった一人でガーゴイルの二個小隊を相手にし、ほぼ無傷でそれらを撃破したのである。
振るわれる重厚な拳は力強く、大地を踏みしめる太い脚は頑強だった。
彼の右腕には彼用にちーあによって調整されたぶーすたーなっくる改が取り付けられている。
彼の名は
絹織 真由良
。ろっこんの力によって3メートルもの巨体である黒き守護神『フェノメノン』へと変身する者である。
黒く硬いその装甲はガーゴイル達のマシンガンの掃射を受けても表面が少し削れる程度でダメージと呼べるほど痛手を受けていなかった。
「……あれは!」
彼の視線の先でうな垂れるようにしてガーゴイル四体に運ばれてきた巨躯があった。武骨な石人形と言った雰囲気で武装の類は装備していないようだ。
ガーゴイル達がロープを切除。石人形は真由良も足場にしているティーアによって作られた巨大な魔法陣に着地する。
運搬だけが任務なのだろうか、運んできたガーゴイル達は攻撃態勢を取らず全速力で戦闘空域を離脱し空の大穴へと帰っていく。
直後、石人形――ゴーレムの瞳がギラリと光り声をあげて動き出した。
「ガァァァァァァァァアアアアアア!」
身体中に刻まれた大小様々の見たことないような文字が青く明滅し、ゴーレムは真由良へ真っ直ぐに突進してくる。
そして大きな腕を振りかぶり渾身のパンチを放つ。
腕を交差させてそのパンチを防ぐ真由良だったが、ゴーレムのパンチは重く彼の巨体すら後ずさりさせるほどであった。
「うわぁぁ!? フェノメノンが押される!? だが、まだまだぁーッ!」
振りかぶった黒き拳を真っ直ぐに真由良は放つ。石の皮膚と黒い鋼の装甲がぶつかり激しい火花を散らせて衝撃波を放った。
体重と勢いの乗ったパンチがゴーレムの右肩を吹き飛ばした。
「まずは一撃! このままパワーで押し切――なんじゃとて!?」
真由良は目の前で起こった事象に目を驚愕の色に染めた。それは普通ではありえないことだったからだ。
ゴーレムの砕けた部分が不思議な文様に包まれたかと思うとがらがらと映像の逆再生を見ているかの様に再生してしまったのである。
何事もなかったかのようにゴーレムは再び猛烈な殴打を繰り出す。
真由良はガードを固め、殴打の嵐に耐える。命中するたびに衝撃波を撒き散らす攻撃はフェノメノンの頑強な装甲にも次第にひびが入れていく。
(ぐっ……何か、何かあるはずだ……! あの再生力の秘密が……ッ!)
「ウガァァァァァァァァァァァ!」
ゴーレムは叫び声をあげたかと思うと両の拳を合わせる。メキメキと石の拳が形を変え、一つの巨大な杭へと変貌させた。
無数の石の棘が乱雑に生えるそれを突き出した状態でゴーレムは真由良に突進した。ゴーレムの背面に魔法陣が出現し鈍重な石の巨体を弾丸のように加速させる。
「……ッ!」
真由良は棘でずたすたに裂かれる腕の装甲を気にせずに必死にそれを受け止めたが、ゴーレムの勢いは止まらず大きく吹き飛ばされてしまった。
砕けたフェノメノンの各パーツ片と黒いオイルを撒き散らしながら空中を数秒飛んだかと思うと、フェノメノンは魔法陣の床に激しく叩きつけられる。
そのダメージは轟音と衝撃が真由良の頭を揺らし意識を保つことすら難しい程であった。
激しい痛みを堪えつつ、ゆらりと立ち上がった真由良の身体は満身創痍……左腕は動かず、身体の黒い装甲は所々が剥がれ内部フレームが露出している。亀裂の入った頭部側面や腕や足、胸の装甲からは血液を思わせる黒いオイルが流れていた。
だがただやられたわけではない。
彼はダメージを受けながらもゴーレムの額に書かれた『emeth』という文字を見つけていたのである。
「はぁ、はぁ……再生能力がすごかろうと、ゴーレムである以上、はぁはぁ……あの文字を削れば……動かなくなる! うおおおぉおぉぉーーッ!」
捨て身の特攻とばかりに真由良は魔法陣の床を強く蹴って走った。
ゴーレムはもう一撃と石の巨大な杭を作り出している。だが真由良は速度を緩めるどころか更に加速させていく。
真由良目掛けて再び突進を敢行したゴーレムの一撃を紙一重でかわし、その瞬間真由良はぶーすたーなっくる改のリミッターを解除して真下に向かって最大パワーで発射した。
轟音と衝撃波が巻き起こり魔法陣の床に激突したぶーすたーなっくる改は大爆発し激しい煙と爆炎が辺りを包みこんだ。
その煙から飛び出る様にして現れる黒い影……それは真由良であった。
爆発の影響で全身を更に大破させ、動いているのが信じられないほどの損傷でありながら彼はその爆発力を利用して巨体で宙を飛んだのである。
「いくぞぉぉぉッ! 消えてなくなれえぇぇぇぇぇーーーーッ!」
振りかぶられた黒き右腕がゴーレムの額を貫く。真っ直ぐに伸ばされた拳が額の『emeth』『e』の文字を削り取り死を意味する『meth』へと変えた。
その瞬間、石のゴーレムは天へ手を伸ばしながら崩れ去っていく。
石の瓦礫となったゴーレムの上に着地し元の姿へと戻った真由良はがくりとうな垂れる。全身を筋肉痛の痛みが駆け巡っていた。
「はぁはぁ、これ、で……やばいのは……なんとか、した……。あとは……任せた」
身体を少し休める為に真由良は仲間達に運ばれて後方へ下がり、戦線を離脱した。
◆
「兄さぁーん、言うとおりにしろってどういう事ー?」
「その言葉の通りだ」
「えー、なんでさー! 好きに動いたって……」
そういう
新田 樹
の肩を掴んで
新田 亮
は伏せるように低い姿勢で跳んだ。
「きゃっ!? 兄さん、いきなり……えっ」
そういう樹の目に飛び込んできたのは先ほどまで自分達が立っていた所にガーゴイルの死体が転がっている光景だった。
ガーゴイルは自重で床に叩きつけられた時に潰れたのであろう身体の至る所がひしゃげていた。
「わかったか、これが『戦い』だ。少しでも気を抜けば、ああなる」
「…………」
無言のままガーゴイルの死体を見詰めている樹の肩を軽く叩きながら亮は言う。
「本当は危ない目になんかあわせたくはない。だが樹の事だ……後方に下がれと言っても無理だろう? だからせめて言う通りに動いてほしいんだ。なるべく危険が少ない様にな」
「うん、わかった……ってか兄さんってば心配しすぎよ。私がああなるわけないわ」
死体を見た樹であったがその心には恐怖どころか戦いに対する楽しさのような感情が浮かびあがっていた。
それは普通の人では持ちえないセンスのようなもの。
彼女には恐怖にやられずに戦う事のできる、戦いのセンスがある……そういうことだった。もっとも本人や兄ですらもまだ気づいていない様であったが。
「はぁ……本当に分かっているのか。そんな調子じゃ、連れては――――」
背中を向けて歩いていた樹はくるりと亮の方を向いて彼の言葉を遮った。とてもいたずらっぽい笑みで。
「――また連れて行かないなんて言っちゃうつもり? 忘れたのー? 作戦会議での事……ふふっ。あの時の兄さん、慌てて面白かったなぁ……」
亮は戦闘前に行われた小規模な会議で彼女にされた悪戯が脳裏によぎっていた。その時に触れられた足の関節部分がむず痒くなる。
「わかった、言わない」
「そ、ならいいんだけど。それで、まずは何すればいいの?」
「ああ、火の魔法石に念を込めて渡してくれ。俺がそれを投げる」
腹減り対策のするめをかじりながら、樹は次々と火の魔法石に念を込めて亮に渡していく。
その時、彼らの所に数体のガーゴイルが飛来した。すでにガーゴイルは射撃体勢に入っており回避は間に合いそうにない。
無慈悲にも鉛の雨が無防備な二人へと降り注いだ。
「なっ!? 樹! 伏せろっ!」
しかし次の瞬間その弾丸の雨は幾重にも張り巡らせられた鎖の壁が弾く。
「あぶないですねぇー、兄妹仲がいいのはいいですがぁー気をつけてくださいねぇ」
そこに現れたのはツクヨであった。彼女は自らの血液で精製した血の鎖を鞭の様にしならせると空飛ぶガーゴイルを次々と叩き落としていく。
仲間になっているとはいえ、狂気的な笑みを浮かべながら楽しそうに敵を撃ち落とすその姿は少しばかりの恐怖を感じずにはいられない。
あらかた片付けたあと、ツクヨは前屈みになると座っている二人に話しかける。
「魔法石の投擲……あひゃはっ! 有効な手ですねぇ! ですが充填と準備に時間が掛かる……わかりましたぁ! ツクヨが時間を稼いであげますよぉ! 投擲の方はお願いしますねぇー」
そういうとくるっと背中を向けてツクヨは金色の髪をたなびかせながら鎖の反動を利用して空へと舞い上がっていた。
「すごい……人だな」
「うん、そうだね……って兄さん、まさかあの人のおっぱいがすごいって意味じゃ……?」
「違う! 断じてそんな事はない!」
必死に否定する亮であったが樹はからかうネタを見つけたとばかりに楽しそうに笑っている。
樹が自分の胸を下から腕で持ち上げる様に強調するとしなっとグラビアポーズを作ってみせた。
「おっぱいが好きな兄さんは妹の胸にもまさか……ふふっ」
「だから違うと――」
亮が否定しようとしたその瞬間、突如黒い砲撃が寝子島の空を裂いた。
激しい漆黒の稲妻を伴いながら飛来した黒いビームはティーアの張った巨大な魔法のシールドにぶつかる。ビームによって削られるシールドは光の粒子を撒き散らし辺りに光の粒の雨が降った。
「……っ! あぐっ!」
歯を食いしばるティーアであったが砲撃を受け止めるシールドの出力を落とすことはない。
激しく光った魔法陣の巨盾は黒いビームを拡散させ、霧散させる。
膝をつき、肩で息をするティーアを見てハガルは狂気的な笑いを浮かべた。
「ひぃはっはっはっッハッハッハッハッハっはっはっはっは! もうおしマイだろウ! お前が守りタカッタ全てを消し去ってやる! そう、全テダぁぁッ!」
黒いノイズのようなオーラを纏いながらハガルは再び砲台から黒いビームを放った。
迫る黒いビームだがティーアは立ち上がれない様で魔法の盾は展開されていない。
それを見た亮は巾着袋に先ほどから貯めていた火の魔法石を全て入れるとぶーすたーなっくるのブースターを吹かせる。
「樹、お前はティーアを! 俺はあれを何とかする……!」
「兄さん!」
樹の言葉を背中で聞きながらぶーすたーなっくるの噴射を利用して亮はビームへと対峙する。
握りしめているぶーすたーなっくるの手の平の中には先ほどの魔法石が詰まった巾着袋が握られていた。
息を止め、頭の中で発動というと彼の身体能力は飛躍的に向上した。これが彼の力である。
(いかなる砲撃であろうとも、所詮は運動エネルギーの塊。別の運動エネルギーを高密度でぶつけてやれば……相殺は無理でもティーアへの直撃軌道を変えることはできるはず)
ビームの先端と亮のぶーすたーなっくるがぶつかり、稲妻を伴った激しい火花を散らす。
黒い稲妻が亮の頬や腕を裂き、流血させるが亮は気にせずにぶーすたーなっくるの出力をあげ、これでもかとブースターの炎を吹かせた。
二つの激しい運動エネルギーはぶつかり、一瞬だけ拮抗するが黒いビームの方がパワーは上らしく徐々に亮は押されていく。
「ぬぅぅぅああああ! まだだっ! 曲がれえぇぇぇ!」
彼は頭の中で強化というと更に身体能力を向上させる。
右腕に装備されたぶーすたーなっくるがビームにめり込んだ瞬間、亮は拳を強く握り締めた。
甲高い砕ける音がしたかと思うと激しい爆炎が巻き起こる。炎はビームを寸断しその軌道を変える。軌道を変えられたビームはティーアのいる位置よりも数十メートル後方に着弾した。
ビームの直撃を受け足場でもあり最後の防衛ラインでもある巨大魔法陣が明滅する。
だが寝子島を守る最後の盾は強靭で消える様子はまだなかった。
「兄さんっ!」
ぷすぷすと黒い煙を立ち昇らせながら落下してくる亮に向かって樹は走った。
(私が! 私がちゃんと受け止めなきゃ……!)
どさっと受け止めて亮ごと樹はそのままその場に倒れこんだ。
「はぁ、はぁ……間に合った……」
彼女は思う。
自分の兄が自宅を開け、傷だらけで夜に帰ってくるのはこういうことだったのかと。
自分を顧みず無茶をする、し過ぎる兄を彼女は深く心配していた。
だがそれを言葉に出すことはない。
狡猾な仕草、からかうという動作でそれを塗り隠す。その真意は彼女しか知らない。
「もう、兄さん。お目覚めには妹の熱いキスがご所望? それとも、柔らかーいお胸でのマッサージが――」
「……いらん、もう目覚めたからな」
「あらら、それは残念……ふふっ」
笑いあう兄妹は体制を整えると再び、守りの要であるティーアの防衛に励むのであった。
◆
新田兄妹がティーアの防衛をしている頃、ある準備が完了した女性がいた。
彼女は
矢萩 咲
。負の感情を己が力とするろっこんの持ち主である。
彼女が拳を握るとバチバチと黒い稲妻が腕を伝って放出された。
「嗚呼、我が怨敵よ。この咲に負の感情で挑むとは愚か!」
強い瞳で空を眺め、咲は穴の先にいるであろうハガルを睨み付ける。
「大切な人達を守るため、今一度……咲は修羅となろう!」
腕をまっすぐに伸ばし、咲はメガエラ・フォースの発射体勢に入った。
「やつらは侵略者。また咲の大切な人々に手を出すつもりなのだろう、ああ、もう……そう考えるだけで貴様を討ち滅ぼすには充分な力が溜まるぞ! さぁ、何時ぞやの続きといこうか! ハガル!」
叫んだその声と同時に咲の腕から黒い極太のビームが放たれる。それは真っ直ぐにハガルの所へと飛翔した。
ハガルを守るように多数のガーゴイルが空中に展開されるが、それらは壁の意味を成さずあっという間に蒸発し空のチリへと消えていった。
「ほほう、なかなかやるようにナッタノダナ! オモシろいゾ!」
ハガルが手をかざすとノイズ交じりの複雑な魔法陣が空中に顕現し、盾の様に何枚も展開された。
咲が放った黒いビームは魔法陣の盾とぶつかり紫色の稲妻を飛び散らせる。振動が魔法陣を揺らしその幾枚かをぶち抜き、ハガルの側面をビームが抜ける。ハガルの頬が軽く裂け一筋の血が垂れる。
「くっくっく、シールドを抜くか……ますます面白くなってきたぞ! サァ、これをどう防ぐ! 誤差修正、マイナスエネルギー流入……照射杭固定、発射ァァァッ!」
ハガルの掛け声と連動し、砲台はそのエネルギー板を回転させ、黒い稲妻を砲身正面に収束させる。
それが一瞬膨れ上がったと思うとすぐさま収縮し極太の黒いレーザーが無数に放たれた。
そのレーザーは先ほどのハガルの砲撃よりも規模は小さい。だがレーザーの本数が数えきれないほどに多く、それは黒い豪雨の如く咲の元へ真っ直ぐに向かっていった。
咲は迫る黒い雨を見て目を閉じる。
諦めたわけではない。むしろその逆である。
「同じ黒い力……そうか負の感情の砲撃か……お生憎ッ! それは咲の専売特許だッッ!! お前の力を凌駕する程の鬼神の如き殺意で応えてやるッ! 死ねッ! ハガルッッ!!!」
振りかぶった拳が真っ直ぐに打ち出されたその時、咲の右手が明滅する。
紫の衝撃波を伴って放たれた極太の黒いビームは太く、太くその大きさを肥大化させながら進む。
その時、咲は右手に左手を添え、足を踏ん張って薙ぎ払うように右から左へ腕を移動させる。
放たれ続ける黒いビームはそれに従い、右から左へと迫る黒いレーザーの雨を薙いだ。
黒いビームが薙いだ寝子島の空で暗褐色の爆発が連続して巻き起こる。
それはハガルの放った黒いレーザーと咲の放った黒いビームの衝突した作用により起きた爆発であった。
それは空中のガーゴイルを多数巻き込み、ねじ切る様にその身体をぐしゃぐしゃに曲げて圧殺した。まさに小規模のブラックホールと言えるものである。
マイナスエネルギー同士がぶつかると小規模の疑似ブラックホールが形成される場合がある。それはエネルギーの総量が多ければ多いほど発生確率が上昇していくのだ。
その様子を見てハガルは狂ったように笑う。
「はっはっはっはっはっは! 面白い、実に面白いぞ、人間ッ! ならば相応の礼をしなければなるまい……リミッター解放、最大出力!!」
耳をつんざくような轟音が大気を揺らし塔と同程度ではないかと思うほどに大きな黒いレーザーが放たれた。それは味方であるはずのガーゴイルを巻き込み、そのすべてを灰塵と化した。
「味方もろともだとっ!? 気が触れたか、ハガルよ!」
相殺しようと再びメガエラ・フォースを放つ咲であったがその出力の差は歴然で受け止めることすらできずに咲のビームはハガルのレーザーに押されていく。
震える拳を抑えながら咲は歯を食いしばる。踏ん張っているはずの足も徐々に後ろへと下がっていた。
「……何の目的の為かは知らん。貴様らは、この島を消そうというのだろう? 己が野望の為だけに。圧倒的な力で。だが、咲は屈しない! なぜならば! 咲は今、人修羅なりッ!! 修羅の道はッ!! 退く事ではない! ただ己が腕を信じ! ただ、ただ、前に往くことなりッッ!! はぁぁぁぁぁッッ!!!」
拳を支えるのをやめ、咲は両の拳を握り合わせ押し寄せる強大な力を物ともせずに前へと突きだした。
ハガルのレーザーを超える如く肥大化した黒いビームはレーザーを飲み込み、そのまま闇の顎門とばかりに大きく口を開けハガルに迫る。
暴れる黒き暴竜をハガルは魔法陣の盾で防ぐが一瞬で何層もの防御を突き破られ彼は黒き奔流に飲み込まれた。
「ぐうぅぅぅああああああああああーーッ!!!」
闇の色が失われ、辺りが鮮明になった所にハガルは立っていた。己の半身を黒く焦げつかせながら。
だらりと下ろした左腕は完全に炭化しており、動く様子はない。
端正な顔は免れたようだが肩から下の左半身は全く機能していない様である。
「ぜぇ、はぁ……ぜぇ……はぁ……人間、が……ここまでやるとは……かくなるうえは……砲台を私と繋ぎ……」
満身創痍なハガルの様子を見ていた人物が階下で暗躍する。
「くっくっく、形勢不利……いやぁガーゴイルの数を調整して後れを取るように仕向けたかいがあったもんだねぇ」
それは誰も予想できなかった行動であり、誰もが彼の仕業である事を知らない。
彼は双方の戦力が偏り過ぎないように調整しどちらに転んでもすぐに動ける様に策を巡らせていたのである。
「御大将、潮どきでさぁ。あんたはイレギュラーがお好きでしたな。最高のイレギュラーを献上……ぐっ!?」
ほくそ笑み、柱に仕掛けた爆薬のスイッチを押そうとした彼の腹部に強烈な痛みが走る。
温かいものが広がり、何かに刺されたのと自分が出血している事に気がつくまでそう時間は掛からなかった。
手から取り落したスイッチが窓から落ち、白い海に溶けて沈んでいく。
「がっ……はっ……祭りのしあげの、前に……とんだ……ものが……」
「ハガル様の命令で、怪しい仕草をしたら殺れ……と。最高のイレギュラーであろうとの伝言です」
振り返るとそこにいたのはハガルから任された手勢の一人であるオークであった。
「策士、策に溺れるって……ことかいね……ぐふっ」
その場に倒れ、オークの去る足音を聞きながら骨削の意識は闇に堕ちていく。
『条件は成した……後は……機を待つのみ……それまでは……その命、長らえましょう……我、ノイズの名の元に』
聴きなれない声が響き、骨削の腕の赤黒い痣が変異すると手の甲に空っぽの紋章のようなものを新たに形成。彼は一人そこに残された。
失血死してもおかしくない量の血が流れているが――心音は止まっていない。
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SF・ファンタジー
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20人
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17人
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シナリオガイド公開日
2017年06月19日
参加申し込みの期限
2017年06月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年06月26日 11時00分
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