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甘い物は好きですか
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「ふぅ……堪能した」
空になった20個の容器を前にして、林檎は満足そうにつぶやいた。
「……うう。おめでとう……ございます……完食です……」
確認したあやめが、テーブルの横で半泣きになりながら言う。
林檎は前に身を乗り出した。
「それにしても紗那、あんたもまさか完食するなんてな」
「ええ。わたしもびっくりです。スプーンを持つ手が止まらなくて……きっとここのパフェがおいしかったせいですね」
10個目の空容器にスプーンを落として、ハンカチで口元を拭きながら紗那が答える。
「面白い。これから俺と一緒に味道楽しに行かないか?(意訳:寝子島を案内するよ!)」
その誘いに、紗那が何か答えようとしたときだ。
「それはだめ」
言葉とともに、テーブルに手がつかれた。
電灯を遮って落ちてきた影の主がだれか確認するように、紗那は視線を上げる。
そこにいたのは、白い髪に赤い瞳の、線の細い青年だった。
「あなた……」
「アタシは
多岐川 玲栖
。密架さんの知り合いよ。よろしくね」
「……中山 紗那です」
「紗那ちゃん。見つけられてよかったわ」
中学生の少女の警戒を解くように、にっこり笑って笑顔で話しながら、玲栖は椅子を引き出してテーブルについた。
「あなたが待ち合わせの場所にいなくて、行方が分からなくなったと知って、密架さんはすごく心配してらしたわ」
「だってそれは……あいつが、すっぽかしたから……」
「そうね。でもやっぱり、その場から動いたのはあなたが悪いわ。あなたは寝子島は初めてなんだから。
密架さんが心配しているだろうから、連絡しようとは思わなかったの?」
「…………心配?」
紗那は驚いているように見えた。
『少し……事情があるの』
心配する玲栖に、密架もそう言って、そこに立ち入られることを拒むような複雑な笑みを見せたと玲栖は思う。
おそらくそのとおりで、何か事情があるに違いない。たぶん、まだそこには踏み込むべきではないのだ。そう思って、玲栖は追求しなかった。
「とにかく、もうじき密架さんも来るから、それをここで待っていてくれるかしら」
「……はい」
「ありがとう。
すみません。私にもお茶か何かいただけますか?」
食後のお茶を運んできたあやめにお願いをして、お茶をいただくことにする。
(それにしても、密架さんが電話嫌いだとは知らなかったわね)
『memoria』へ出向き、事情を聞いた当初、玲栖は紗那を探しに出るつもりだった。
司書の仕事がオフのときは本を持ってあちこちのカフェに行くから、女の子が好きそうな場所はよく知っていた。無類の甘い物好き、という特徴があるなら探す先も絞りやすい。
「あんみつなどの和風甘味屋、フルーツパフェなどおいてる洋食甘味屋、ケーキブッフェなどをしているホテル等、そういった場所を重点的に回ってみるわね」
そう告げて、探しに行こうとした玲栖を、緊張に青ざめた顔で密架は引き留めた。
「少しだけ、わたしの代わりに電話番をしてくれないかしら……」
笑みを浮かべていたけれど、無理をしているのがよく分かって玲栖は心配になり、引き受けた。
「ごめんなさい。いつもはこんなことないんだけど……待つ電話は少し……苦手なの。なんだか嫌なことがかかってきそうで……」
聞けば、スマホも持っていないということだった。さすがに店には固定電話を置いてあり、業者との話は電話でするけれども、もっぱら受発注等のメールはパソコンを扱える喬がしているのだという。
最初、喬は電話をかけてきたが、玲栖が受けると知ってからは武道からのメールは玲栖のスマホへの転送に切り替えた。
こまめに送られてくる情報で密架を安心させ、店を閉めてから来る彼女よりひと足先に、こうして紗那と会い、これ以上移動しないようにくぎを刺せたのも、そういう理由からだった。
(さて。あとは密架さんなり、彼女のお兄さんなりが到着するまでお話ししていようかしらね)
そんなことを考えつつ、黙々とお茶を飲んでいると。
「あの」と、少々思い詰めた表情で、紗那が質問をしてきた。
「あなた……まさか、彼女の、新しい彼氏ですかっ?」
口に含んだお茶を、ぶっと吹き出しそうになる。
「あのね……」
どうしてそんな疑問が沸いたりするのか。まったく見当違いの質問に、それでも紗那が息を詰めて答えを待っていると知り、答えようとしたときだった。
入り口が乱暴に開かれて、喬が店に現れた。
目が合った瞬間、ふたりの周囲の空気が凍ったのを、一体何人が気付いただろうか。
「……紗那」
名前を呼んだきり、喬は言葉を失う。
怒らないといけないのだろう、普通は。兄として。
どうして待ち合わせ場所から移動したりしたのか、とか、来ないと思ったらさっさと連絡を入れろ、とかなんとか。
あるいは、遅れてすまなかった、とか。
すっかり曜日を間違えて覚えていたんだよ、と軽口をきいてもいいかもしれない。
だがそのどれもを口にできなかった。
それを口にするだけの関係すら、自分たちは築けていない……。
あらためてそれを自覚し、口ごもってしまった喬を、紗那はじっと見続けていた。
「中山くん?」
無言が長く続くことで、後ろに控えていた紫も何かおかしいと感じたのだろう、言葉にしろ行動にしろ、なんらかのアクションを起こすように促そうとする。
しかし喬は凍り付いてしまったように、身動き一つしない。紫の声も聞いていたかどうか……。
そんな喬の姿に、紗那は小さく、失望のため息をついて立ち上がった。
「臆病者」
すれ違いざま、囁いて。
紗那は、たった今、息を切らせて店に飛び込んできた密架の前まで進んで、頭を軽く下げた。
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした、密架伯母さま。
これから2日間、お世話になります」
『甘い物は好きですか 了』
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あとがき
担当マスター:
寺岡志乃
ファンレターはマスターページから!
こんにちは、またははじめまして、寺岡といいます。
当シナリオにご参加いただきまして、ありがとうございました。
正直言いまして、ガイドを作成しましたとき、こんなにも紗那を構ってくださる方がいらっしゃるとは思っていませんでした。
だれも来なかった場合の布石として、友幸を急きょマスコメに出していたのですが、ふたを開けてみますとたくさんの方が紗那を気にかけてくださっていて、コソクな真似をした自分が大変なさけないというか、恥ずかしいというか……反省します。
とはいえ、前回のシナリオ『……何かがいる!』のような孝明&友幸のシナリオも、引き続き出していこうと思っています。
こちらもよろしくお願いいたします。
それでは、ここまでご読了いただきまして、ありがとうございました。
引き続き次回もお会いできたらとてもうれしいです。
もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいな、と思います。
それでは。また。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月29日
参加申し込みの期限
2017年06月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年06月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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