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新年度のはじまりはじまり。普通科編
●旧クラスメイトとのたくらみ
「よっしゃーーーーっ！！ 昼だ！！！」
三夜湖のほとりで一際大きな声が上がる。
その声の主は卯木 衛。
新たなクラスメイトと山歩きを楽しみ、お腹が空いたところで丁度ランチタイムの時間となれば。
衛はうーん、と背伸びをし、辺りをキョロキョロ見回した。
（せっかくだし、去年３組だった人いたら話し聞きてーなー）
そんな思いで周りを見れば、爽やか、かつ料理上手な元１年３組仲間の鴻上 彰尋を見つけた。
（っと彰尋くん発見！！）
衛の鮮やかな黄色の瞳がキラキラと輝いた。
「おーーーーい！！」
彰尋の元へ元気いっぱいに駆け寄る衛。
「一緒に飯食わねえ？」
「あぁ、卯木君。構わないよ」
考える間もなく、即答する彰尋の言葉に衛は嬉しそうに頷く。
彰尋もまた、こうして旧クラスと時間を過ごせるのは嬉しいことで。二人は、お弁当を広げられる場所を探すのだった。
「あーー、腹減ったーーー！」
手頃な木陰を見つけレジャーシートを敷き、それぞれが用意したお弁当を広げる。
「いっただっきまーーす！」
両手を揃えたかと思ったら、バクバクと勢いよく昼ご飯を食べる衛。
その元気の良さ、食べっぷり。モグモグモグと懸命に食べる姿は小動物のようにも思え、思わず彰尋は目を細めた。
そしてはた、と衛の校章に目が留まった。そして彰尋の視線を胸に感じた衛は満面の笑みを浮かべた。
「ん？ これ？ いいでしょ、貰ったんだぜー」
ドヤァッ！ っとした表情の衛の胸には、緑の校章。
３年だった先輩たちのカラーである緑色は、年度が変わり今年は新入生に引き継がれた。
卒業した先輩に、勇気を振り絞って貰い受けた校章。
卒業と言えば第二ボタン――という印象だが、衛はボタンではなく、より心臓に近い校章を欲しいと伝え。
快く、先輩自身が衛の胸に付けてくれた校章は、衛にとって一生の宝物になった。
クラス替え一つでも別れを感じることは多いのに、学年が違えば、共に学校生活を送れることのできる時間は必然的に少ない。
その別れを乗り越えた衛は、きっと大きく成長したことだろう。
……例え、彰尋や友人たちに（新一年生に見える）と、思われたとしても。
衛の嬉しそうな表情に、よかったな、と彰尋は笑顔を見せた。
「それにしても……そんな急がなくても、時間はたっぷりあるぞ？」
もりもりとご飯を食べるワンパクっぷりは見ていて楽しいものだけれど。
「だって腹減ってよー。彰尋くんだってオカズ多くね？」
「そうかな？ 何か食べたかったらあげるけど」
「マジ！？ やった！」
嬉しそうに、彰尋のお弁当から玉子焼きを受け取り。パクリと頬張る衛。
うめぇ！ と嬉しそうな表情を見せる衛を見れば、彰尋もあげた甲斐があるな、と思う。
「やっぱ彰尋くん料理上手だぜ。……そう言えば！ そっちのクラスはどんな感じだ？」
モグモグしながら突然にクラスの話題を振られ。
「担任の先生、早川先生だよなー、いいなー」
衛の胸に輝く校章の持ち主であった先輩の元担任は、早川 珪だった。
珪に聞けば担任しか知らない先輩の姿を知られるのでは、と衛はこっそり思ったり。
「そうか？ まぁ、優しそうでいいとは思う。でも、２組の久保田先生だって……」
２年２組。
旧１年３組の友人が２年２組に多い……だけではなく、彰尋にとって大切な存在、七夜 あおいも２年２組。
自分のクラスを確かめる際、そっと彼女の名前を探したが……切なくも、同じクラスにはなれなかった。
（２組か、いいなぁ）
改めて、胸に響く気持ち。
仕方のないことではあるけれど、これまでのように気軽に彼女の笑顔に触れられないと思うと、胸が苦しくなるのを彰尋は改めて感じる。
「そういえば、あおいくんとののこくんの話になって……」
衛は、あ、と思わず言葉を止めた。
明らかに、彰尋が動揺した表情を見せていたからだ。
「あ、そうだ……！ 彰尋くん、違うクラスになったから、辞書とか忘れたらそっち借りに行くから！」
あ、あぁ、と頷く彰尋。唐突な話の急カーブに、彰尋は何事か？ と思いながらも。
「だから、もし彰尋くんが何か忘れたりしたら、気軽～に！ 借りに来ていいんだぜ？」
ニッ！ と愛らしく笑う衛の表情に、彼の言いたいことがじんわりと彰尋の胸に広がっていく。
「……あ、あぁ、ありがとう。もし卯木君が忘れたとしても、俺持っていくし」
「そうだよな、２組、彰尋くんの知り合い多いもんな、いつでも来て来て！」
きっと、会いに行こうと思えば、いくらだって口実を作れる。
彰尋はそんな思いを胸に抱く。
「借りれるといいな……あおいくんに！」
直球の衛の言葉に、彰尋は照れ笑いを隠せなかった。
「よっしゃーーーーっ！！ 昼だ！！！」
三夜湖のほとりで一際大きな声が上がる。
その声の主は卯木 衛。
新たなクラスメイトと山歩きを楽しみ、お腹が空いたところで丁度ランチタイムの時間となれば。
衛はうーん、と背伸びをし、辺りをキョロキョロ見回した。
（せっかくだし、去年３組だった人いたら話し聞きてーなー）
そんな思いで周りを見れば、爽やか、かつ料理上手な元１年３組仲間の鴻上 彰尋を見つけた。
（っと彰尋くん発見！！）
衛の鮮やかな黄色の瞳がキラキラと輝いた。
「おーーーーい！！」
彰尋の元へ元気いっぱいに駆け寄る衛。
「一緒に飯食わねえ？」
「あぁ、卯木君。構わないよ」
考える間もなく、即答する彰尋の言葉に衛は嬉しそうに頷く。
彰尋もまた、こうして旧クラスと時間を過ごせるのは嬉しいことで。二人は、お弁当を広げられる場所を探すのだった。
「あーー、腹減ったーーー！」
手頃な木陰を見つけレジャーシートを敷き、それぞれが用意したお弁当を広げる。
「いっただっきまーーす！」
両手を揃えたかと思ったら、バクバクと勢いよく昼ご飯を食べる衛。
その元気の良さ、食べっぷり。モグモグモグと懸命に食べる姿は小動物のようにも思え、思わず彰尋は目を細めた。
そしてはた、と衛の校章に目が留まった。そして彰尋の視線を胸に感じた衛は満面の笑みを浮かべた。
「ん？ これ？ いいでしょ、貰ったんだぜー」
ドヤァッ！ っとした表情の衛の胸には、緑の校章。
３年だった先輩たちのカラーである緑色は、年度が変わり今年は新入生に引き継がれた。
卒業した先輩に、勇気を振り絞って貰い受けた校章。
卒業と言えば第二ボタン――という印象だが、衛はボタンではなく、より心臓に近い校章を欲しいと伝え。
快く、先輩自身が衛の胸に付けてくれた校章は、衛にとって一生の宝物になった。
クラス替え一つでも別れを感じることは多いのに、学年が違えば、共に学校生活を送れることのできる時間は必然的に少ない。
その別れを乗り越えた衛は、きっと大きく成長したことだろう。
……例え、彰尋や友人たちに（新一年生に見える）と、思われたとしても。
衛の嬉しそうな表情に、よかったな、と彰尋は笑顔を見せた。
「それにしても……そんな急がなくても、時間はたっぷりあるぞ？」
もりもりとご飯を食べるワンパクっぷりは見ていて楽しいものだけれど。
「だって腹減ってよー。彰尋くんだってオカズ多くね？」
「そうかな？ 何か食べたかったらあげるけど」
「マジ！？ やった！」
嬉しそうに、彰尋のお弁当から玉子焼きを受け取り。パクリと頬張る衛。
うめぇ！ と嬉しそうな表情を見せる衛を見れば、彰尋もあげた甲斐があるな、と思う。
「やっぱ彰尋くん料理上手だぜ。……そう言えば！ そっちのクラスはどんな感じだ？」
モグモグしながら突然にクラスの話題を振られ。
「担任の先生、早川先生だよなー、いいなー」
衛の胸に輝く校章の持ち主であった先輩の元担任は、早川 珪だった。
珪に聞けば担任しか知らない先輩の姿を知られるのでは、と衛はこっそり思ったり。
「そうか？ まぁ、優しそうでいいとは思う。でも、２組の久保田先生だって……」
２年２組。
旧１年３組の友人が２年２組に多い……だけではなく、彰尋にとって大切な存在、七夜 あおいも２年２組。
自分のクラスを確かめる際、そっと彼女の名前を探したが……切なくも、同じクラスにはなれなかった。
（２組か、いいなぁ）
改めて、胸に響く気持ち。
仕方のないことではあるけれど、これまでのように気軽に彼女の笑顔に触れられないと思うと、胸が苦しくなるのを彰尋は改めて感じる。
「そういえば、あおいくんとののこくんの話になって……」
衛は、あ、と思わず言葉を止めた。
明らかに、彰尋が動揺した表情を見せていたからだ。
「あ、そうだ……！ 彰尋くん、違うクラスになったから、辞書とか忘れたらそっち借りに行くから！」
あ、あぁ、と頷く彰尋。唐突な話の急カーブに、彰尋は何事か？ と思いながらも。
「だから、もし彰尋くんが何か忘れたりしたら、気軽～に！ 借りに来ていいんだぜ？」
ニッ！ と愛らしく笑う衛の表情に、彼の言いたいことがじんわりと彰尋の胸に広がっていく。
「……あ、あぁ、ありがとう。もし卯木君が忘れたとしても、俺持っていくし」
「そうだよな、２組、彰尋くんの知り合い多いもんな、いつでも来て来て！」
きっと、会いに行こうと思えば、いくらだって口実を作れる。
彰尋はそんな思いを胸に抱く。
「借りれるといいな……あおいくんに！」
直球の衛の言葉に、彰尋は照れ笑いを隠せなかった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年06月23日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年06月30日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年06月30日 11時00分
