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【雨のしずくのセレナーデ】
さあさあと静かな雨音を遮って、凛と張るような、金属が震えるような音。のびやかに。
「……はぁ」
素人の耳にはやわらかく、美しい音のように聞こえたことでしょう。それでも
八葉 ひまり
は、今日何度目かの深いため息を漏らします。
ひまりが手にしているトランペットは、母を亡くした時に形見として受け取ったものです。もちろんとっても大切にしているものです。けれど、ひまりは頭にじくじくとイヤな考えを巡らせずにはいられません。
自分がもし、これを演奏する才覚までも、母から受け継いでいないのだとしたら?
「本当に……私が継いで、良かったのかな。もっとほかに、適任がいたんじゃ……」
ふぅ。何気なく外を眺めながらについたため息は、窓ガラスに遮られて消えていきました。
激しい雨に打たれるシーサイドタウン駅で、
三夜 虹司
はいささか途方に暮れておりました。
「はぁ……」
傘がないのは、天気予報を見そびれた自業自得とも言えましょう。けれど運休となった寝子電を尻目に雨の中を歩いて帰るはめになってしまったのは、不幸としか言いようがありません。
隣では同じように傘なしらしいギターケースを背負った派手なお兄さんが、スマホでタクシーを呼んでいます。虹司には残念ながら、そんなお金はありません。お兄さんが耳にかぶせたヘッドホンから漏れ聞こえるギンギンのメタルが、やけに虹司の耳に障りました。
ぱらぱらと響く排気音が聞こえて、顔を上げた途端に通り過ぎていく高級外車がばしゃんと跳ね上げたしぶきを虹司は頭からひっかぶり、お兄さんがそれを笑います。
ずぶ濡れのまま、違和感を覚えてひょいと靴底を上げてみると、そこには誰かが地面に吐き捨てたガムがべっとりと張り付いていました。
ふぅ。今日何度目かの深いため息とともに、虹司の脳裏をよぎったのは、古い映画のワンシーン。思わず、つぶやきました。
「これじゃ、まるで……『ミュージカルの出だしだよ』」
空気が変わったような。雨はざあざあと降り続いているのに、不意にあたりが静けさに包まれたような。そんな感覚がありました。
虹司の肩をぽむっと叩いたのは、さっきの派手なお兄さん。何を思ったか、彼は背負っていたケースからギターを取り出し、振り向いた虹司へと手渡します。うむっ! お兄さんはうなずいて、駅舎の地面を革靴の爪先でこつこつと鳴らし始めました。
駅の天井から吊るされているスピーカーがプルルとブザーを鳴らし、滑り込んでくる電車。扉が開いた瞬間に……世界は一変しました。
──迎えにいこう!
よれよれスーツ姿のおじさん。OL風のお姉さん。寝子高の制服を着たガリ勉学生に、マタ高のヤンキーたちも。元気な小学生に中学生たちも。
電車の中から飛び出してきた彼らが、ピッシーッ! 一糸乱れぬポーズをキメて、歌い始めます。
なんて素敵な雨!
見て、ずっと向こうのあの空を
九夜山のてっぺん、虹がまたいでいるよ!
じゃららららん。何の疑いもなく、自然と自分の指がギターの弦をつま弾きはじめたのに、虹司は内心ビックリ。
けれど駅舎のスピーカーから流れ出す軽やかな音楽に乗って、一列に並んだ乗客たちがステップを踏み始めたのを合図に、虹司の指先は風のように翻ります。
そして彼は、歌詞も知らない即興の歌を導いているのが自分の声であり、自分こそが主役のひとりであることをその瞬間に自覚しました。
迎えにいこう!
こんなにも晴れやかな雨
こんなにもさわやかな雨
ひとりで歌うのはもったいない!
ああ、馬鹿なことをしてる。手を振りながらタクシーに乗り込むお兄さんにうやうやしく一礼しながら、虹司は思います。
だというのに、歌うのをやめられません。ギターを弾くのを止められません。
疑問の中にとどまってしまうにはあまりにも心地良くて、素敵な気分なのでした。
さあ、星ヶ丘へ
あの子を迎えにいこう
こんなにも素敵な雨の中へ!
かつかつ、かつん! 虹司は乗客扮するバックダンサーたちとぴたり揃ったタップを踏みながら、雨の中を行進していきます。
冴えないトランペットの音色へ不意に混ざり込んできたギターの音色に、ひまりははっとして沈んでいた顔を上げました。
雨粒が垂れる窓を開くと、そこに立っていたのはぐっしょりと濡れた……彼の顔を、ひまりは知っていました。
以前に会ったことがありました。確か、双子の姉とクラスメートの男の子。
ひまりが何かを言う前に、彼はギターをじゃららららん! にっこりと微笑みます。
ああ……ひまりは瞬間、悟りました。不思議に思う前に、吹き鳴らしていました。母の形見のトランペットを。そうすべきだと感覚が教えてくれました。
しばし絡み合うような、そっと寄り添うような、トランペットとギターの短いセッション。
ダンサーたちが綺麗なバックコーラスまでも務めてくれる中、虹司はようやく口を開きます。
「行こう?」
返すべき答えはこれしかないと、ひまりには最初から分かっていたのです。
「うん!」
なんて心地良い雨 なんて心地良い音
夢のしずくが降ってくる
ここには音楽が満ちているね
僕たちの、私たちの、大好きな音楽が……
ひまりが窓から飛び出した途端、雨のカーテンへと七色の光が揺らめいて、台風の目のような丸い舞台が生まれました。
ひまりの服は華やかでさわやかな色合いのワンピースへ変わり、虹司もいつの間にやら水玉のTシャツ姿。ダンサーたちはそろって太陽と虹の柄に彩られた白いスーツです。
軽快なテンポを刻んでいたバックミュージックはいつしか激しいビートのロックへと変わり、どこか耳慣れたリズムに振り返った虹司は、そこに解散したはずの
状態異常<バッドステータス>
が情熱的かつひねくれた演奏を披露する姿を見つけました。
若干調子っぱずれ、テキトーな英語混じりの歌声は、寝子中で同学年の
青木 慎之介
。どこからか現れていかにも楽しそうに声を張り上げる彼に、ひまりはくすりと笑みをこぼします。
ひまりと虹司は、そんな素敵なゲストたちの奏でる音に乗り、自然と踊り出す身体に身を任せて、晴れ渡る心のままに歌い続けました。
何も持っていないとしても
これから拾いあつめていけばいい
世界はこんなにも、素敵な音で満ちあふれているんだから
幸せになる準備はいつだって、カンペキさ!
日々のストレス。どこか胸に感じる、漠然としたもやもや。
その全てが吹き飛ばされて、歌と音楽に包み込まれた時、ひまりは虹司へと告げました。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
雨は上がり、ふたりが並んで見上げた先には、まるで台風一過のように澄み切った青空が広がっていました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
イエローシナリオ(50)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
コメディ
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
109人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年06月09日
参加申し込みの期限
2017年06月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年06月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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