ねこじま無双・ティンクルスターズ！｜リアクション

ねこじま無双・ティンクルスターズ！

■エリア・ベータ２　ドラゴニック無双
　眠った人が特定の夢空間にとらわれ、特定の条件をクリアしなければ変えることが出来なくなるというフシギ現象。
　これは人間のみならず、ほしびとにも影響を及ぼしていた。
「ここは一体どこだ？　見たこともねえ建物ばっかりじゃねえか」
　二本腕、二本足、ただし全身は赤い鱗で覆われ、ワニのような頭と尻尾、コウモリめいた翼、その上半身にメタルメイルを装着した彼こそは、ドラゴンのほしびと、シグマ・F・FG。
　又の名を爆裂火炎竜王である。
　冷静に考えたらむしろこっちのほうが異世界めいたシグマだが、彼目線で見れば古都の雰囲気はアストラルタワーの中にもそうそうないフシギな建築様式なのである。
　さておき。
「人はいねえみたいだが、どうもヒトじゃねえ気配がぷんぷんしやがる。オトモダチになろうって空気でもねえやな」
　背中にベルトを使って保持していたグレートソードに手をかける。
　斬るというより叩きつぶすためにあるような巨大な剣だ。名を竜王滅星刃という。
　爆裂火炎竜王といい、すごくインパクトの強いほしびとだった。
　そんな彼を前にしても攻める姿勢を崩さない鬼たち。
　集団で現われ、まずぐるりと取り囲むまでの動きはきわめてスムーズだった。
　が、相手はこのシグマである。
「やろうってのか？　上等だぜ！」
　相手が踏み込むより早く、屈強な足と尾で強引に踏み込み斬撃を叩き込む。
　人間ではまず出せないパワフルな打撃が、地面ごと破砕させて周囲の鬼たちもろとも吹き飛ばした。
「おらおらどうした！　雑魚かよてめぇら！」
　剣を降って鬼たちを横薙ぎにすると、口を大きく開いて息を吸い込んだ。
「てめぇらにはこれがお似合いだぜ！」
　口から炎がはしり、薙ぐように周囲の鬼を焼いていく。
　急に余計なことを話すが、よくファンタジーモノで見るドラゴンブレスというのは『竜の息』じゃなく『竜のささやき』という意味で、ドラゴン語による呪文を意味しているそうだ。なので口から火がでる必要はないのだが、イギリスの聖人伝説系における悪しきドラゴンは大抵口から毒とか火を噴くので、その辺りがごっちゃになったものと思われる。余談終わり。
「生き残りがいたか、ちったぁホネがあるじゃねえか。てめぇにはコレだ！」
　炎から生き延びた大柄な鬼に目をつけ、シグマは剣を振り込んだ。
　現実に即する言葉がないのだが、強いて言えば『斜めすぎるゴルフスイング』である。足からすくい上げるように殴りつけられ、鬼は回転しながら宙を舞った。
　その時には翼と尾を振り上げており、ジャンプと同時に勢いよく振り下ろす。
　すると急速かつ高いジャンプが可能になるのだ。と、理屈はさておいて――。
「これで終わりだ！」
　宙に浮いた相手よりも高く飛び、剣を思い切り叩き付ける。
　鬼は地面に叩き付けられ、またもや地面もろともはじけて散った。
　この程度準備運動にもならねえと地面を見下ろした、その時。
　明後日の方向から鬼がぐるんぐるん回転しながら飛んできた。
「うおお！？」
　思いも寄らぬアタック（？）によって、シグマは鬼に激突した。