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甘い物は好きですか
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青い空に白い雲。
風は強くも弱くもなく心地よい。
そんな晴れ晴れとした気持ちのいい日だというのに、
仙藤 蒼
の周りだけ、どよどよとした空気が漂っていた。
まるで天に太陽はなく、厚い黒雲に覆われて、風吹きすさぶ荒野にでもいるような表情を浮かべている。
なぜなら、きょうシーサイドタウンで予定されていたゲームイベントが中止になったからだ。
開催を知ってからずーっと楽しみで楽しみで、きょうが来るのを待ちわびて、昨夜など興奮のあまりろくに眠れないほどだったというのに。
しかも、会場に着いてからの中止発表だった。突発的なアクシデントだったから仕方ないのかもしれないけれど、せっかくシーサイドタウンまで出かけたのに、徒労に終わったと思うとさらにやるせない気持ちになる。
もう最悪だ。
「あーあ。ほんとサイテー」
きょうはもうずっとこんななのかな、とクサった気分で駅からの帰り道を歩いていると、前方でふらふら歩いている少女の姿が目に入った。
見るからに重そうなカバンを両手で下げて、肩には円筒型のバッグをかけている。ちょうど折りたたみの釣竿でも入りそうなサイズだ。
(なんか、危なっかしいわね)
そう思って見ていると、少女は大きくよろけて、ごちんと頭を角の電柱にぶつけた。
「わっ、やっぱり!」
頭を押さえてその場にうずくまった少女を見て、蒼はあわてて駆け寄る。
「あなた、大丈夫!?」
「ちょっとっ!? 今すごい音したけど!」
声が重なって、同時に別方向からも心配の手が差し伸べられた。
その手を伝って目を上げた蒼と、
壬生 由貴奈
の目がかちあう。そのとき「いったーぁ」という小さな声がして、ふたりは同時に少女へ目を戻した。
「さっきからふらついてたし、貧血かも。無理に動かないほうがいいわ」
「貧血なの?」
ふくらんだ買い物袋をいったん地面に下ろして、由貴奈はきょろきょろと周囲を見渡した。そう遠くない距離で寝子島駅が見える。
「待ってて。今、ハンカチ濡らしてくるから」
駅員さんに言ったら水ももらえるかもしれない。
うずくまったままうめき声のようなものを発している少女に言って、駆け出そうとしたとき。
「…………甘い物……」
少女がぽつっとつぶやいた。
「んっ?」
「え? なになに?」
耳をすましたふたりにも、今度ははっきり聞こえる声で、少女は発言した。
「あま……甘い物、が……ほし……」
(甘い物?)
「この子、今、甘い物って言ったぁ?」
思わず蒼と顔を見合わせた由貴奈の脇から、にゅっとたい焼きが差し出される。
「これでも食うか?」
たい焼きをモグモグさせながら訊いたのは参道商店街で買ったばかりのたい焼きの入った紙袋を抱えた
御剣 刀
だった。
ほかほかとおいしそうなにおいを漂わせているそれに少女は一も二もなく飛びついて、がつがつと食べる。
「……もう1個いるか?」
刀はさらに差し出す。それも食う。
まるで生死がかかっているかのようなその食いっぷりに、3人が少々引き気味で見守っていると、たい焼き2つを腹に収めてどうにかひと心地ついたか、少女はようやく笑顔になった。
「ご親切に、ありがとうございます、見知らぬ方々。これでどうにか――」
ぐううううううううう~~~~~~~~~~~~~~
言い終わる前に、大きな音で腹が鳴る。
「えーと。
この近くに、知ってる甘味処があるんだけど。そこ、行ってみる?」
赤面して、笑顔で固まってしまっている少女に向かい、蒼が提案をした。
言われるままついて行った少女は、席へ落ち着いたとたん、赤い顔で弁明を始めた。
「ふ、普段はこんなことないんですよ! いつもおやつ袋の中身は切らしたことないし、きょうも出掛けにはちゃんとチョコとかクッキーとか入れてたんです!」
ほらほらっと、同じテーブルについた3人に、少女は巾着袋から空になった菓子箱を出して見せる。
「ゆうべ支度していたとき、ちょっと少ないかな、とは思ったんだけど、足りない分はこっち着いてから買えばいいと思って。でも待ってる間に全部食べ切っちゃって。お昼も食べてないし、お店のある場所も分かんないしで、もうどうしようかと思っていたところでした!」
恥ずかしそうに一気にしゃべったあと、そこで一度言葉を止めて、少女は左隣の刀に向き直った。
「先ほどはたい焼きをめぐんでくださって、ありがとうございました。ええと――」
「
御剣 刀
だ」
「御剣さん。わたしは
中山 紗那
といいます。それで、あのたい焼きはいくらだったでしょうか?」
お返しします、とカバンを探ってサイフを取り出した紗那に、刀は「かまわない」と言う。
「え? でも――」
それ以上言う前に、察した由貴奈が興味津々顔で身を乗り出した。
「もしかして、寝子島は初めて?」
「あ、はい」
「そっかー。
それで、何頼もっか? 飲み物何がいい?」
由貴奈が全員に見えるよう、メニューを広げた。
紗那がもの問いたげな様子でメニューでなく自分を見ているのを見て、由貴奈はああと気づく。
「あっ、ごめんねー自己紹介遅れて。うちは
壬生 由貴奈
。寝子島高校の3年……じゃなかった。4月から大学生だよぉ。さっちゃんはいくつ?」
「さっ……?」
「あぁ、うちの癖みたいなもんでねぇ。とりあえずあだ名を考えちゃうんだよね。
もし気に入らないなら紗那ちゃんって呼ぶよぉ」
紗那は少し考えたあと。
「さっちゃんでいいです」
と答えた。
「岐阜市立岐阜西中学校2年、です」
「岐阜かぁ。随分遠くから来たんだね。そりゃ疲れただろ。何でもいいから頼みな。おごったげるから」
「えっ!? でもそんなっ」
「いいからいいから」
「私は
仙藤 蒼
。
ここね、お汁粉が名物なの」
蒼がぱらぱらとメニューをめくって指差す。蒼の言うとおり、大きく紙面スペースをとったそれは、右にいくにつれてだんだんサイズが上がっていき、一番大きな物はどんぶりサイズになっていた。
(いや、あり得ないだろこの大きさ)
先にたい焼きを食べていた刀は、見るだけで胸焼けしそうなあんこの量に無言で眉をしかめる。
どう見ても話題づくり目的の商品だったが、ぱっと表情を明るくした紗那の目はそのどんぶり汁粉に釘付けになっていた。
「嫌なことがあったときは、甘い物おなかいっぱい食べるとすっきりするよねー」
ひと、それをやけ食いと言う。
もちろん蒼が思い浮かべていたのは中止になったイベントのことで、割り切ったつもりでまだ少し胸でくすぶっていた理不尽さをさっぱりすっきりさせようという考えから口にしただけだったのだが、紗那は分かると言うように「ほんと、そうですよねえ」と答えた。そして、やってきた店員にどんぶり汁粉を注文する。
「これ、冷たいのありますか?」
まさか本当にそれを注文するとは思ってなかった蒼は、思わず「えっ?」と声に出してしまう。
「どんぶりサイズだよ?」
これっくらい、と手でジェスチャーする蒼に、紗那は「大丈夫です!」と期待に目をきらきらさせながらそれを注文する。そしていざそれが目の前に現れたときもその表情は崩れなかった。
「うわあ。フルーツもいっぱい。いただきます」
両手を合わせたあとうれしそうにスプーンを握って食べ始めた紗那を見て、蒼は少々あっけに取られていたが、由貴奈はぷっと吹き出し笑った。
「あははっ。いやあ、いい食べっぷり。見てるこっちも気分いいわ。
で、さっちゃんはどうして寝子島に来たの? 春休みだから?」
「あ、はい。……去年こっちに親戚が越したので……春休みなので……仕事の忙しい父に代わって、様子見に、と」
先までと違い、そこだけ妙に歯切れの悪い言い方だった。
「去年越してきた」「中山」というキーワードに、刀は、ん? となるが、彼の知る無口で無愛想、柄の悪い
中山 喬
と、物怖じせず笑顔ではきはきしゃべる少女のイメージがつながらなかった。見た感じ、外見的に似ている要素もどこにもない。
それでも一応訊いてみようと口を開きかけたのだが、由貴奈のほうが早かった。タイミングを失ったこと、中山というのはよくある苗字ということもあり、刀はそのことについて考えるのはやめることにした。
「そっかー。それで、その親戚の家へ行く途中だったってわけやね。場所どこ? 送ったげるよ」
「それが……よく覚えてなくて。手紙のやりとりをしてたのは父で、わたしは……。聞いたのも引越しのときの1度だけで……忘れてしまって。でも、駅からそんなに遠くないって聞いてたから、行けるんじゃないかと……」
話しているうち、自分でも無謀なことをしたと思った。恥ずかしくなって、紗那は口ごもってしまう。
きっと、ひなたで長時間太陽に当たっていたせいだ。あと空腹のせい。そういうことにしておこう。
「兄が迎えにくるって聞いてたんです。一緒に食べたらいいって父が言って……それで、お昼抜きになって」
ほんのり顔を赤くして弁明する紗那を見て、由貴奈は笑った。
「なるほどなぁ。こんなかわいい妹さんとの約束を破るなんて、駄目なお兄ちゃんだねぇ」
「ええ、本当に。ここまで常識を持ってなかったなんて、思いませんでした。あのばか……
呪ってやる
……」
(……ん?)
今、最後不穏な発言があったような、と刀はあらためて横の紗那を見た。小さな声だったので由貴奈には聞こえなかったらしい。蒼は、話している間も止まらず動く紗那のスプーンとどんどん減っていくどんぶりの中身に、食べることを忘れるくらい気をとられている様子で、気づいた様子はない。
「ごちそうさまでした」
「うわ……それ全部食べちゃった?」
最初から最後まで変わらない一貫したペースで食べ進め、あっという間に空になったどんぶりに両手を合わせた紗那を見て、蒼は思わずつぶやいていた。どこか感動しているような口ぶりだ。そして最初に見たときよりも紗那に興味が沸いた様子で、笑って身を乗り出した。
「すごい食べっぷり。わたし、あなたのこと気に入っちゃったなあ。
ねっ、ほかにもいろいろとおいしい甘味のお店知ってるから、行ってみない?」
「え。でも……お邪魔じゃないですか?」
「私はいいよ。どーせ予定がつぶれて、あとは家に帰るだけだったんだから」
ちら、とほかのふたりを見る。
「そうだな。待ち合わせをしていたのだったら、向こうもおまえのことを捜しているかもしれない。おまえが甘味好きと知っているならそういう店を捜しているだろうから、そのうち行き会う可能性も高いだろう」
「あ、それあり得そう! そうしよ、さっちゃん!」
刀の口にした可能性に、紗那は「どうだか」という表情をちらりと見せたが、3人がそれと気づく前ににっこり笑って答えた。
「そうですね。よろしくお願いします」
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月29日
参加申し込みの期限
2017年06月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年06月05日 11時00分
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