ねこじま無双・ティンクルスターズ！｜リアクション

ねこじま無双・ティンクルスターズ！

■エリア・アルファ３　デスペラードな一寸法師
　いつも通りの日常。
　今日も、明日も、おそらく明後日もフツウの毎日。
　七峯亨はそんな毎日を嫌っては居なかったが、物足りなさも感じていた。
　ヘンな例えになってしまうが、脂っこいものが欲しくてラーメン屋に入ったのにヘルシー志向の店だったせいでなんだかさっぱりされてしまったような、そんな感覚を日々抱いていた。
　明日もきっと同じだろうと布団に入り。
　目を瞑り。
　開くと。
「おっと――そういや、世界はこういうこともアリなんだったな」
　亨は、フツウからかけ離れた世界で目を覚ました。

　砂利道で寝そべっていた亨は、むっくりと身体を起こして頭をがりがりとやった。
　五重塔が多くに見える。寺かなにかの周りだろうか。ずっと遠くで銃声が聞こえ、同時に頭にこの世界の基礎情報が流れ込んできた。
「要するに、襲ってくる連中を蹴散らしゃいいんだろ？　オーケー」
　棍棒を構えた鬼が大量に駆け寄ってくる。
　鬼たちに背を向けたまま、いつのまにか来ていたロングコートのベルトを外した。
　風に靡いて、しかし重々しく開くコート。
　両手を差し込み、翼を広げる鳥の如く腕を伸ばした。
　それぞれの手にあったのは翼ならぬ散弾銃。
　それもソードオフショットガン。銃身を短く切り詰め、発射口が二つ横並びになったタイプだ。
「踊ろうぜ」
　突撃してくる鬼。僅かに身を捻り脇の間から散弾を射撃する亨。
　９０度ターンで半身を向けてもう一発。
　更に９０度ターンで完全に反転し、水平に構えたショットガンを乱射した。
　突撃してきた鬼が片っ端から吹き飛び、次々と消滅していく。
　ショットガンはいわゆる面制圧力に優れた銃だ。大きな動物に対してノックバック効果を期待して開発された経緯からも分かるとおり、突っ込んで押して更に押す亨のスタイルにぴったりと合っていた。
　遠くから槍を持った鬼の集団が近づいてきた。
　あれはリーチがある。本来なら引き打ちするところだが……。
「リスクは犯されるのを待つ処女である。誰の言葉だったかな？」
　首をこきりと鳴らし、集団に向かって走り出す。
　大きく広がるコート。
　内側へ大量にストックされた弾を銃身でひっけて跳ね上げると、落ちてきたところをキャッチするように装填。手首の動作だけで発射可能状態にすると、槍で牽制する鬼のすぐ手前で跳躍。
　無数の槍が自分へ向いている。
　このまま落ちれば串刺しだ。
　が、しかし。
　亨は眼下へ乱射。
　吹き飛んだ鬼たちの間に着地し、かがんだ姿勢のまま回転しながら更に乱射。
　彼を覆っていた鬼たちは、一瞬遅れて全て崩れ落ちた。
「さて、と。そろそろ仲間ってやつに合流しとくか」
　亨は立ち上がり、銃身で肩を叩いた。