ねこじま無双・ティンクルスターズ！｜リアクション

ねこじま無双・ティンクルスターズ！

■エリア・ガンマ１　ブラックビットガンビット
「うーん、もうキウイは食べられない……ハッ！？」
　目を覚ましたら夢の中だった。
　と言ってしまうと矛盾めいているだろうか。
　黒兎都はむくりと身体を起こし、周囲の景色を見回した。
　屋外。
　砂地。
　あたりには無数の赤鳥居。
　おかしな夢を見てしまったものだ。
「しかしどーも既視感のある風景だのー……」
　頬をぽりぽりとかいて立ち上がる。
　すると、ふと、頭の中に情報が流れ込んできた。
　例えるなら、懇切丁寧に３０分くらいかけて説明されるという手順をすっとばして記憶だけ生まれたような状況である。かるく頭がぐらついたが、それだけだ。
「なんだ、ふむふむ、要するに無双するアレの感じかのー。普通ならこう、刀とか槍とかそういうのが……」
　空中に手を振ってみる。
　特に何も出てこない。
　その辺をぺちぺち叩いてみる。
　特に何も現われない。
「おかしい」
　とか言っていると、鳥居を潜ったり潜らなかったりして無数の鬼が大挙して押し寄せてきた。
「もう始まってる！？　なにかないかなにか……あった！？」
　全身をぱたぱた叩いて探してみて、はたとあるものに気がついた。
　フード付きのジャケットも首掛けヘッドホンもそのままだが、靴だけが違った。黒々とした石の板に覆われた、ぴかぴかの靴である。
　試しに足踏みしてみると、思いの外軽く動く。関節もよく曲がり、なんなら高くジャンプもできそうだ。足だけではあるがちょっとしたロボである。
「うちみたいなか弱い女子を鬼の群れに放り込むかと思ったが、これなら……うーん……いける？　うーん」
　半信半疑のまま、襲いかかってくる鬼を蹴りつける。
　と、踵から吹いた空圧ジェットとつま先部分の突き出し構造によってとんでもない蹴りが出た。
　鬼がモルスァとかいって吹き飛んでいき、鳥居の柱をへし折っていった。
　蹴りが出たのもアレだが、鳥居の柱を折ったのもなんかアレ。罪悪感や不安感があるっちゃああるが……。
「とにかくよし！　いっちょやってみっかー」

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