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- 00月00日生 00歳
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Fashion In the Spring
■夢で見たようなコスチューム
男女の買い物には二種類ある。
全ての荷物を男が持たされる買い物。
全ての荷物を男が持ってあげる買い物、である。
言外にそして気持ちよく後者に持って行けるのが淑女のたしなみであり、物言わずかつ優しく後者で待っているのが紳士のたしなみである。
言わずと知れた紳士、八神 修はもちろん後者である。
「とはいえ、思っていたのと違う店に来たな……」
アニメっぽいキャラクターが描かれた紙袋を手に、修はぼんやり呟いた。
数種類のネコミミバンドを手に振り返る椿 美咲紀。
「コスチュームを買いに行くって言ったじゃないですか」
コスチューム。
一 ある時代・民族・地方などに特有の服装。髪形・付属品なども含めていう。
二 仮装や舞台の衣装。
三 上下そろいの婦人服。
――有名な百科辞典より。
「俺は三番だと思っていた」
「なにがです？」
「まさかどれにも当てはまらないとは思わなかったよ」
肩をすくめてみせる修。
店内にははやりのアニメソングが流れ、店内に設置されたディスプレイからはいま放送中のアニメの宣伝用シーンがリピート再生されている。
ここは泣く子も黙る……じゃなかった知る人ぞ知るアニメ専門店。それも都内のデカくてせわしなくて何でもありそうなトコロである。
美咲紀は迷彩柄の猫耳を手ににやりと笑った。
「今回のテーマはミリロリなのです」
「みり……」
ミリ。
ラテン語で千を意味し、主に千分の一単位を表わす接続後。
ミリメートルの略としても用いられる。
「ろり……ろり？」
首を傾げる修。
一秒ほど考えると。
「ロリータか」
「それです」
「うん、わかっ……らないな」
修の頭に浮かんでいるのは確かにロリータなのだが、文芸作品のほうのロリータだった。原本も翻訳本も没後五十年経ってないので著作権が生きているが、タイトルだけなら一般的ないしは医学的にも用いられる共用語であるとしてご勘弁願いたい。
さておき。
「百聞は一見にしかず！ ちょっと見てるのです！」
そう言って、美咲紀は試着室へと飛び込んだ。
じゃかじゃかじゃかじゃか――じゃん。
心のドラムロールの後に現われたのは、ドイツ系の軍服にフリルスカートや大きなリボン。キラキラした大きな宝石めいたアクセサリーをあしらったなんだかきゅあきゅあした衣装……を着た美咲紀であった。
なんだろうこれ。はじめて。
「ちょっぴりダークな一面を見せるミリタリー魔法少女風ロリータファッションなのです」
「なるほど、わか……らないな、うん」
修はうなずきもせずに呟いた。
ふと胸元を見ると。
不自然に膨らんでいる。
ハッとして胸元を押さえ、美咲紀は決意の顔で言った。
「大丈夫なのです！ 本番までには育つのです！」
「……あ、ああ。そうだな」
イエスともノーともいわず、修はジェントルスマイルを浮かべた。
言わずと知れた紳士、修である。
「シュー君も、せっかくですからなにか買わなきゃですよ」
「俺のもか？」
買わなきゃですよと言われて、とりあえず買うだけ買ってみるかとなるのが修である。普通は値札を見て『いやーぼくはいいよー』とか言うのが風なのだが、生まれ持った財力と御年まで重ねた素養が冒険を可能にした。
「イベントに着ていく服、選ばなきゃですよ」
「ふむ……」
修は昨年のイベントを思い返した。
あれは夏の同人誌即売会。
天然の日射と埋め立て地ならではのコンクリート的蒸し暑さ。それに加えて大量の人々が集まったことによる熱気にくらりときそうになった思い出である。
ついでに、軍服を着ていったらなんかのコスプレと思われてめっちゃ写真撮られたのも記憶に残っていた。
「シュー君は甘いマスクも相まってそれっぽく見えるのですよ」
「そういうものかな……」
「舞台化したアニメにいそうですもん」
「それはつまり、コスチュームということなのでは」
意味が一週した。
なんやかんやで試着。
修が選んだのは、ロックアーティストめいた黒ズボンと革ジャケット。それも８０年代ロックの熱気を思わせる銀のアクセサリーと時計の組み合わせである。
「おー……」
小さく拍手する美咲紀。
修はコーディネートが評価されてまんざらでもないといった様子だったが……。
「いい具合なのです。やっぱりシュー君はなにきても似合いますね。それじゃあ」
「ああ、それじゃあこれは夏のイベントまで――」
「週末、この服装で遊びにいきましょー！」
試着室に戻ろうとして、修はぴたりと固まった。
自分の胸を指さす修。
「……これで（イッツ）？」
修の胸を指さす美咲紀。
「それで（ザッツ）！」
拒否しても無理そうだ。
言わずと知れた紳士、修。
彼はとりまジェントルスマイルで受け止めて置いた。
男女の買い物には二種類ある。
全ての荷物を男が持たされる買い物。
全ての荷物を男が持ってあげる買い物、である。
言外にそして気持ちよく後者に持って行けるのが淑女のたしなみであり、物言わずかつ優しく後者で待っているのが紳士のたしなみである。
言わずと知れた紳士、八神 修はもちろん後者である。
「とはいえ、思っていたのと違う店に来たな……」
アニメっぽいキャラクターが描かれた紙袋を手に、修はぼんやり呟いた。
数種類のネコミミバンドを手に振り返る椿 美咲紀。
「コスチュームを買いに行くって言ったじゃないですか」
コスチューム。
一 ある時代・民族・地方などに特有の服装。髪形・付属品なども含めていう。
二 仮装や舞台の衣装。
三 上下そろいの婦人服。
――有名な百科辞典より。
「俺は三番だと思っていた」
「なにがです？」
「まさかどれにも当てはまらないとは思わなかったよ」
肩をすくめてみせる修。
店内にははやりのアニメソングが流れ、店内に設置されたディスプレイからはいま放送中のアニメの宣伝用シーンがリピート再生されている。
ここは泣く子も黙る……じゃなかった知る人ぞ知るアニメ専門店。それも都内のデカくてせわしなくて何でもありそうなトコロである。
美咲紀は迷彩柄の猫耳を手ににやりと笑った。
「今回のテーマはミリロリなのです」
「みり……」
ミリ。
ラテン語で千を意味し、主に千分の一単位を表わす接続後。
ミリメートルの略としても用いられる。
「ろり……ろり？」
首を傾げる修。
一秒ほど考えると。
「ロリータか」
「それです」
「うん、わかっ……らないな」
修の頭に浮かんでいるのは確かにロリータなのだが、文芸作品のほうのロリータだった。原本も翻訳本も没後五十年経ってないので著作権が生きているが、タイトルだけなら一般的ないしは医学的にも用いられる共用語であるとしてご勘弁願いたい。
さておき。
「百聞は一見にしかず！ ちょっと見てるのです！」
そう言って、美咲紀は試着室へと飛び込んだ。
じゃかじゃかじゃかじゃか――じゃん。
心のドラムロールの後に現われたのは、ドイツ系の軍服にフリルスカートや大きなリボン。キラキラした大きな宝石めいたアクセサリーをあしらったなんだかきゅあきゅあした衣装……を着た美咲紀であった。
なんだろうこれ。はじめて。
「ちょっぴりダークな一面を見せるミリタリー魔法少女風ロリータファッションなのです」
「なるほど、わか……らないな、うん」
修はうなずきもせずに呟いた。
ふと胸元を見ると。
不自然に膨らんでいる。
ハッとして胸元を押さえ、美咲紀は決意の顔で言った。
「大丈夫なのです！ 本番までには育つのです！」
「……あ、ああ。そうだな」
イエスともノーともいわず、修はジェントルスマイルを浮かべた。
言わずと知れた紳士、修である。
「シュー君も、せっかくですからなにか買わなきゃですよ」
「俺のもか？」
買わなきゃですよと言われて、とりあえず買うだけ買ってみるかとなるのが修である。普通は値札を見て『いやーぼくはいいよー』とか言うのが風なのだが、生まれ持った財力と御年まで重ねた素養が冒険を可能にした。
「イベントに着ていく服、選ばなきゃですよ」
「ふむ……」
修は昨年のイベントを思い返した。
あれは夏の同人誌即売会。
天然の日射と埋め立て地ならではのコンクリート的蒸し暑さ。それに加えて大量の人々が集まったことによる熱気にくらりときそうになった思い出である。
ついでに、軍服を着ていったらなんかのコスプレと思われてめっちゃ写真撮られたのも記憶に残っていた。
「シュー君は甘いマスクも相まってそれっぽく見えるのですよ」
「そういうものかな……」
「舞台化したアニメにいそうですもん」
「それはつまり、コスチュームということなのでは」
意味が一週した。
なんやかんやで試着。
修が選んだのは、ロックアーティストめいた黒ズボンと革ジャケット。それも８０年代ロックの熱気を思わせる銀のアクセサリーと時計の組み合わせである。
「おー……」
小さく拍手する美咲紀。
修はコーディネートが評価されてまんざらでもないといった様子だったが……。
「いい具合なのです。やっぱりシュー君はなにきても似合いますね。それじゃあ」
「ああ、それじゃあこれは夏のイベントまで――」
「週末、この服装で遊びにいきましょー！」
試着室に戻ろうとして、修はぴたりと固まった。
自分の胸を指さす修。
「……これで（イッツ）？」
修の胸を指さす美咲紀。
「それで（ザッツ）！」
拒否しても無理そうだ。
言わずと知れた紳士、修。
彼はとりまジェントルスマイルで受け止めて置いた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年06月13日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年06月20日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年06月20日 11時00分
