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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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桜色の爆弾が炸裂したみたい、そんな感想を羽生碧南は抱く。
それくらい、いや、それでも足りないくらい、川辺の桜並木は満開だったのだ。
満開なのは桜だけではない。樹の下ではたくさんの人が、この情景を楽しむべく集っている。それこそまさに、一斉に花が咲いたような光景なのだった。
川原にコンロを出し、わいわいとバーベキューに興じているグループがあった。赤ちゃんを含む三世代家族と思わしき人々が、いそいそと重箱を空けている姿もあった。大学生とおぼしきグループが、教授らしき男性を中心として乾杯している様子も見える。目を転じて水面には、手漕ぎボートやスワンボートに乗っているカップルの姿も確認できた。
碧南にとっては既視感のある光景だ。現実の世界というより、ゲームの世界で。
無意識のうちに碧南は、顎に手を当てていた。ゲーム……ぶっちゃけて言えば乙女ゲームの世界では、このシチュエーションはある意味鉄板の『春イベント』情景なのである。もうすでに複数、彼女の脳内では記憶のスチルが自動再生されている。
桜舞い降る乙女ゲーワールドの登場人物は二人だけ。プレイヤーの分身たる『彼女』と、そのお相手たる『彼』だ。彼女も彼も桜でさえも、すべてはパステル調で描かれている。さらりと流れる彼からの問いかけ、そして現れる選択肢、チョイスにミスして好感度がロス、世界を切り裂くエラー音……。
川辺に降りてフウム、と碧南が感慨にひたっていると、その眼前に一艘、すいっと音もなくボートが停泊した。
……実際はそこまで優雅ではなく、水上で誰かのスワンボートにゴスッとぶつかっていたりするのだが、まあそれはそれだ。
乗っているのが王子であれば、それはやはり優雅と言っていいのだ。
たとえそれがベートーヴェンの肖像画みたいにクシャクシャの髪をした少年であっても、少なくとも、碧南にとっては王子であろうか。
「おい、もうちょっと穏当に漕げないのか」
ボートの同乗者である眼鏡の少年が、ついっ、と眼鏡の弦を人差し指と中指で直していた。
川に再度漕ぎ出したボートは、さっそく稲妻のように錐揉みして他のボートにぶつかりそうになっている。
「あっはっは、これでも細心の注意を払っているつもりなんですがねえ」
「どこが細心なんだ、どこが」
と不平を言いながら
海原 茂
はオールを替わる気はないようだし、
鷹取 洋二
にしたって、替わってくださいよという気もないようだ。
「せんぱーい!! 鷹取先輩!」
碧南が大きな声で呼びかけると、
「やあ羽生くん、リバーウオッチングかい?」
王子こと洋二は、手こぎボートの上から笑いかけてきた。紙吹雪でも扇ぐかのように、ひらひらと手を振りながら。
「朝比奈、先輩は、桜が、好きですか?」
緋紅朱赫乃が聞いた。
すると、花のことはよく知らない俺だが、と断った上で
朝比奈 岳人
は言ったのだった。
「桜は好きだよ」
と。
「私は、好き……散ってしまう、けど、また、春になったら、綺麗なお花を、咲かせる、から」
「そうだね。そのはかなさが、桜らしいという気もするね」
陽の光に透ける緋色の下を、岳人は薄いジャケット姿で歩いている。両手はポケットの外だ。もう、手を入れて歩くような季節じゃない。
そうして表にした手はフリーの状態で振り子運動しており、ときおり赫乃の手のそばをかすめるも、握るはおろか触れることすらしない。とても距離は近い。でも、ゼロではない。
身長差があるので赫乃は彼を見上げる格好だ。歩幅だって随分と差がある。けれども赫乃は気がついていた。赫乃が赫乃のペースでゆったりと歩くことができているのは、岳人が歩調を落としてくれているからだと。
岳人も自覚している。たしかに最初は意識して、赫乃と歩くときは足取りを落とすようにしていた。だが今ではもう、それが当たり前のようにできているのだ。当たり前になっているのはなにも歩調だけではない。
緋紅朱さんが隣にいる。それも、また――。
岳人は赫乃に視線を落とした。そのとき、彼女も彼を見上げていた。
「あ……」
「え……」
それまでなにげなく交わしていた言葉が途切れる。急に見つめ合うことになるなんて思わなかったから。
長い一秒の後、
「……人が、いっぱいな、場所だと、ちょっと、落ち着かない、ですね」
水面からようやく顔を上げた人のようにが言った。岳人も応じて、
「そうだね。だったら」
と視線をさまよわせ、手こぎボートに目をとめたのだった。
桜川沿いの道をゆきながら、雨寺凛は両手を広げていた。
「わあ、満開だー!」
こぼれんばかりの桜並木なのだった。風がふくたび枝はさやさやと揺れ、白と桃色の中間色のような花びらが、一枚、あるいは二枚、ひらりと舞い降りてくる。凛の手の上にも一枚、音を立てず着地した。
そのとき、
「綾花ちゃん!」
友達の姿を目にして、凛は元気に片手を上げる。
綾辻 綾花
はスマホを下ろして、「凛ちゃん」と手を振り返した。
「せっかくの景色だから、写真に残しておこうと思って」
綾花はスマホを操作して、道々撮ってきた写真を見せた。そこには春のこの一日の、様々な表情があった。
「このネコちゃんかわいい!」
凜が目を輝かせたのは、頭に花びらが乗っていることにも気づかず、こんこんと眠るトラネコの写真だ。なにかいい夢でもみているのか、ネコは口元にうっすらと笑みを浮かべている。
「気に入りました? 私もこの写真、よく撮れたと思ってるんです」
「いいよね~。春のあったかいが陽差しが伝わってくるみたいな写真だよ♪ 最近はずっとあったかいから、寒がりな私にはありがたいよ~」
「ふふ、もうすっかり春ですよね」
もう少し写真を撮って回りたいという綾花と別れ、ふわり空ゆく赤い風船のように凜はまた歩き出した。
足の向くまま、気の向くままに。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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