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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
R&R Agency：File04：ウジョニャウの怪
● ２日目：聞き込み調査２
時同じくして、アケーチ・タッマーキ、サキリ・デイジーカッター、恵御納 夏朝は、学校の麓にあたる集落で聞き込みに当たっていた。
アケーチが人当たりのよい笑顔で、畑作業をしていたおばあさんから聞き込んだところによると、『ウジョニャウ』の伝承はかなり古く、おばあさんが子どもの頃にはもうあったのだという。
取り壊しに反対する人はとくにないようだった。自分たちが通った思い出の場所だからねえ、と惜しむ人もいるにはいるが、だからといって強く反対しているわけでもなく、むしろ風化する校舎の倒壊を心配する声の方が多く聞かれた。工事したら祟られるかもしれないから怖い、どうしたらいいだろう、と素朴な顔をした島の人々は口々に言うのだった。
校舎取り壊し作業とウジャニョウを関連付けたのは誰なのかも聞き込みを行ったが、誰か特定の人が言い出したというよりは、ウジョニャウ伝承の土壌の上に、自然発生したもののようであった。
夏朝は、もれいびや神魂現象の可能性を危惧して、島の生物や島民にもれいびがいるかの判別のために、密かに自分の手に猫シールを貼って、ろっこんが発動するか確かめてみた。もれいびがいればろっこんが発動し、もれいびがいなければろっこんは発動しないのではないかと考えたのだ。結論から言うと、夏朝はいずれの場合もろっこんの発動を感じて手が重くなる感覚を得ることはできなかった。
これはしかし、もれいびがいないということを証明することにはならない。ひとがいても、フツウを脅かさなければろっこんが発動する場合もあるので、ろっこんの発動如何で、相手がもれいびかどうかを判別するのは困難なのであった。
サキリは聞き込みをしながら、ウジョニャウが多く見られた場所と時間帯をチェックした地図を作り、法則性を探ろうとした。すると、ウジョニャウの祟りの話はほとんどの人が知っているのに、実際に見たという人は意外に少ないことがわかった。確実に見た、という目撃談は１件のみで、小学生３年生の男子だった。親に内緒で廃校に遊びに行ったら、ウジョニャウが現れて逃げ帰って来たのだという。
「見た人がいないわけじゃないけど……」
どうも都市伝説のように噂だけが独り歩きしている、とサキリは感じた。
「うん……」
「そうですね」
サキリの意見に、アケーチと夏朝も頷き合う。
一通り集落での聞き込みをしたのち、サキリたちは爆弾の犠牲になった生徒の遺族に会いに行った。ちょうどエヴァも話を聞きに来ていて、いっしょに居間に上がらせてもらう。その家には、年老いた女性が一人で暮らしていた。前もって一三夫が話を通しておいてくれたらしく、あたたかくもてなされ、当時の話も聞くことができた。
犠牲になったのは弟だそうだ。
祟りの原因が女教師でないとするなら、５名の生徒達の方が怪しいかとも思ったのだが、写真を見せられ、みないい子だったという話を聞くと、そうも思えなくなってくる。
「戦争の犠牲になった挙句、祟りの原因のように言われて、くやしいやら悲しいやら……」
老女はサキリの手にすがるようにして訴える。
「お兄さんたち、弟たちのためにもどうか真実を明らかにしてやってくださいな」
◇
図書館――というにはささやかな、役所の隣の建物にて。
屋敷野 梢は、図書コーナーという程度しかない本棚を漁っている。
島史の冊子を捲り続けて２時間。
「ありました……！」
梢はようやく『ウジョニャウ』の表記に行き当たった。
ここまでの疲れも忘れ、梢は熱心に目を通す。
時刻は午後になっていた。あちこちに散っていた調査班のメンバーが、この集会所に集まってきた。
さゆる、エヴァ、修、アケーチ、サキリ、夏朝。梢を含めて７人になる。
「見てください。民俗学者が妖怪ウジョニャウについて書いています。これによると、江戸時代、このあたりでは飢饉や流行病で大勢の人が死に、そのとき死体を墓地に埋めずに、洞穴に放っておいたと言います。そうした浮かばれない霊が、いつしか猫の姿となって現れたのがウジョニャウだと」
「その話が元にあるのですね。エド時代……って古いですか？」
ほしびとのアケーチは、首を傾げる。
「江戸時代はいまから４００年～１５０年くらい前、かな」と夏朝が答えた。「戦争があったのは７０年くらい前だから、それよりずっと前から、死者の魂がウジョニャウになる、という話は伝わってたんだね……」
修はふむ、と考え込みながら、指先で顎のラインをなぞる。
「爆弾の話とは違う線が出て来たな。死者を埋めた洞穴、か……」
時同じくして、アケーチ・タッマーキ、サキリ・デイジーカッター、恵御納 夏朝は、学校の麓にあたる集落で聞き込みに当たっていた。
アケーチが人当たりのよい笑顔で、畑作業をしていたおばあさんから聞き込んだところによると、『ウジョニャウ』の伝承はかなり古く、おばあさんが子どもの頃にはもうあったのだという。
取り壊しに反対する人はとくにないようだった。自分たちが通った思い出の場所だからねえ、と惜しむ人もいるにはいるが、だからといって強く反対しているわけでもなく、むしろ風化する校舎の倒壊を心配する声の方が多く聞かれた。工事したら祟られるかもしれないから怖い、どうしたらいいだろう、と素朴な顔をした島の人々は口々に言うのだった。
校舎取り壊し作業とウジャニョウを関連付けたのは誰なのかも聞き込みを行ったが、誰か特定の人が言い出したというよりは、ウジョニャウ伝承の土壌の上に、自然発生したもののようであった。
夏朝は、もれいびや神魂現象の可能性を危惧して、島の生物や島民にもれいびがいるかの判別のために、密かに自分の手に猫シールを貼って、ろっこんが発動するか確かめてみた。もれいびがいればろっこんが発動し、もれいびがいなければろっこんは発動しないのではないかと考えたのだ。結論から言うと、夏朝はいずれの場合もろっこんの発動を感じて手が重くなる感覚を得ることはできなかった。
これはしかし、もれいびがいないということを証明することにはならない。ひとがいても、フツウを脅かさなければろっこんが発動する場合もあるので、ろっこんの発動如何で、相手がもれいびかどうかを判別するのは困難なのであった。
サキリは聞き込みをしながら、ウジョニャウが多く見られた場所と時間帯をチェックした地図を作り、法則性を探ろうとした。すると、ウジョニャウの祟りの話はほとんどの人が知っているのに、実際に見たという人は意外に少ないことがわかった。確実に見た、という目撃談は１件のみで、小学生３年生の男子だった。親に内緒で廃校に遊びに行ったら、ウジョニャウが現れて逃げ帰って来たのだという。
「見た人がいないわけじゃないけど……」
どうも都市伝説のように噂だけが独り歩きしている、とサキリは感じた。
「うん……」
「そうですね」
サキリの意見に、アケーチと夏朝も頷き合う。
一通り集落での聞き込みをしたのち、サキリたちは爆弾の犠牲になった生徒の遺族に会いに行った。ちょうどエヴァも話を聞きに来ていて、いっしょに居間に上がらせてもらう。その家には、年老いた女性が一人で暮らしていた。前もって一三夫が話を通しておいてくれたらしく、あたたかくもてなされ、当時の話も聞くことができた。
犠牲になったのは弟だそうだ。
祟りの原因が女教師でないとするなら、５名の生徒達の方が怪しいかとも思ったのだが、写真を見せられ、みないい子だったという話を聞くと、そうも思えなくなってくる。
「戦争の犠牲になった挙句、祟りの原因のように言われて、くやしいやら悲しいやら……」
老女はサキリの手にすがるようにして訴える。
「お兄さんたち、弟たちのためにもどうか真実を明らかにしてやってくださいな」
◇
図書館――というにはささやかな、役所の隣の建物にて。
屋敷野 梢は、図書コーナーという程度しかない本棚を漁っている。
島史の冊子を捲り続けて２時間。
「ありました……！」
梢はようやく『ウジョニャウ』の表記に行き当たった。
ここまでの疲れも忘れ、梢は熱心に目を通す。
時刻は午後になっていた。あちこちに散っていた調査班のメンバーが、この集会所に集まってきた。
さゆる、エヴァ、修、アケーチ、サキリ、夏朝。梢を含めて７人になる。
「見てください。民俗学者が妖怪ウジョニャウについて書いています。これによると、江戸時代、このあたりでは飢饉や流行病で大勢の人が死に、そのとき死体を墓地に埋めずに、洞穴に放っておいたと言います。そうした浮かばれない霊が、いつしか猫の姿となって現れたのがウジョニャウだと」
「その話が元にあるのですね。エド時代……って古いですか？」
ほしびとのアケーチは、首を傾げる。
「江戸時代はいまから４００年～１５０年くらい前、かな」と夏朝が答えた。「戦争があったのは７０年くらい前だから、それよりずっと前から、死者の魂がウジョニャウになる、という話は伝わってたんだね……」
修はふむ、と考え込みながら、指先で顎のラインをなぞる。
「爆弾の話とは違う線が出て来たな。死者を埋めた洞穴、か……」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年05月04日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年05月11日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年05月11日 11時00分
