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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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目覚めたときも体温を感じている。
自分のものではない体温、眠りに落ちるときに感じていたものと同じ体温を。
鼓動も伝わってくる。
ヒュー・ヒューバート
の裸の胸から。
「……起きた?」
問いながら
城山 水樹
は、あらわな胸を彼に押しつけるようにする。しかしヒューは、幼子のように安らかな寝顔を保ったままだ。
可愛い、と笑むと彼の枕元に肘を突き、水樹は昨日の思い出にひたっていた。
廃墟で過ごした後、桜祭りに少し寄ってお参りしてから木天蓼市内の彼のアパートに行き、眠りに落ちるまで愛し合った――。
とりわけ夜の記憶には、体の芯が熱くなるのを覚える。
そのほとぼりをさますように、水樹はそっとベッドから降りシャワーを浴びに行った。今朝は珍しく先に目が醒めたのだ。せっかくだから朝食も作って、彼をびっくりさせてみたい。
「なんにも予定がないってのも、いいものよね」
うーんと水樹は背伸びする。
「週末に二人とも空くのって、いつ以来だったかな」
華奢なヒューには、薄手のテーラードジャケットがよく似合っていた。
ねこでんに乗って木天蓼市から寝子島に入り、シーサイドタウン駅で降り、ぶらぶらと桜川に向かう。
川の水気を含んで吹きつける風と、春のうららかな日差しが心地いい。それに時折、桜の花が混じってくる。
こんな風に時間やスケジュールを気にせず、ふたりきりで過ごせる週末が来るなんて、一週間前なら想像すら難しかったほどだ。
水樹には運命の転換が訪れていた。
先日彼女は、あるコスメブランドのイメージガールに選ばれたのである。単なるアルバイトの雑誌読者モデルから、専属モデルへステップアップしただけでもかなりのものだが、それがさらに一足飛びで、年間を通じてのイメージキャラとして白羽の矢が立ったというわけだ。昨年の中頃には引退を考えていただけに隔世の感があった。
一方でヒューは以前からずっと、写真撮影で全国を飛び回るフォトグラファーの活動を続けている。ゆえに彼女と彼の予定が合うことはまるでなかった。連絡すら途絶えがちになっていたほどだった。
それが偶然というか奇跡的に、この週末、ふたり同時に予定が空いた。
土曜日は寝子島イリュージョンランドの廃墟で二人だけの花見を敢行した。桜はわずか数本だったものの、終末を迎えた別世界に迷い込んだような、奇妙で有意義な花見だったというのがヒューの感想だ。モノクロームの写真の中に閉じ込めた彼女の姿は、あらゆる宝石よりもまばゆい光を放っているように思えた。
「ねえ、ボート乗らない?」
ふと思いついたように水樹が提案した。それもスワンボート、白鳥の姿をした足こぎ型のアトラクションめいた乗り物だ。水樹の指した方向には、ハリボテ風の白鳥たちが、どことなくアヒルを想起させるよたよたしたリズムで革を流れていた。
「あれかい?」
ヒューは口元を緩めた。水樹はときどき、こんな突拍子もない提案をする。今や日本中に注目されるトップモデルの仲間入りをしたというのにだ。そんな彼女のピュアさがヒューは好きだ。
間もなく白鳥がまた一台、岸辺から漕ぎ出したのである。
「ヒュー」
「どうかした?」
「えっと……呼んでみただけ」
彼のまっすぐな視線に、照れて水樹は目をそらせた。
背丈が同じだから、スワンボートに座っても視線が合う。そのたびにどうしても赤面する。
駄目だ、と水樹は思った。
私、彼のことを好きすぎる――。
今まで何人かと付き合ったけれど、ここまでの感情を抱くことなんてなかった。
「あの……ヒュー、知ってた? 白鳥って、いわゆる『鳥目』じゃないって」
「夜に暗くなっても目が見えてるってことだよね? 知らなかった」
「うん。白鳥は渡り鳥だから……夜も見える必要があるからって説があるみたい。以上、白鳥の豆知識、でした」
「面白いな。夜のスワンボートがあってもいいわけだね」
こんなやりとりであっても、水樹にとっては至福のひとときだ。
照れ隠しのように彼女が思いついたことをしゃべり、それを聞き上手の彼が聞いてくれる。それだけなのに、胸が温かく満たされる思いがした。
このとき出し抜けに、ゴスッと音がしてボートが揺れた。
「やあ、失敬失敬」
「失礼した……」
声が聞こえた。
乾燥させたワカメみたいにくしゃっとした髪の少年と、眼鏡をかけた少年の乗る手漕ぎボートがぶつかったものらしい。
「大丈夫だよ。気をつけて」
ヒューはボート内からそう返す。
少年二人は頭を下げると、岸に向かって漕ぎ出した。少女が一人、彼らに手を振っている。
「驚いたね」
優しくヒューが告げたので、ようやく我に返って水樹は手を離した。
驚いた水樹は、思わずヒューにしがみついていたのだ。
「あ、ごめんね私……」
「大したことなくて良かった」
ヒューは優しく告げると、またペダルを漕ぎ出すのである。
「もう少し行ってみない? 岸辺の桜がいい色だよ」
「あ、うん」
ちょっとしたアクシデント、記録には残らないような小さな出来事。
でも、
――もう少し、しがみつきたかったな。
水樹はほんの少し残念に思う。だから……。
「ねえヒュー?」
「うん?」
「カメラ、借りていい? ヒューのこと撮りたい」
「僕を? いいけど……照れくさいな。被写体になるのは、学生時代の実習以来ご無沙汰だから」
「いいからいいから、じゃあ撮るね」
だから、水樹はカメラを取った。
思い出を、写真とともに残しておくために。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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