ある日、眠りの中に落ちた
サキリ・デイジーカッターは――。
見知らぬ古都で、無数の鬼に取り囲まれていた。
「これは、ずいぶんおかしな悪夢を見たものだね」
和槍を手に襲いかかってくる鬼たち。
だがサキリは、退きも怯みもしなかった。
ただ短く息を吸い。
ナイフを構え。
一閃。
空間を切り裂くかのように瞬間移動し、輝くナイフを縦横無尽に走らせた。
それだけで、鬼たちは塵や埃のごとく一斉に吹き飛んでいく。
倒された鬼はポップコーンがはじけるような音をたてて消滅した。
「なるほど。数の割に、たいした脅威じゃなさそうだ」
ならばと鬼を次々に蹴散らしながら進んでいくと……。
「ねえ、そこに誰か居る? 眠ってたら大変なことになっちゃってて……」
日暮 ねむるが同じように鬼に囲まれていた。
といっても、サキリ同様戦力差は圧倒的である。
群がる鬼たちを二丁拳銃で蹴散らして、ちょっぴりタフな個体をアイアンクローで眠らせていた。
「あっ、サキリ君だ。よかったー、バトルが得意そうな人がいて」
そう言いながら、ねむるは器用に後続の鬼たちに弾幕を浴びせている。
「そういう君も、随分と身軽に動いているようだけど?」
「うん、そうなんだよね。まるでアクションゲームのキャラクターみたいにバシバシ動けてて。そういう補正でもかかったのかな?」
弾幕をはりながらあくびをするねむる。
その一方で……。
「おーい、そこで戦ってるのって、味方だよね。こっちも手伝ってくれないかなー」
眼鏡を中指で押し上げつつ、
蜂矢 時生が呼びかけてきた。
路上を埋めんばかりの鬼たちの中をゆっくりと歩いて、である。
周囲の鬼たちは全力で襲いかかっているつもりなのだが、時生が腕を右や左にふるたびに鋼糸が空を走り、鬼たちを切り裂いていくのだ。
「あっ、いいとこにいた! 僕も混ぜてー!」
ポータブルキーボードを背中にしょい直し、代わりに巨大な人刈り鎌を振り回して走ってくる
千明 優輝。
控えめに言ってかなりの細腕だしぱっと見小柄な美少女なのだが、彼の振り回す鎌は鬼をまとめて薙ぎ払うだけのパワーがあるようだ。
「なんとなーく頭で分かってるんだ。鬼を倒しながらこの町を突き進んで、ラスボスっぽいやつを倒せばゲームクリアだって」
ゲームと言ったのはあくまで軽く考えるためだ。夢にとらわれてしまわないように、現実にかえるために必要だということを、彼らはこの夢に降り立った時点から既に頭にあったようだ。
けれど。
「そのようだね」
「けど、折角のゲームならねえ」
「そうそう、めいっぱいに楽しまないと」
かくして、少年少女の無双ゲームが始まった。
ごきげんよう! こちらは一騎当千のパワーを振り回して無双感を味わいまくる爽快アクションシナリオとなっております。
インドア派もアウトドア派もみんなそろってスーパーパワー。敵を蹴散らし協力プレイで楽しみましょう!
■しちゅえーしょん
あるとき眠っていると、キャラクターはフシギな夢にとらわれました。
たくさんの鬼が襲いかかってくる空間で、スーパーパワーをもって鬼を蹴散らすという夢です。
さらにフシギなことに、この夢の中でのルールもしっかり頭に浮かんでいました。
自分は夢の中ではほぼ無敵。多分だけど死なないこと。
時間と空間は夢と切り離されていて、現実で三分くらいのうたた寝だったとしても他の人と同じように扱われること。
けど夢にとらわれている限り現実には帰れないこと。
この空間の奥地にいるラスボスを倒すことで、現実に帰ることができること。
そしてキャラクターの手には、『これぞ』というお気に入りの武器が現われるのです。
■無双キャラになっちゃおう
この空間でのキャラクターは一騎当千の無双キャラです。
日本刀を振り回す戦国武将でも手足が伸びるボクサーでもスーツヒーローでもカジノディーラーでもなんでもかんでも無双キャラとなります。
でもってお気に入りの武器や道具を持っています。なんでも、いくつでもOKです。実在非実在も問いません。だって夢ですもの。
(極端過ぎるのは流石にチョッピリ調整が入るかもしれませんが、大体はOKだと思っておいてください)
そうなってくると、妄想が広がりませんか?
あなたのキャラクターは大勢の敵を蹴散らすとき、どんな技を使うでしょうか。
ろっこん能力? それともファンタジーな魔法でしょうか。
謎の爆弾をぽいぽい投げたり、巨大なにゃんこを召喚したり、激しい電撃を浴びせたりするかもしれませんね。
いろんな無双技を妄想しまくり、アクションに書きまくっちゃいましょう!
■協力プレイ
夢の戦場は大体1~3つくらいに分かれています。数がぼんやりしているのは参加人数が確定していないからですが、敵の強さは大体同じくらいになると思ってくださいませ。
でもって、『○○くんと一緒に戦いたい!』と思ったらそのようにアクションを書いてください。
出てくる敵は槍や棍棒なんかを持った普通の鬼。あとたまーに出てくるちょっと強い鬼。
そしてラスボスの巨大鬼です。巨大鬼はそりゃもう巨大で、全長にして10メートルくらいあります。でかい! こいつはラスボスなので、エリアにつき一体だけでございます。
それでは、よい夢を!