ぼくらのフツウをまもるため｜リアクション

ぼくらのフツウをまもるため

【知らなくてもいいこと】

　それは、まだビッグマザーミルの神魂ミルク充填率が５０％にも満たなかった頃のこと。
「うっふふふ。クローネちゃんったら、今回は本気の本気みたいね」
　自他共に認めるクローネ派であるミッシェル・ナイスゲイは、アメフラシの肉体になってもなお、魂は全裸（ナイスゲイ）のままだった。まったく意味がわからないが、本人もたぶん意味はよくわかっていない。
「そういうわけで、今回はさっさと魂だけの存在になって、ビッグマザーミルの体内でクローネちゃんを待つわ」
　何がそういうわけなのかはともかく、ミッシェルはさっさとミルに食われるという通常の斜め右上の作戦に躍り出た。いわゆる誘い受けである。もしかしなくても違うかもしれない。
　しかし、筋骨隆々のナイスゲイであるミッシェルを取って食おうとする上級者は、百戦練磨（？）のミル達といえども、なかなか現れなかった。
　だが、待つこと一時間。
　ついに、その猛者が現れた。

『オレサマオマエマルカジリ』
「いらっしゃーい（はぁと」
『アーーーーーーーーーー！』

　かくして、ミッシェルはミルに食われ、魂だけの存在となりビッグマザーの体内に吸い込まれたのだった。
　なお、何故か食った側のはずのミルが『アーーーー！』されているが、相手がミッシェルだから仕方がない。

　　　†　†　†

　そして、ミッシェルは魂だけの存在になって、神魂ミルクの中で生き続けていた。
　魂だけの存在＝見た目は全裸（ナイスゲイ）なのであり、なんというかそれはもうある種の禁忌というか、見てはいけないものの領域に達していた。

　そして、骨削瓢は神魂ミルクを飲んだことで、その禁忌に触れてしまったのである。

　そのことが、瓢の精神にどれほどの甚大なダメージを与えたかは――お察しいただきたい。