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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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アパートからの道のりに、切り揃えた絹のような桜の花が舞う。はらはらと舞っている。
どうして桜はいつも咲くなり、先を急ぐように散っていくのだろう。
散る花を見ていると、ごく自然に卒業式のことが思い出された。
ごめん、と、あの日、
日野 満
は言った。気持ちにはまだ、答えられないと。
覚悟はしていたから、
青龍寺 琴理
はその返事に納得している。
だからといって満の小説に対する評価が変わったりはしない。満の書いたものはやはり好きだ。彼の小説のファンとして、友人として、これからも応援していきたいと思っている。いつか満の描くものが、日本中いや世界中にひろまってほしいとも願っている。
だから琴理は、卒業式の日に胸の内を明かしたことを後悔していない。むしろ、すっきりとした気持ちだった。
図書館に着いた。
窓際の席が空いていた。琴理のお気に入りの席だ。
書架から遠いからかとても静かで、中庭の光景は目を愉しませる。日は当たらず、室温も快適だった。しかも今日は、図書館を囲むように咲く桜をじっくりと眺めることができるのだった。これ以上の贅沢はないような気がする。
机の上にはこれから読む本、すでに読んだ本がきちり分けて置かれている。
本に没頭していた時間がふと途切れて、琴理はふたたび中庭に眼を向けていた。
わずかに風が出てきたらしい。花びらが軽やかにワルツを踊っている。音もなく地面に降りて、すでに到着している花びらとともに、桜色のカーペットのように広がる。
ふふっ、と声もなく琴理は微笑んでいた。
こういうお花見もいいわよね。
「図書館ではお静かに」
背中から声をかけられ、えっ、とはじかれたように満は振り返った。
「青龍寺さん」
語尾がかすかに上がっていた。驚きと、安堵と多少の気まずさがないまぜになった様子で、満の言葉は空気に溶けていく。
まったくの偶然とはいえ、琴理はなんとなく満と会える気がしていた。
入口正面の棚、特設された『特集・日本史』コーナー、片手で持つには少々大ぶりの書を手にして満が立っていた。
「久しぶり……」
卒業式の記憶がまだ鮮明なのだろう、満は、次に口にすべき言葉を探している様子だ。
だから琴理が先に言う。橋を架けるように。
「図書館には資料集めか気分転換ってところかしら?」
「ああ……うん。いわば両方」
「何の本をチェックしていたの?」
「これ? 飛鳥時代の文献を解説した本、ちょっとこのあたりに興味があって」
「もしかしたら、書いているものの題材?」
「直接じゃないけどね、関連テーマではあるんだ。このあたりの時代のことって知らないから」
満の口調がなめらかになる。小説のことになると、目の輝きが違うと琴理は思う。
「一般的に日本史というと、戦国時代と幕末ばかり注目されている気がするんだ。あとはせいぜい元禄文化くらいかな。でも昔は太平記の時代が一番ポピュラーだったっていうし、源平だって面白いし……でも最近おれが気になっているのはこの時代なんだ。精神的に深くて、殺伐としていないのにときに残酷で、なのにロマンチックで、淡い色使いだけどカラフルなイメージもあって……」
いけない、というように、満は首の後ろに手をやった。
「ごめん、おれ、しゃべりすぎかな」
「ううん」
琴理は首を振る。
「満くんが本の話するの、好きだから」
「それならいいんだけど」
琴理の言葉に嘘はなかった。飛鳥時代に興味をもったという話も、なんとなく彼らしいと思う。
「満くんお花見はした?」
「いや、特には」
だったら見てみたらいいと思うよ、と琴理は言った。
「小説の題材にピッタリだと思うんだけど」
「だったら……」
と満はなにか言いかけたものの、妙な間隔を挟んで、「そうするよ」と締めくくった。
琴理はその間隔に気づかぬように、
「じゃあその作品頑張って。ファンの一人として楽しみしてるから出来たら読ませてね」
と手を振る。
「青龍寺さんは帰るの?」
「うん、私はこの後はなじみの古本屋さんに行くつもりよ。好きな作家さんのサイン入り本が入ったらしいから」
「そう……それはいいね」
「次に会うのは大学の構内かしら?」
「かもしれないね」
「じゃあまた」
「じゃあ」
少し後ろ髪を引かれながら、琴理は手を振って出口に向かった。
自動ドアが開く直前に、何気なく振り返った。
満がこちらを見ていた。振り返るとは思っていなかったのだろう。琴理と目が合って、びっくりしたように手を上げた。
琴理はうなずいて背を向けた。
長いホールを歩きながら思う。まだ彼はこちらを見ているだろうか、と。
もう一度振り返って確認する勇気は、まだ琴理にはなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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