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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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もうじき日曜日も終わるという時間帯。当然、陽はとうに落ちており、街も眠りに落ちつつあった。
振り仰げば満月、その大きな月にかかるは桜の枝だ。
旧市街にある公園にひとり、
常闇 月
は足を踏み入れる。
「……人気がないところに呼び出して、どうしたのですか義姉さん?」
虚空を見つめながら言った。
公園は無人、月以外に人の姿はないというのに。
「こんばんは月ちゃん」
どこかから声がした。
「ここは私が知ってる隠れた名所なの。昼間は人がいるけれど……夜になったら電灯がないから暗くなるの」
それとともに、まるで闇が凝集して人の形をとったように、ふっと姿を見せた者がある。
常闇 虚
だ。真っ白な肌が、月明かりを吸ったように鈍く光っていた。
「だから夜は誰も近づかないのだけど……今夜は満月の夜、月が明るく照らしてくれるの」
月にうながされて虚は言葉を続ける。
「夜桜をゆっくり楽しむにはちょうどいいのよ。今日呼んだのは、単純に夜桜を一緒に楽しみましょうってだけの話♪」
楽しげな虚の口調に、それ以上の含みは感じ取れなかった。
「……夜桜を私と見たかったからですか。内心、何を頼まれるのかとかヒヤヒヤしてました」
普段、月は虚と関わりを持つことがあまりない。一族が一族なので、急な呼び出しには身構えてしまいがちだ。
「あら? 私をなんだと思って?」
「義姉さんは義姉さんです」
それ以上は言わない。
「なるほどね」
納得したように告げると、虚は一枚のレジャーシートを取り出した。赤いシルクのシート、隅っこに熊のアップリケが縫い付けてある。
「敷きます」
月が受け取って桜の下にシートを広げる。ありがとう、と告げて虚は腰を下ろした。
「こうして二人でお話するの、初めてでしょう……? ほら、甘酒買ってきてるからどうぞ」
席を勧める。月に断る理由はなかった。
パキッ、と音を立てて、虚はいわゆるコップ酒の形状をした甘酒の封を切った。アルコール度数は極小でソフトドリンクの扱いだ。
虚はひとつを月に手渡してくれた。ホットを買い求めたのだろう。手の内で温かい。
「月が綺麗なこんな日は、心がウキウキするの」
歌うように虚は言う。本当に、上機嫌らしい。虚は月を見て、
「そう、あなたに月っていう名前をあげたのも……暗い暗い夜の闇に輝く月のように神秘的で、孤高だったから」
「神秘的、ですか」
月は肯定も否定もせず、甘酒に唇をつけた。熱々ではないものの、ほどよく暖かみがあって、夜ともなればまだ冷える時期だけに体に嬉しい。甘味もちょうどいい程度だった。
「そうよ。よく覚えているわ」
「生まれたての赤ん坊に、神秘性があるものでしょうか」
「ええ、あなたには間違いなくあった。生後数日であってもね。あまり泣かなかったし……まだ視力も定かではないはずなのに、大人の顔をすっと静かに、目を細めて見つめていたものよ」
「そうですか……」
その当時のことはさすがに覚えていないので、月は曖昧に返事して、空に浮かぶ月と、散っていく桜の花弁の様子を眺めるのだった。
やや冷たい空気が冴えて、キラキラと月の光に照らされながら散る花弁は雪のようにも見える。
「けど今のあなたはそれだけじゃない……そうでしょう?」
「どういう意味ですか」
わかってるくせに、と虚は笑う。
「月は太陽の光を反射して輝くもの、そして今の私たちを明るく照らすのも月の光……ふふ、この島の生活は楽しいでしょう?」
「否定はしません」
「素直になってもいいのよ」
「わかりました。正直に言います。……私はとても楽しんでいます。おかげさまで」
素敵なお返事ね、と虚は告げて甘酒の残りを呷った。
「そう、月ちゃんはこの日常の有り難みをよくわかるいい子なのだから」
この言葉が緊張を解いたのだろうか、月は正座していた脚を伸ばして、やや穏やかな声で言った。
「思えばこうして、ゆっくりと義姉さんと過ごすということがありませんでしたね」
「ええ、良い機会だったと思う」
すす、と虚が膝を詰めてくる。月はためらった。
「”雪”のように輝き舞い散る、”月”の下の桜の”花”。これが私の、なんちゃって雪月花……」
月は今でも、この義姉のことは苦手だ。
けれども……いくばくかは、歩み寄ってみるべきなのかもしれない。
月はその想いを言葉にはしない。けれど膝を崩して、虚の接近を認めたことで、通じたと想っている。
虚もまた、さらに親しげに言ったのである。
「義理とはいえ、私は月ちゃんのお姉ちゃんなのだから。可愛い月ちゃんのためならいろいろしてあげるし、困ったらいつでも相談に乗るわよぉ?」
「感謝します」
今までこの人のことを、警戒しすぎていたのかもしれない――月は思った。
今日は記念すべき夜かもしれない。義姉の話に耳を傾けながら、この夜桜の風景を心に刻もうか。
「その分、たまにこっちのお願いを聞いてもらおうけどね……」
ところが虚はこのとき、聴き逃せない一言を口にしていた。さらに、
「今度新しい衣装のモデルになってもらおうかしら♪」
とも。
ぞわ、と月は肌寒いものを感じている。
悪い予感ではない……と信じたい。
これは甘酒の効果が薄れてきたからに違いない。
きっとそうに違いない。
――まさか本当にモデルなどは……。
けれども月は、怖くて訊けなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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