Fashion In the Spring｜リアクション

Fashion In the Spring

■思い立ったが吉日人生
　春はどんな季節だろうか。
　動物たちが恋をして、そこらにちらほら花が咲き、風が吹いても冷たくなくて、人によってはマスクを手放せなくなったりする、そんな季節。春。
　白真白にとって春は……。
「スプリングセールだ！」
　洋服店がここぞとばかりに春物を引っ張り出し、セールと名をつけて割引価格で販売してくれる嬉しい季節。春！
　そりゃ値段の話だけをするならオフシーズンかつ古いものの方が安いんだろうがそこはそれ。気分と流行とほんのりとした己の趣味で、今シーズンの服を選ぶのだ。
　ある意味これも自分探し。
　心で腕まくりをして、真白はショッピングモールへと飛び込んだ。

「春といえば桜色だよねー」
　そんなに沢山服を持っているわけではないが、流行には乗っていくスタイルの真白である。
　この『春だから桜色！』みたいな感性もまた、季節の時流にサーフボードで乗っかるような心地よさなのだ。
　そうと決まればガツンと行こう。
　桜色のワンピースに若草色のカーディガンを羽織り、白い帽子なんか被ってみればどうよこれ。よい。よくない？
　試着室で架空の誰かに見せびらかすように服の裾を振ってみる。
　よおしいいぞ、エンジンかかってきた。
　青白チェックの半袖カッターシャツに膝丈のフレアスカート。
　上ばっかり明るい色になるとふわっふわしちゃうので、デニール厚めのストッキングをあわせるのもよかろう。
「それで、いざって時のために！」
　空色のスカーフを手に取る。首の辺りにふんわり巻いておけばカワイイし、最悪邪魔になってもコンパクトに鞄へ収まってくれる。そしていざって時になればこれを取り出して剣にも盾にも……おっと。
「オシャレしたいって時にろっこん能力のこと考えるのって、やっぱり性分なのかな……」
　まあ、よかろう。カワイイし。
　もっとスリムかつシャープな装いもどうかと思ったが、真白はゆえあってスカート派である。ふんわりしてるとなおよい。髪の色やバランスのよい体型とも合うし。
「後は下着かな。私のサイズにあうブラって、専門店じゃないとあんまり無いし……」
　テンションが上がってきた。
　今日は買うぞ、と真白は拳に力を込めた。

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